●バリ島でAPEC首脳会議が開催された。日本の安倍首相も出席し、中国の習近平国家主席と握手したようだが、本格的な日中首脳会談は実現しなかった。中国はなぜここまで無礼で強気なのか。写真は2012年9月と2013年1月に出された米議会調査局CRSリポート。
アメリカは再三にわたって
「アメリカは尖閣諸島の領有権に関しては、紛争関係者のどちらの側にも立たない」
と宣言している。
これが日本を強気にし、中国をいらだたせる。
なぜなら、
「アメリカの顔色を伺うことなく、
日本は独自に尖閣問題を処理できる」
という確約を得た、とおもっているからである。
中国はアメリカが中に入ってまとめてくれることを希望していたが、
アメリカに突き放されて中国が一人で日本とぶつかり合わねばならなくなった。
「アメリカ・中国大国関係」なるものを作って二人でうまくやっていこうと思った矢先に、アメリカつまり仲介役を失ってしまったわけである。
さらに悪いことに、
尖閣の施政権は日本にあるので、安全保障の範囲内であるとアメリカが宣言した
ことである。
アメリカは主権問題には関わらないが、安全保障にはかかわる、という
「虫にいいことをほざいている」
わけである。
これでは誰でも「こんちくしょう」と怒り狂うのが常識。
まるでは中国のメンツ丸つぶれになる。
アメリカとしてはギリギリの綱渡りをしている。
韓国が中国についた今、日本はアジアの最前線になる。
もし、ここを手放したらもはやアジアの趨勢は決まったといっていい。
よって何がなんでもアメリカは日本を支援するしかなくなってきている。
しかし中国は怒りをアメリカにぶつけるわけにもいかない。
そんな力はいまの中国にはない。
中国としてはなんとか二人三脚で事を進めていきたいと念願している。
ためにアメリカに向かうべきウップンが、波高くして日本にぶつかってくるわけである。
しかし、中国にとってさらに悪いのは、
そのウップン行為を日本がうまく使って、過去の因習を精算しようと計っていることである。
「中国の恫喝が日本を窮鼠にした」
という大義をたててせっせと対中国策を作成し実行しているわけである。
そしてそれを、日本人の9割が正当行為として認証している、ということである。
悪いことに日本には「中国への恐怖」というものがない。
日清戦争で北洋艦隊を撃沈した以降、中国に戦いで負けた経験がない。
よって、いくら中国が脅しをかけてもそれに対して
「怯え」というものが沸かない。
アメリカには負けたというのは骨身に染みている。
これは工業力の差だと思っている。
海を挟んだ国の対立は、その海を越える工業力があるかないかである。
よって、いまの日本はそのにおいて中国より勝っているので恐怖感が湧いてこないのである。
尖閣領域の中国巡視船の侵入はハエが時折り飛んでいる程度にしか感じないのである。
本気になれはいつでも楽に叩き落してしまえる、という程度のものなのである。
そのハエ叩きを大仰に言い立てて、軍事装備の充実に走るという悪知恵を働かせているのが日本である。
まさに今の中国は、冷静に考えれば踏んだり蹴ったりの状態にあることが、自ずとわかるはずでなのある。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年10月9日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77689&type=0
中国はなぜ日中首脳会談を拒否するのか?
