●ネットの監視に200万人が携わっているという
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CNN ニュース 2013.10.08 Tue posted at 10:36 JST
http://www.cnn.co.jp/tech/35038203.html?tag=cbox;tech
ネット監視に200万人、「世論分析官」の資格も 中国
(CNN) 中国ではインターネット監視要員として約200万人が配備され、主要ソーシャルメディアなどの投稿監視に当たっているという。
国営紙の新京報が8日までに伝えた。
それによると、監視要員は中国共産党の宣伝部門や大手ニュースサイト、民間企業などに勤務して「世論分析」を担当。
キーワード検索を使って中国のツイッターと呼ばれる「新浪微博(ウェイボー)」などの短文投稿サイトやソーシャルメディアの投稿を調べ、報告書をまとめている。
政府に対する批判や社会不安を抑え込むために中国政府が行っている監視活動については以前から指摘されてきた。
中国のメディア事情に詳しい香港大学のデービッド・バンダースキ氏は、
「ソーシャルメディア上の潜在的集団行動を監視するために、政府はどんなことでもやる」
と話す。
同氏によれば、新浪微博が2010年に登場して以来、インターネット監視のための予算は急増したという。
新浪微博には5億のアカウントが登録され、有名人のゴシップから公務員の汚職といった政治的にデリケートなテーマまで、幅広い話題が交わされている。
新京報の記事に登場する監視要員は、政府のプロジェクトにかかわる企業に採用され、300万人民元(約4800万円)のソフトウエアを駆使して顧客が指定したキーワードで投稿内容を検索、否定的な意見を報告している。
同ソフトウエアでは、特定のテーマに関するコメント数などを調べてその話題がどの程度広がっているかも把握でき、得点が100点中の40点に達すると警報が出る。具体的にどう対応するかについては顧客の政府機関などが決定する。
投稿分析の方法などを習得する人民日報主催の講習会も開かれており、
資格を取得すれば「世論分析官」として正式認定されるという。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年10月8日 21時40分
ネット自由度が最も低いのは中国!=世界規模でも降下―米メディア
2013年10月4日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は、インターネットにおける自由度が世界的規模で下がっていると伝えた。
米NGOのフリーダム・ハウスが3日に発表した「インターネットによる自由度2013」によると、昨年度はインターネット内容に対する大規模な範囲での監視と規制が強化され、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)などの利用ユーザーが逮捕されるケースが多発。
このため世界的にネット自由度が減少しているという。
今回の調査では、昨年5月から今年4月までに世界60カ国の
①.「アクセスへの障害」
②.「コンテンツ制限」
③.「使用者の権利の侵害」
の項目を点数化。
そのうち34カ国でネット自由度が減少したことが分かった。
そのなかにはインドや米国、ブラジルなどの民主国家も含まれている。
調査対象国のなかで、
●.アイスランドとエストニアのネット自由度が最も高く、
●.中国、キューバ、イランは2年連続でネット規制の最も厳しい国家
となった。
これらの国がネット規制の常とう手段として使用するのは、
★.フィルターやブロッキング、
★.政権批判者に対するネット攻撃、
★.法的処罰、
★.身体攻撃、
★.種々のハラスメント、
★.情報操作のための書き込み者雇用、
★.ネット監視、
★.内容削除、
★.ソーシャルメディアやコンテンツの封鎖、
★.プロバイダーに対する規制やコントロール
などがある。
フリーダム・ハウスの昨年の調査では、
中国におけるインターネットは携帯電話からのアクセスが主流になっており、
ネットカフェの40%がチェーン店であることから、政府の監視下に置かれやすい状況にあるという。
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サーチナニュース 2013/10/15(火) 10:31
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1015&f=national_1015_012.shtml
【中国BBS】検閲と制限…ネット自由度で中国は世界ワースト2位
Freedom Houseが発表したインターネットの自由度に関する報告書によれば、調査対象の60カ国のうち自由度がもっとも高かったのはアイスランドだった。
2位はエストニア、3位は米国とドイツとなったほか、日本は7位で自由度が高い国に分類されたが、
中国はイランに次いでワースト2位となった。
中国大手検索サイト百度の掲示板にこのほど、同調査結果について討論するスレッドが立てられ、“自由度がない”と認定された国のネットユーザーらが議論を交わした。
あるネットユーザーからは
●.「イランではTwitter(ツイッター)が使えるのに、中国では使えない」
と、ワースト1位となったイランより状況は悪いとの主張もあった。
しかし、
●.「中国って自由じゃなかったんだ」、
●.「米国が出すデータは米国から見たものに過ぎない。英国やドイツのデータのほうが真実性はある」
