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ウォールストリートジャーナル 2013年 10月 01日 14:05 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304827404579108382573075574.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsThird
中国進出海外企業の新たな難題
世界の大手消費財メーカーの一部は、中国で予想外の新たな現実に直面している。
それは、毛沢東時代を思わせる強硬な政治姿勢だ。
中国を拠点とする西側企業の幹部、弁護士、それにコンサルタントによると、世界の名だたる乳製品メーカーや製薬会社の一部がからむ製品価格の共同謀議疑惑や汚職疑惑への中国当局の対応に、過酷な政治的要素や排外的な側面が見受けられるようになってきているという。
8月には、価格を操作したとして乳製品メーカー6社に総額1億ドル(約100億円)を超える罰金が科された。
メーカー各社は罰金を支払ったほか、粉ミルクなどの製品の価格を引き下げた。
法的に訴える権利があったにもかかわらず、罰金という行政処分に異議を唱えたメーカーは皆無だった。
規制当局は、製薬業界についても調査しており、英グラクソ・スミスクラインは汚職の疑いで捜査を受けている。
グラクソは中国幹部の一部が法律に違反した恐れがあることを認めている。
これだけでない。
業界関係者によると、
西側の自動車メーカーや医療機器メーカーも一連の捜査に備えている。
では、中国は多国籍企業に宣戦を布告したのだろうか。
そういった判断は大ざっぱすぎるだろう。
中国ほど外国企業の投資にオープンな新興国はほとんどないし、米国企業を対象にした調査によると、中国は、たとえ多くの外国企業が株式保有制限や技術移転の強制にいら立っているとしても、依然として魅力的で収益力のあるビジネスの場だ。
それでも、価格操作の捜査手法からは、
中国のビジネス環境が全体的により危険になってきていることがうかがえる。
多くの西側企業の幹部を悩ませているのは、価格操作の捜査対象が外国企業に集中していることだけではない。
中国の国営メディアが、標的となった企業を痛烈に非難することが多いことも悩みの種だ。
企業で働く個人やその関係者でさえも名指しされる。
法律家などの人々は、このように駆使される戦術に憂慮すべき毛沢東時代の名残りがみられると指摘する。
ある西側の弁護士は、クライアントである幾つかの多国籍の乳製品メーカーや製薬会社が規制当局から受けた取り調べについて、「(宗教裁判のように)厳しい尋問」と表現した。
この弁護士によると、「典型的な最初の手」は、企業のトップを集めて会合を開き、そこで当該企業に対し、罪の疑いのある内部文書を提示する。
そして「あなたが白状するなら、われわれは寛大になれる」と告げる。
その後、企業幹部らは価格の引き下げに同意して「不正を認める」よう促される。
当局に従わせるため、幹部らはライバル企業が既に不正を認めており、価格の引き下げに応じているとも告げられるのだという。
中国国家発展改革委員会のXu Kunlin氏は8月、国営テレビに対し、何社かの乳製品メーカーは「積極的な自己修正を行った」ために懲罰を逃れたと述べていた。
こうした戦術は、共産党の初期の時代にさかのぼる政治工作法の一部だ。
そして実際、それは
習近平党総書記(国家主席)が汚職を根絶する努力の一環として採用した新しい政治スタイルのために着想されたものだ。
先月、党の有力幹部だった薄熙来氏が無期懲役の判決を言い渡され、汚職撲滅運動における最も顕著な国内の標的になった。
多くのルールがしばしばあいまい(恣意的にあいまい)で、
断続的に執行される国では、外国企業の幹部は、
法的な問題や法順守の問題に極めて警戒的になっている
という。
習総書記は、大衆の共産党支持を強固にしようとするにあたって、
ポピュリスト(大衆迎合)的なアジェンダ(目標課題)を推し進めている。
当局者の汚職や、医薬品を含む日常の必需品・サービス価格の高騰ほど、中国の大衆をかき立てる問題は少ない。
そして規制当局者たちは、厳しく行動しているとみられることに強い誘因を感じる。
加えて、中国では国内企業の間での行動を良くするため、外国企業の例を引くのが伝統的な手法だ。
国内企業とは違って、外国企業には官僚制度上の保護ネットワークがない。
このため中国当局は汚職、環境汚染あるいは労働搾取といった不正行為疑惑に迅速に対応する。
インディアナ大学の中国政治・企業研究センターのスコット・ケネディ所長は
「彼らは最も容易な標的を攻撃するのだ」
と述べた。
しかし、経済が鈍化するにつれて、国内保護主義のリスクが高まっている。
中国は輸出・投資型の成長モデルから消費型のモデルにシフトしつつある。
それは勝者と敗者のいずれも生み出すプロセスだ。
有力ブランドと高品質の評判のある外国消費財企業は、勝者になるはずだ。