ー「強気」を支える米重大リポートを暴く
10月7日と8日、インドネシアのバリでAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が開催された。日本の安倍首相も出席し、中国の習近平国家主席と握手までしたようだが、それでもなお「安倍・習近平」という本格的な日中首脳会談は実現しなかった。
その理由として、中国の王毅外交部長や李保東外交部副部長あるいは洪磊報道官らは
★.「日本は釣魚島(尖閣諸島)に関して領土紛争が存在することを認めないからだ」
と言ってきた。
言うまでもなく、尖閣諸島が国際法的にも歴史的にも日本の領土であることに関しては疑う余地がない。
にもかかわらず中国はなぜここまで無礼で強気なのか。
▼.CRS(米議会調査局)リポート
●.その背景の一つには、アメリカが「(尖閣諸島の)領有権に関しては、アメリカは紛争関係者の間の、どちらの側にも立たない」と表明している事実があると思われる。
2012年9月25日と2013年1月22日、アメリカ連邦議会の調査局は同じタイトルのCRS(Congressional Research Service、米議会調査局)リポートを出した。
タイトルは「尖閣諸島(釣魚島/釣魚台)紛争:アメリカの条約義務」。英語で原文を書くと“Seankaku(Diaoyu/Diaoyutai)Islands Dispute : U.S.Treaty Obligation”というものである。
Diaoyuは「釣魚」の中国語発音で、Diaoyutaiは「釣魚台」の発音表記。
中国大陸では尖閣諸島のことを「釣魚島」と称し、台湾では「釣魚台」と称する。
「Senkaku」に加えて、中台の呼び方をもタイトルに示し、この三つの国・地域で「紛争」があるということをアメリカは明示している。
CRSリポートの1頁目には
「アメリカ政府は少なくともニクソン政権までさかのぼって、アメリカは領土紛争のどちらの側にも立たないと宣言してきた」
と書いてある。
今年6月8日、オバマ大統領は習近平との米中首脳会談で、高らかに
「アメリカは尖閣諸島の領有権に関しては、紛争関係者のどちらの側にも立たない」
と宣言した。
CRSが、2回にもわたって同じタイトルのリポートを出したのは、おそらくこの日のオバマ宣言の準備のためだったと思われる。
中国はCRSリポートに俊敏に反応した。
2012年10月に入るとすぐに中国の中央テレビ局CCTVはCRSリポートの特集を組み、アメリカの「領土紛争のどちら側にも立たない」という言葉を「アメリカは釣魚島の領有権が日本にあるとは言っていない」と焼き直して熱論を展開。
ネットもCRSリポートで燃え上がり、1000万件以上のヒット数が見られた。
同じ時期、日本はこのCRSリポートに関してはほぼ無反応だったと言っても過言ではない。
しかし中国はCRSリポートにもあるアメリカの立場に照準を当てて国策を練っている。
だから強気なのだ。
アメリカの見解に根拠を置き、日本が尖閣諸島の領有権に関して「紛争がない」とする見解を非難している。
▼.中国はかつて「尖閣諸島は日本の領土」と主張
しかし、その中国、実は1960年代までは尖閣諸島を含めた沖縄県を「日本の県の一つ」と定義し、むしろ積極的に日本の領土であると主張してきた。
ところが1969年11月に、ニクソン・佐藤による米中首脳会談が開催され、沖縄返還に関する共同声明が発表されると、在米台湾留学生が「中華民国」(台湾政府)の蒋介石総統に対する抗議運動を展開し始めた。
ニクソンが北京政府に接近し、中華人民共和国(現在の中国)が「中国」の代表として国連加盟しそうになっていたことも絡んでいる。
なぜならそれは同時に「中華民国」の国連脱退を意味していたからだ。
学生たちはこのような屈辱的敗北にも怒っていた。
1969年5月に国連のECAFE(アジア極東経済委員会)が尖閣を含めた東シナ海海底に石油資源がある(ようだ)という調査結果を発表すると、それもまた蒋介石を非難する材料の一つになり、蒋介石は遂に「釣魚台は中華民国のもの」と主張せざるを得なくなった。
台湾政府を切り捨て、北京政府を「中国」として国連に入れようとするニクソン政権に対して蒋介石自身も激怒。
こうして綱渡りのようなせめぎ合いの中で生まれたのが
「尖閣諸島の領有権に対してアメリカはどちらの側にも立たない」
という宣言だ。
これを前提として沖縄を日本に返還(1971年6月調印)。
1971年10月25日に国連加盟を果たした現在の中国は、その2カ月後の12月30日に国連海洋法委員会で釣魚島の領有権を初めて正式に宣言し、今日に至っている。台湾が主張していた領有権まで、中国が「引き継いだ」のである。
▼.「沖縄返還」引きずるアメリカ
昨年と今年の二度にわたって出されたCRSリポートも、このせめぎ合いを今日まで引きずっている。
このリポートには「アメリカが(1951年の)サンフランシスコ平和条約で日本から委託されたのは沖縄県の施政権(&立法権・司法権)のみで、沖縄返還で返したのも施政権(&立法権・司法権)のみ。
