2013年10月5日土曜日

「海軍力増強」が世界的潮流に:中国台頭で加速

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ロイター 2013年 10月 5日 08:59 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99307V20131004

焦点:「海軍力増強」が世界的潮流に、中国台頭で加速

[ロンドン 30日 ロイター] -
 冷戦終結後に世界の大国は海軍の予算を大きく減らしてきたが、ここにきて、海軍力増強が再び熱を帯びている。
 その背景には、海洋進出の動きを強める中国への警戒心や、シリアなど紛争地域への地上部隊派兵を渋る西側諸国の思惑がある。

 海軍力への関心の高まりは、米政府内部やアフリカ沖の海賊掃討作戦の現場、アジアの造船所でも感じることができる。

 ゲイリー・ラフヘッド元米海軍大将は
 「影響力を及ぼすための水上戦力の使用は一層重視されるようになる」
と指摘。
 2011年に退役し、現在はスタンフォード大学フーバー研究所で客員研究員を務めるラフヘッド氏は
 「シリアがある地中海のほか、太平洋や中東でも(水上戦力重視は)みられる」
と述べた。

 インドは8月、同国初となる国産空母の進水式を行った。
 米国がジェラルド・R・フォード級空母2隻、英国も空母2隻の建造を進めているほか、中国も初の国産空母の完成を目指しており、向こう10年で世界の海には新たに10隻を超える空母が登場するとみられる。

 米国を拠点とする調査会社AMIインターナショナルの推計によれば、
 今後20年間で海軍に使われる予算は、世界全体で総額8000億ドル(約78兆2500億円)前後になる見通し。
 そのうち4分の1を占めるのは、緊縮財政の欧州を抜き、海軍支出額で北米に次ぐ世界第2位の規模になったアジアだという。

 米国防総省が4月に発表した2014年度の国防予算案では、海軍は陸軍と空軍より多い額を割り当てられた。
 国防総省が要求する海軍予算は1550億ドルで、国防費全体の約30%に相当する。

 米軍は現在、中国人民解放軍(PLA)の海軍の動きをにらみつつ、艦船を大西洋から太平洋に移しつつある。
 中国海軍は、同国の国防費が毎年2ケタの伸びを続ける最大の要因とみられている。

 中国国防省は昨年9月、ウクライナから購入して改修した空母「遼寧」を海軍部隊に正式配備したと発表。
 同空母以外にも、中国海軍は潜水艦や哨戒艇などの建造を進めている。

 今年9月には、国有企業の中国船舶重工が、私募形式での株式発行で14億ドルを調達する計画を発表した。
 資金は軍艦製造設備の購入などに使われる予定だが、中国が軍拡に向けて株式市場での資金調達に初めて踏み出すケースとなる。

■<米歳出削減が落とす影>

 中国の周辺国、とりわけ同国と領有権問題をめぐって対立している国は、こうした動きに神経をとがらせており、レーダーやミサイルなど防衛設備の性能向上を図っている。

 尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題で中国との緊張感が高まる日本の防衛費は来年、過去22年で最大の伸びとなる見通し。
 オーストラリアも新たな攻撃艦導入など海軍力増強を進めており、ベトナムはロシアから潜水艦を購入する。

 南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンも軍備増強に動いている。
 米沿岸警備隊で使われていた巡視船2隻を配備したほか、日本からは巡視艇10隻の供与を受け、フランスからは中古の哨戒艇を購入する。

 西側諸国の多くで軍事予算の削減圧力が強まる中、欧米の防衛企業にとっては、こうしたアジアの軍拡が商機となっており、英BAEシステムズがタイと巡視船を建造しているほか、比較的小規模な軍需企業も電子機器などの納入で競っている。

 海からの攻撃能力では、ニミッツ級原子力空母10隻を擁する米海軍が依然として他を寄せ付けない陣容を誇る。
 シリア沖では、同国の化学兵器廃棄をめぐる外交交渉が不備に終わった場合の軍事介入に備え、米海軍の駆逐艦5隻と潜水艦が待機している。

 ただ、米政府の予算が自動的にカットされる「強制歳出削減」が今後10年にわたって続けば、米海軍の空母11隻のうち最大3隻が運航停止になる可能性があり、大幅な戦力縮小は避けられないとみられる。