と、調査結果に疑問を呈するユーザーもいたが、
●.「お前、中国にいて不自由を感じないのか?」
というコメントもあった。
だが、実際には多くの中国人ネットユーザーはある意味「自由だ」と感じているようで、
●.「不自由なのはグレートファイアーウォールくらいで、YouTubeが見れないとかだけだろ。
普段の言論は特別に規制されていないし、国や党を悪く言うのもよく見るぞ。
ただデマだけは別だが」
との主張があった。
また、
●.「自由をどう定義するかだ。
海賊版コンテンツの自由度では中国が1番だ」、
●.「ネット上では小説、アニメ、映画、ゲーム、音楽がすべて無料だが、これは自由に入らないのか?」
と、むしろ中国のほうが自由だとの意見もあったが、自由の意味を完全に履き違えている。
中国政府はインターネット上で検閲とアクセス制限を行っており、Facebook(フェイスブック)やツイッターなどのソーシャルメディア、Wikipediaなどにアクセスすることができない。
これは天安門事件やチベット問題など、中国共産党にとって都合の悪い情報や隠しておきたい情報などから中国国民を隔絶するためにほかならない。
また、中国政府が莫大な予算を投じて構築した検閲システム「金盾」では、検閲対象のキーワードを検索するだけで、検索しようとしたユーザーは要注意人物としてブラックリストに入れられるとも言われている。
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WEDGE Infinity 2013年10月16日(Wed)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3246
中国ではネット世論監視に200万人動員中
治安維持のネット監視が資格ビジネス化も
自由な言論氾濫による共産党批判を極度に恐れる中国の共産党政権だが、北京を拠点とする比較的リベラルなスタンスで購読者を獲得してきた『新京報』が、政府によるネットに対する世論監視の現状を詳細にレポートして話題を呼んでいる。
ネット監視に200万人が動員されているという件には中国はもちろん、欧米や日本のメディアも驚き飛びついた。
■政府公認となった「ネット世論分析師」
これまで「ネットでのデマをなくせ」、「違法な書き込みは取り締まれ」という政府の声ばかりが報道され、実態はよく解らなかった。
日本で比較的知られる中国のネット監視要員については、「ネット評論員」という形で政府に雇われ、政府や党に批判的な記事を政府に通報したり、反論することで書き込み1本について5毛(1元の半分:1元は約16円)もらっていることから名づけられた「五毛党」の存在が知られている。
しかし取り締まりや監視の実態が伝えられることは稀であったから、10月3日付『新京報』の特集レポートは話題を呼び、多くの新聞メディアに取り上げられたのだ。
以下でこの記事「ネット世論分析師:やるべき仕事は削除ではない」を抄訳で紹介しよう。
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【2013年10月3日 新京報(抄訳)】
10月14日から18日にかけて『人民日報』紙の「ネット世論調査室」は初めて「世論分析師」の研修を行うが、この研修には世論分析や分析・判断の方法、世論から生じる危機処理、世論対応等の8つの科目が含まれる。
テストに合格すると「ネット世論分析師(中国語では網絡與情分析師)」の証明書と従業免許がもらえる。
ネットから人々の視点や態度について情報を収集し、整理して報告書にまとめ政策決定者に送る、というのが「ネット世論分析師」である。
目下、全国にはだいたい200万人超がこの仕事に従事している。
こうした人々は党の宣伝部門やネット、企業等に所属している。
このほど政府の人事社会保障省(人力資源社会保障部)就業研修技術指導センターと『人民日報』のネット担当部門が共同でネット世論分析師の職業訓練計画を起動させたことで「ネット世論分析師」は政府公認の職業となった。
この業界で働く唐小濤さんは仕事を始めてまだ半年にならないが、毎日パソコンの前に座り、ソフトを使って、顧客の設定したキーワードを入力して顧客にマイナスな情報を検索し、内容をダウンロードして顧客に渡している。
単学剛さんは人民網世論観測室の副秘書長だ。
彼らの使うソフトウェアはより精度が高く、バックには数千のCPUがあり、外国のネット情報もモニタリングが可能である。
河南省のある県(省レベル行政区傘下の市より1級下級の行政区。中国全土で400近くの県レベル相当の市と1500近くの県がある)のネット情報センターの閻明(仮名)主任によると、彼らはそのようなソフトは使わない。
彼らの部門の担当者は出勤すると、百度のBBSや天涯、微博(マイクロブログ)等のネットで自分の県の名前を記入し、書き込みにどのようなものがあるか検索し、整理して県党委員会の幹部に提出している。
閻さんの部門は2007年に設立され、県の党委員会宣伝部に所属している。
センターには4、5人が所属し、世論検索やサイトの開設、運営をしている。
上層部への報告は毎週上げる週報、毎日上げる短いメール形式の報告、毎日書面で上げるものという3種類がある。
彼らの部門の人員は毎日ネット情報を自分の携帯に送り、ショートメールの形に編集して県指導者に送る。
メールで伝えきれないものは書面形式で指導者に渡す。
週報だと一般的に20ページあまりだ。
★:「世論師」はむしろ正確に世論を導くことが必要