その他の(残りの)権利に関してアメリカは関知しない」という趣旨のことが明記してある。
それがアメリカの立場だ。
中国が日中首脳会談を拒否し、我が国の尖閣諸島の領空領海を不当に侵犯する原因は、もちろんこれだけではない。
6億の網民(ネットユーザー)の80%が愛国主義教育を受けており、その網民から「政府は弱腰」と攻撃されるのを恐れているという国内事情もある。
ただ日本としては日本の国益と国民を守るために、中国対策に関しては、むしろアメリカの見解を真正面から分析していく必要があるのではないだろうか。
(なおCRSの定款によれば、CRSリポートは米連邦議会のすべての議員に配布する。)
遠藤誉(えんどう・ほまれ)
筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動 かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子チャーズ―中国建国の残火』『完全解読「中国外交戦略」の狙い』など多数。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年10月9日 9時37分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77656&type=0
中国包囲網の突破めざす習近平主席のAPEC首脳会議出席、中国外交の転機に―SP華字紙
7日、シンガポール華字紙はこのほど、中国の習近平国家主席のAPEC参加と東南アジア訪問を高く評価する社説を掲載した。
2013年10月7日、中国日報網によると、シンガポール華字紙・聯合早報は4日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席のアジア太平洋経済協力会議(APEC)参加と東南アジア訪問を高く評価する社説を掲載した。
米国が「アジア回帰」外交戦略を表明し、南シナ海における主権問題に関して
対中国包囲網を敷く中、習主席の東南アジア訪問はそうした包囲網を突破しようとしている。
今回習主席が訪問したインドネシアとマレーシアは東南アジア諸国連合(ASEAN)発足時の加盟5カ国の一角であり、中国との間で良好な関係を維持してきた貴重な東南アジアの国でもある。
習主席はインドネシア国会での演説で中国の平和的台頭と友好的な外交方針を重ねて強調し、「中国-ASEAN運命共同体」の理念を表明。
アジアの発展途上国のインフラ建設を支援する「アジアインフラ投資銀行」の設立を提唱し、また「中国-ASEAN国防相会議」の整備や、今後3~5年間にASEANに1万5000人分の政府奨学金を提供するといった具体的な措置を通じて、経済協力、文化交流、安全保障上の協力態勢の充実化を図る構想を明らかにした。
こうした構想が現実のものとなれば、中国とASEANの関係強化は確実となり、日本や韓国との間でのASEANを巡る外交競争で有利に働くことは疑いない。
中国は経済関係ではすでに米国を上回っており、日本と韓国も含めたアジア各国の経済成長に影響を与える重要な存在となっている。
一方、米国はアジアの戦略的バランスを維持することで高まる中国の外向的影響を抑えようとしている。
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この記事は「中国包囲]」の存在を認め、それに対して中国が突破策を実行している、というものである。
これまでの中国の「強盛外交」はこのさい引っ込めて、「友好外交」に切り変えよう、という中国の姿勢を積極的な評価をしようということになる。
なんとも、涙ぐましいが、
そこまで傲慢一途な中国が追い込まれている、
ということでもある。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年10月10日 17時39分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77764&type=0
オバマ大統領APEC欠席も、
米国の“中国包囲”の既定路線は変わらず―米華字紙
2013年10月9日、米華字紙・世界日報は、オバマ大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を欠席しても、中国包囲政策が変わるわけではないと報じた。
中国新聞網が伝えた。
先ごろ行われたAPEC首脳会議にオバマ大統領が欠席したことで、米国の「アジアへのリバランス」戦略はその力を弱めたと見る向きもある。
しかし、オバマ大統領がAPECを欠席しても、米国の“中国包囲”の既定路線は変わらない。
世界的な景気後退の中、ASEAN諸国は中国によってもたらされる経済貿易の恩恵を必要としながらも、政治や軍事においては米国を頼ることでバランスを保っている。
米国は国力の低下や国内の政治勢力分裂の影響で、国際舞台での影響力が確実に弱まってはいるが、現状ではまだアジア太平洋地域での覇権を握っている。
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