●日本は極端な例ではあるが、社会高齢化が問題となっているのは日本だけではない〔AFPBB News〕
JB Press 2013.10.16(水) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38930
日本に見る欧米諸国の不安な未来
(2013年10月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
数年前、ハイテク専門誌ワイアードに「日本の女子校生ウオッチ」という記事が定期的に掲載されていた。
いかがわしい響きのあるタイトルだが、そのような内容の記事ではない。
日本の女子校生は情報技術を先取りするトレンドセッターであり、彼女たちが選んだ最新機器は近いうちに世界中に広まっていく、という考えに基づくものだった。
しかし最近の日本はまた別の厄介な意味でも世界のトレンドセッターになっている。
もし欧州や北米の政策立案者が、今後直面するかもしれない社会的、経済的、戦略的困難がどんなものかを知りたいと思うのなら、筆者が先週実行したように日本を訪れるべきだ。
■高齢化で欧米の先を行く日本
その意味では、「日本のおばあちゃんウオッチ」を始めてみるといいかもしれない。
この国は、平均寿命が延びて出生率が低下するとどうなるかを真剣に考えざるを得なくなる先例を示してくれているからだ。
この2つのトレンドは日本ではかなり極端に進んでいるが、ほかの裕福な国々でもある程度進行している。
日本の人口は2010年に減少に転じた。
現在1億2700万人の人口は、2060年までには8670万人に減ると見られている。
しかも、その2060年には人口の40%が65歳以上の高齢者で占められる可能性があるという。
そのため、高齢者がトイレに行くのを手伝ったり、その日の天気のような簡単な会話に応じたりすることができる「介護ロボット」なるものが、活力のある産業の中心的な存在になっている。
日本の高齢者は若者よりもはるかに多くの票を選挙で投じているため、ほかのサービスが切り詰められる中でも年金と社会保障給付はずっと維持されてきた。
片や若者は増税という未来に直面しており、自分の親の世代が享受していた安定した雇用もますます手に入れにくくになっている。
こうしたトレンドはすべて、多くの西側諸国でも問題になる公算が大きい。
例えば、日本に次ぐ世界第4位の経済大国ドイツでは人口が減り始めた。
人口動態が比較的良好な米国でさえ、いわゆるベビーブーマーたちの引退は政府債務を上限にまで押し上げる1つの要因になっている。
■債務がGDP比230%を超えても、なお機能する国
首都ワシントンの政治家の多くは明らかに、政府債務の国内総生産(GDP)比が100%に近づけばハルマゲドン(この世の終わり)になると考えている。
彼らには、この債務比率が230%を超えていながら秩序が保たれ、ちゃんと機能している日本を訪れてもらいたい。
ただ、日本は世界的な金利の上昇には非常に脆い。
何しろ、現在の超低金利環境においても、国債費が国家予算の約25%を占めている。
アベノミクスという過激な経済実験が鳴り物入りで実行されたのは、この債務の問題に対応するためでもあった。
安倍晋三首相がインフレ率を年2%に引き上げようとしているのは、その後の経済成長が、増大する社会保障費を賄ったり対GDPの債務比率を引き下げたりするのに必要な歳入の増加をもたらしてくれるとの目論見があるからだ。
以前は静謐な雰囲気だった日銀の中を、今ではノーネクタイの急進的なエコノミストたちが歩き回っている。
アベノミクスによるマネーサプライ(マネタリーベース)を2倍近くに増やす施策の前では、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の姿勢ですら慎重に見える。
■世界のエコノミストが固唾をのんで見守るアベノミクス
エコノミストたちは皆、日本の大胆な実験を固唾をのんで見守っている。
ただ、アベノミクスの支持者たちですら、そこには大きなギャンブルの側面もあることを認めている。
★.資本逃避、
★.市場のパニック、
★.そして(最終的に生じる)過度のインフレ
などが生じるリスクがその主なところだ。
日本は、何らかの過激な手段を間違いなく必要としていた。
不動産・株式バブルが弾けてからもう20年以上になるが、この国の経済はかつての魔法のようなパワーを取り戻すには至っていない。
それどころか、超低金利政策など、システムを支えるために講じた施策それ自体が問題を生み出している。
かつて「ゾンビ銀行」なるものを世界に紹介したのは日本だった。
今では同様なゾンビが欧州で急増している。