 複数の関係筋によると、歳出削減はすでに、空母建造プロジェクトの遅延などでハンティントン・インガルスなど米造船大手に影響を及ぼしている。

 ペルシャ湾では、米海軍が常駐空母を2隻から1隻に減らした一方、イランが高速小型船団の動きを活発化させており、それに神経をとがらせるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が巡視艇の購入や建造を急いでいる。
 サウジ政府は7月、米ミシシッピ州の非上場企業ハルター・マリーンに対し、特殊部隊用巡視艇30隻(12億ドル相当)の購入を打診した。

 欧州各国の海軍も、艦船数こそ少ないが実力は維持している。
 スペイン、フランス、イタリアはいずれも2000年以降に空母を新たに建造しており、仏伊両国は2011年のリビア軍事介入でも空母を多用した。

 英国は現在、同国海軍史上最大の空母「クイーン・エリザベス」を建造しており、2022年までに海軍予算は国防費全体の46%を占めるまでに増える見通し。
 英海軍を率いるジョージ・ザンベラス第1海軍卿は、ロンドンで開催された国際武器見本市で
 「海のルネサンスを意味することにほかならない。海軍は戻ってきた」
と語った。



山梨日日新聞 2013年10月14日(月)23時21分
http://www.sannichi.co.jp/kyodo/news2.php?genre=World&newsitemid=2013101401001978

ロ空母、印に11月に引き渡し
中国にらみ外洋能力向上

 【モスクワ共同】
 ロシアがインドへの売却契約を結んだ空母アドミラル・ゴルシコフ(4万4500トン)が、改修を終えて11月にインド側に引き渡されることが14日、明らかになった。
 軍需産業担当のロゴジン副首相が公表した。

 インドにとって2隻目の空母で、中国海軍の台頭をにらみ、外洋作戦能力を向上させる。
 空母は「ビクラマディティヤ」と改称され、11月30日にミグ29など30機の搭載機とともにインドに向かう。
 来年2月に西部ムンバイに入港する見通し。


 Wikipediaでみてみる。

バクー:Wikipedia

●イタリア半島南方海域を航行中のバクー
艦歴
起工  1978年12月26日
進水  1982年3月31日
就役  1987年12月20日
退役  1995年7月
除籍  1996年
除籍後  2005年3月10日、インドへ売却
要目
艦種  航空巡洋艦(軽空母)
艦級  改キエフ級(同型艦なし)
排水量  基準:38,000t
満載:45,500t
全長  273.1m
水線長  242.8m
全幅  53m
水線幅  31m
吃水  8.2m、最大12m
機関  蒸気タービン8缶(200,000hp)4軸推進  4基
速力  最大32.5ノット
航続距離  7,590海里(巡航速度:18ノット)
乗員  1,615名
兵装  P-500 SSM連装発射筒  8基
3K95 SAM用 VLS 16セル  24基
AK-100 100mm単装砲  2門
AK-630 30mmCIWS  8基
533mm5連装魚雷発射管  2基
RBU-1200010連装 SUM発射機  2基
搭載機  Yak-38M  12機
ヘリコプター  20機

バクー(ロシア語:Баку;改名:アドミラール・ゴルシュコーフ、アドミラル・ゴルシコフ;Адмирал Горшков)は、ソ連・ロシア海軍のキエフ級航空母艦4番艦に当たるが、搭載機の変更(Yak-38からYak-141)を前提に設計されたため、他の同型艦とはエレベーターの位置や大きさなどが異なっており、「改キエフ級」と呼ばれるケースが多い。

なお、「バクー」は現在は独立国アゼルバイジャンの首都であるが、この艦の建造当時はソ連邦構成共和国のひとつであった。

バクーは1978年12月26日にチェルノモールスキイ造船所(ニコラーエフ南、第444海軍工廠)で起工され、1982年3月31日に進水し、1987年12月20日に就役した(ちなみに、就役前の海上テストの際、蒸気タービンのボイラーに亀裂が入るという事故を起こしている)。

本艦は、新開発のフェーズドアレイレーダー「マルス・パッサート」や、その他の新型各種電子機器など、次に建造されるアドミラル・クズネツォフのテスト艦も兼ねており、本艦で海上テストを行ったこれらのレーダー等は、実用化に問題無しと判断されたらしく、そのままクズネツォフに採用された。