ネット企業が世論処理をアピールして、書き込み削除の仕事を獲得しようとしている側面もある。
しかし、9月に最高人民法院と最高人民検察院が出した司法解釈では、金を受け取って書き込みを削除するのは違法であり、ネットの書き込み削除も一種の違法行為とみなされる。
削除のリスクは高まりつつあるのだ。
新華社(国営通信社)世論観測分析センターの段賽民主任は「世論師」はむしろ正確に世論を導くことが必要と考えている。
世論分析企業と中央省庁との協力関係は浅くはない。
省庁傘下組織のトップが妻を連れて外国旅行に行ったことについて批判が広まっていたが、彼らの企業では詳細な処理方案、提案を出し、迅速に真相を明らかにし、彼を辞めさせ、当該省庁のイメージ悪化を防止すべきと提案した。
結局、この提案にしたがって解決され、問題を収めることが出来たのである。
閻主任もこうした方法に賛成だ。
彼の担当地域でも警官が民衆を殴るという事件がおき、彼が上部に報告しようとしたときにはすでにネットで世論が沸騰し始めていた。
県指導部は処理案を出し、まず警官を停職にして調査を行い、最終的にこの警官解雇を報道するとネットの炎上はすぐに収束した。
単さんによると、各レベルの政府宣伝部門にとって世論を分析する研修が最も必要だ。
政府はネットを管理しなければならないが、前提としてそれを理解しなければならない。
新華網も月1度は政党幹部や企業幹部対象にネット世論研修クラスを設けている。
段主任は言う。
世論監視は常に向上し続け、普及し続けなければならないプロセスだと。
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【解説】
この記事を読むと中国政府がいかに世論を恐れ、気を使っているかが分かる。
反体制的言論取り締まりという目的で行われてきた言論統制が、IT時代の今日、極めて不思議な形に変わってきていることが理解できよう。
ネットの世論監視が単に政府による言論取り締まりであるだけでなく、地方や企業を巻き込んだ形で制度化が進められ、ビジネス化さえしている様子がうかがえるのだ。
人民網サイトによると、「ネット世論分析師」の研修費用は授業料やテスト費用など合わせると6000元超だ。
しかし、この職業につくと6000元程度の月収を得られるため、元は取れるということらしい。
しかしこのことを鵜呑みにはできない。
200万人に月6000元の給与を支払うということは給与だけで年に1400億元の財政支出が必要になるからだ。
■庶民への言論統制と思想学習の強化を求める
世論の監視や言論統制は、中国で常に行われてきたが、習近平政権になってから政府はとりわけ気を使っていることが分かる。
政権交代期に起きた薄煕来事件によって権力闘争や路線闘争が表面化し、そのプロセスで南方週末紙を巡る言論統制の問題が、論争を引き起こしたことも政府の世論に対する警戒感を強めたのだ。
ネットではリベラル派、保守派が入り乱れて論争が激化し、政府は「現在のイデオロギー領域の状況に関する通報」(中共中央弁公庁9号文件」2013 年4月)という通達文書を出して
「7つを語るな(7つとは普遍的価値、報道の自由、公民社会、公民権、党の歴史的誤り、特権的資産階級、司法の独立:訳者)」
と庶民への言論統制と思想学習の強化を求めている。
数日前には国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局が、来年の記者証発行には「マルクス主義報道観」や「中国の特色ある社会主義」を含む6項目の試験の受験と合格を義務付ける通知を出したばかりである。
これにより25万人の記者が免許更新のために政治思想テストを受けることになった。
■ここ数年国防費を上回る治安維持費
今回紹介した中国全土で展開されるネット監視は、習政権による最近の思想や言論統制というより、むしろ制度的な構造の紹介である。
地方でどのような形でネット世論の監視が行われ、そこに企業がどう係わっているのか、というメカニズムの話である。
ポイントは地方で中心的役割を果たすのが党委員会傘下の宣伝部門だという点だ。
中国ではここ10年ほど治安維持には警察に加え、特警と呼ばれるSWATに相当する軽武装の機動隊や対国内の軍事力である武警部隊強化の拡充が進められてきた。
治安維持費は「維穏費」と呼ばれ、その額はここ数年国防費を上回るほどである(13年の予算案では治安維持費が7690億元で国防費は7406億元。
ちなみに環境保護費は3286億元)。
国防費が減少したというわけではなく、増加する国防費を上回る速度で治安維持費が急増したのである。
そうした広い意味での治安維持スキームにネットでの世論監視が加わる形になったわけだ。
記事では地方における党の宣伝部門が様々な手を使ってネット世論の監視を進めている状況が明らかにされ、企業と結びついた形で利権とビジネスの構造が形成されつつあることが分かる。
治安維持の掛け声の下に実施される世論統制が、党宣伝部門の指導の下で利権化し、ビジネスとして膨張するさまは、「市場化」が進む中国経済における中国的特徴を示している。
この記事では肝心な監視の中身、対象には触れられずじまいだ。
ちなみに人民日報ネット版の「ネット世論分析師研修」記事の下には下着姿の女性のあられもない姿の写真が三面記事の形で燦然と掲載されている。
多くの青少年の関心を引くためであろうが、少なくとも「お色気」写真は監視の対象にはなっていないようである。
by 弓野正宏 (早稲田大学現代中国研究所招聘研究員)
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