安倍首相の急進主義は国内の経済問題だけに駆られたものではない。
日本は中国からの脅威が高まっているという認識に駆られて行動に出た面もある。
中国経済は2011年に規模で日本経済を追い抜き、年を追うごとに、その差が拡大している。
中国も、一人っ子政策の結果として、間もなく国内で高齢化問題を抱えることになる。
だが、日本の戦略家は、中国の年間軍事費は今や日本の軍事費の3~4倍に達していると指摘する。
日中両国は東シナ海に浮かぶ不毛な岩礁を巡って領有権争いを繰り広げ、
危険な軍事対立
に陥っている。
欧米諸国はまだ中国の台頭が脅威になるか否かを議論
しているが、
日本ではもう議論が終わり、
「国家的な懸念がありあり」
と見て取れる。
日本が直面する課題は極めて複雑で多様なため、シンプルな教訓を得てこの国を去ることは不可能だ。
社会の連帯を維持し、国民にした約束を守ろうとする決意は、賞賛に値する。
だが、日本は社会調和に重点を置くことの代償も払っている。
■社会調和に重点を置いたことで代償も払ったが・・・
高齢者の雇用を守ることで、若者の機会が制限され、今では若者の38%が「不安定」な仕事に就いている。
また、大量の移民を認めない姿勢のせいで、高齢化社会に対処することがずっと難しくなっている。
社会の団結は結構なことだが、移民よりもロボットに介護してもらいたがるのは奇妙に思える。
だが、こうした大変な難題にもかかわらず、
日本のムードはもう何年もなかったほど楽観的だ。
安倍首相の発言は国家主義的に聞こえることもあるが、その精力的なリーダーシップは、日本が経済停滞から抜け出せるという希望を生み出した。
経済は4%近いペースで成長しており、東京が2020年のオリンピック開催地に選ばれたことで気分が盛り上がった。
日本の女子校生とおばあちゃんたちには、今後も注目する必要がある。
だが、日本には今、注視に値する指導者もいるのだ。
By Gideon Rachman
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』
これ、非常に難しい記事である。
原本がそうなのか翻訳がそうなのかはわからない。
何を言いたいのかもわからない。
ただなんとなく、琴線に触れる。
「東シナ海に浮かぶ不毛な岩礁」をどう使うかが外交である。
まともなソロバンを弾いてもしかたがない。
日本は2つのことで利を得ている。
一つはこの問題により中国国内がデモを開けないほどに不安定になってきたこと。
このことにより、中国依存率を減らすことができ、その分を周辺国の開発に向けることができるようになった。
つまりチャイナリスクが顕在化する前に少しでも資金を移動でき、新たな投資先を見つける事ができるようになったこと。
そしてまたその状態が故に中国は対外的に強く出ることができなくなったこと。
中国の態度が強盛外交から友好外交へ変わったことは、国内不安定という要因が大きく影を投げかけている。
ニつ目は中国の暴慢な態度が日本のタブーをぶち壊してくれたがゆえに、日本は防衛強化に進むことだできるようになったこと。
中国が急速に軍国化していることは分かっているが、だからとして日本はどうにも動けなかった。
なにしろ平和国家であるがゆえに、隣国がこうだからウチもこうする、というわけにはいかない。
しかし、中国が脅しをかけてきてくれたゆえに、自国防衛を強化する大義名分を得たことになる。
自分では動けない国だが、外部からの圧力には敏感に反応できる体質の民族特性がこの事件でも発揮された。
日本としては、この「不毛な岩礁」がもたらしてくれた恩恵は計り知れなく大きい。
と同時に、中国を刺激する痛点を持ったということは、手駒が増えたということでもある。
いわゆる対中国の戦術肢が一つ増えたということになる。
「欧米諸国は中国の台頭が脅威になる」かどうかの判断を出しかねているとのことだが、隣国の日本はそんな悠長なことはしていられない。
脅威になる前に「自己生存」の動きをしていないといけない。
それは「転ばぬ先の杖」という単純な発想にすぎない。
「尖閣問題は明日の日本にとって大いなる恵み」
といってもいいと思われる。
今日の若干の損失は、明日の利益のために耐えるべき、僅かな代償にしかすぎない。
つまり、授業料と考えればいい。
一方中国にとってはどうかというと、下記の記事がわかりやすい。
『
レコードチャイナ 2013/10/10(木) 12:06
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1010&f=national_1010_019.shtml
【中国BBS】共産党が尖閣にこだわる理由は「自らの存在価値」
尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡る問題で日中関係が冷え込んでおり、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議の場においても日中首脳会議は実現しなかった。
では、仮に尖閣諸島問題がなくなった場合、日中関係は改善するのだろうか。
中国大手検索サイト百度の掲示板にこのほど、
●.「もしも釣魚島を日本に譲渡したら、わが国はどうなる?」
というスレッドが立てられた。
そもそも尖閣諸島は日本領土であり、スレ主の“中国が日本に譲渡する”という仮定は筋が通っていないのだが、あくまでも中国人による仮定の話としてご理解いただきたい。
ネットユーザーから寄せられたコメントを見ると、
●.「釣魚島を日本に譲渡したら国内ではデモが爆発するだろう」、
●.「人民は実際の行動で決定が過ちであることを示すべきだ」
など、民衆の強い意思が示されるとの意見があった。
つまり“間違いなく暴動が起きる”という意味だ。
また、
●.「もし釣魚島を失ったら、オレは志願軍を作り、島を奪回する」
というユーザーもいた。
あくまでも強硬手段に訴えるという意味だが、さらに
●.「共産党を捨てる」
という主張まであった。
中国政府にとって尖閣諸島は領土主権にかかわる以前に、
自らの政権および存在価値にかかわる問題へ
と発展している。
香港やマカオ、アモイ、満州など、戦争によって領土の植民地化を経験した歴史があるため、中国人は領土問題に極めて敏感だ。
特に尖閣諸島は日本との問題であるため、“絶対に譲歩できない”と考える中国人は少なくない。
中国政府が仮に尖閣諸島の領有権主張を放棄した場合、
中国国民が社会に対して抱えている不満が一気に噴出し、
共産党政権が揺らぐ事態が起きる可能性もある。
』
「やめときゃよかった尖閣デモ」
と、共産党政府は憂いているだろう。
たかだか4つの無人島のために、当局はその存在まで脅かされるにまで至ってしまった。
まさに、「痛恨の大失敗」である。
これから政府は常に民衆からの突き上げに怯えながら行政をすることになる。
『
サーチナニュース 2013/10/06(日) 14:21
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1006&f=national_1006_019.shtml
【中国BBS】わが政府は無能だ…はやく尖閣巡って日本と開戦せよ
2012年の日本政府による尖閣諸島(中国名:釣魚島)国有化以降、中国は領海や領空の侵犯などの挑発行為を繰り返している。
さらに、中国メディアによる偏向的な報道の影響か、多くの中国国民が尖閣諸島を巡って日本との開戦は間近と考えているようだ。
しかし、今のところ開戦までは至っていないため、
●.「なぜわが国は釣魚島で戦争をしないのか?」
というスレッドが中国大手検索サイト百度の掲示板に立てられた。
スレ主の質問に対して、中国人ネットユーザーからさまざまな理由が寄せられた。
スレ主によれば、中国政府が尖閣諸島をめぐって日本に攻撃しないことが理解できないという。
●.「今の指導者はかつての革命家のような勇気に欠ける」
とし、
●.「ロシアも北方領土を占領しているのに、なぜわが国は尖閣諸島を占拠しないのか、それは政府が無能だからだ」
と主張した。
同主張に対して
●.「当然、政治的判断からだ。戦争する勇気があるか無いかの問題ではなく、戦争できるかどうかの問題」、
●.「中国の目標は釣魚島を占拠することではなくて失わないこと。
平和的解決こそが先決で、武力に訴えたら経済が発展しなくなる」
など、政治や経済的な理由で戦争しないとの意見が寄せられた。
また、
●.「なんで分からないかなぁ。
今は力を蓄える時期で、世界第一の強国になった時に戦争するんだよ」、
●.「中国はまだ発展途上国で、いま重視すべきは経済と軍事だ。
米国のように発展するのにあと50年はかかる。
いま戦争したら発展が遅れてしまう」
と、今はその時期ではないとの意見もあったが、つまりは時が来たら戦争する気満々のようでもある。
ネットユーザーらの主張の多くは
“いずれ日本と戦争はするだろうが、今は実力を高める時期”
という意見だったが、軍事力の向上よりも、まずは中国国民全体の文明度や民度を向上させてもらいたいものである。
』
中国政府としては開戦できるならしたいだろうに。
開戦したら共産党が潰れる可能性もある。
「尖閣デモ」という読み違いで、自ら奈落の縁に立たせてしまうと大ヘマをやらかしてしまったいま、
もう大きな賭けにでるほどの勇気はいまの中国当局にはない。
なんとか、この時期ををしのぐので精一杯といったとことだろう。