 1988年3月3日、バクーは黒海艦隊に編入された。
 そして、5月下旬には艦載機(Yak-38、Yak-38U 計12機、Ka-27PL 16機、Ka-27PS 2機、Ka-27RLD 2機が配備された。
 12月、バクーは北洋艦隊に編入された。
 1990年10月1日、バクーは北方艦隊の第44対潜師団に編入され、10月4日、艦名がアドミラール・フロータ・ソヴェーツコヴォ・ソユーザ・ゴルシュコーフ(Адмирал флота Советского Союза Горшковアドミラール・フロータ・サヴィェーツカヴァ・サユーザ・ガルシュコーフ)に改名された。

 本艦に搭載されるはずだった新型の超音速STOVL艦上戦闘機Yak-141は、シートライアルが精力的に行われていたが、艦上で事故を起こして大破してしまい、折からの財政難も有って、以後、開発計画は尻すぼみになっていき、ついには中止された。

 1991年ごろからは行動も不活発になり、1992年から1995年までは岸壁に係留されたままになっていた。
 この間、機関室で火災が発生し、退役した同型艦キエフの部品を剥ぎ取って修理した。
 艦載機Yak-38もこの間に退役してしまい、本艦の搭載機はヘリコプターだけという有様になった。
 1995年にはどうにかカムバックし、同年5月、ムルマンスクで観艦式に参加したのが最後の花道になった。
 7月、本艦は予備役となった。

 1996年からロシア政府はインドとこの艦の売却交渉を開始し、1998年12月に仮契約が結ばれた。
 そして、7月全通型空母への改装が決定した。
 2004年1月、
 「艦そのものは無償でインドに譲渡し、全通甲板空母への改造費用と搭載機MIG-29K改等の代金(合計で約15億ドル)だけ払って頂く」
という内容の本契約が結ばれ、セヴマシュ・プレドプリヤーチエ(北方機械建造会社、旧第402海軍工廠、セーヴェロドヴィンスク市)において改造工事が始まった。
 最初は2005年にはインドに引き渡される予定であったが、改装コストの高沸や改装自体にトラブルによって何度も引渡しが延期され2013年引渡し予定となっている。

 ちなみに、インド海軍艦船として艦名はヴィクラマーディティヤ(INS Vikramaditya)と既に命名されている。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/18 08:18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/18/2013111800508.html

インド、空母追加配備で中国をけん制

 今年8月に初の国産空母を進水させたインドは16日、ロシアから新たに購入した空母「ビクラマーディティア」の進水式をロシア北部アルハンゲリスク州セベロドビンスク港で行った。
 ロイター通信が伝えた。進水式には、インドのアントニー国防相、ロシアのロゴジン副首相が出席し、空母は直ちにインド海軍に引き渡された。

 空母ビクラマーディティアは、排水量4万5000トンで、全長284メートル、幅60メートル。
 戦闘機を約30機搭載できる。
 艦載機はロシア製のミグ29Kを採用する。
 同空母はロシアが旧ソ連時代の1970年代に開発した重航空巡洋艦アドミラル・ゴルシコフを取得し、改装したものだ。
 建造費は23億ドル(約2310億円)を投じた。

 インドは今年8月、南部のコーチン造船所で独自技術により建造した初の空母「ビクラント」(4万トン)の進水式を行ったばかりだ。
 インドは米国、ロシア、英国、フランスに続き、独自の空母建造能力を備えた国となった。
 インドは2017年ごろにさらに大きい国産空母「ビシャル」(6万5000トン)の建造に着手する計画だ。
 1980年代に英国から購入して配備されている空母「ビラート」(2万8700トン)を含めると、インドは空母4隻を保有することになる。

 英紙ガーディアンは、インドの空母追加配備について、中東やアフリカで産出される原油の輸送ルートを守るためインド洋への進出を狙っている中国をけん制する意味合いがあると報じた。

 中国は昨年、初の空母「遼寧」(6万7500トン)を就役させ、日本は今年8月、初の準空母「いずも」(2万7000トン)を進水させるなど、アジアで空母保有競争が起きている。




【トラブルメーカーから友なき怪獣へ】





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