しかし国家に支援された「ナショナルチャンピオン(国民的な代表企業)」が果敢に反撃に出て、官僚の中に仲間をつくって支持を得ると予想したほうがいい。
規制当局による執拗な尋問をくぐり抜けた
西側の企業幹部は「恐怖におののいている」
と、西側の弁護士は言う。
国家発展改革委員会は詳細なファクスの質問状に今のところ回答していない。
中国の中央テレビは8月、拘束された英国人の民間コンサルタント、ピーター・ハンフリー氏と中国系米国人の妻を登場させた。
彼らの会社はグラクソのために特定の仕事をしていた。
赤い囚人服を着たハンフリー氏は自分の事業で「非合法的な方法」を使ったと白状し、「中国政府に謝罪する」と淡々と語った。
中央テレビが上海警察当局者とインタビューしたところでは、ハンフリー氏の犯罪は、財産や旅行記録などの情報を集めることで中国市民のプライバシーを侵害したというものだった。
これら個人情報は西側企業、法律事務所、ヘッジファンドが通常求める秘密情報だ。
ハンフリー氏の家族も弁護士も、テレビ番組でコメントしなかった。
確かに、在中国外国企業にも罪がないわけではない。
国際コンサルタント会社Booz&Co.のセーラ・バトラー氏は、中国での外国のジェネリック薬品は「予想している以上に高い」と述べた。
それでもなお、外国医薬品メーカーを攻撃しても、それは医薬品業界内部にはびこる組織的な汚職という、もっと根本的な問題を解決しない。
中国の病院は、基礎的な医療サービスについて市場実勢を下回る料金にするよう政府から強制されており、病院は医師に支払う金がほとんど残らない。
その結果、医師たちは安い給料に上乗せするため、医薬品会社からキックバックを得るのが日常茶飯事だ。
実際、バトラー氏は、こうした種類の汚職がなければ「医療制度が成り立たない」と述べ、「医師にどう給与を支払うのか」と問いかけた。
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いま、日本政府は中国との交渉を棚にあげて時間稼ぎをしている。
中国は行き詰まっており強権化・毛沢東化が進行している。
そのなかで大企業なら自前でやってやっていけるだろう。
しかし、中企業以下がやっていかれる環境はすでにない。
早めに資金・資産を引き上げないと、抑えられてしまうだろう。
中国は
「ババを掴むのは誰か?」
のレベルにまで入ってきている。
日本政府の時間稼ぎの側面援護ができるのもあと僅か。
なにしろ、早く脱出しろ!
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レコードチャイナ 配信日時:2013年10月3日 9時44分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77376&type=0
<日本人が見た中国>
苦汁をなめた経営者が語る「中国ビジネス成功」のカギとは?
● 私は以前、北京で倉庫業をしていたことがある。
土地のオーナーから土地と建物を借り、建物を倉庫に改造して、様々な業種の企業に貸し出す、という仕事だ。
写真は不動産の看板。
私は以前、北京で倉庫業をしていたことがある。
土地のオーナーから土地と建物を借り、建物を倉庫に改造して、様々な業種の企業に貸し出す、という仕事だ。
元々、当社では海外引越の仕事のために800平方メートルの倉庫を借りていた。
その後、ありがたいことに仕事が増え、この面積では手狭になり、2倍の1600平方メートル前後の別の倉庫を探していた。
しかし、当時の中国の景気は絶好調、そんなまとまった面積の倉庫を貸してくれる会社はなく、800平方メートルの倉庫はパンク寸前になっていた。
そこで、発想を転換した。「そんなに倉庫が足りないなら、貸す側に回ればいいじゃないか」。
探す対象を倉庫ではなく、空き工場にしたところ、すぐに8300平方メートルの旧木工工場が見つかった。
当社はこの旧木工工場の建物を倉庫に改装し、1600平方メートルを自社で使用、残りの6700平方メートルを貸し出すことにした。
しかし、時はおりしも北京オリンピック開催直前。
北京市内には厳しい交通規制がしかれ、北京の物流はほぼストップした。
物流がストップしているときに、倉庫を借りる人はいない。
改装を終えた倉庫は、何カ月もの間開店休業状態となり、土地と建物のオーナーに支払う家賃だけが流出していった。
その後もリーマンショックを発端とする金融危機などで物流の量が減少したが、倉庫は徐々に埋まり始め、3年後、ようやく満室となった。
「さぁ、これから倉庫の改装費用と、開店休業状態のときに出した赤字を取り戻すぞ」
というときに、土地と建物のオーナーから賃料の大幅な値上げ通告があった。
そんな値上げを受ければ全く利益が出なくなってしまうし、契約書にも書いていない値上げだったので、当社は当然のように断り続けた。
しかし、何度目かのお断りの翌日、倉庫に地元の役人が来て、重箱の隅をつつくような査察を行い、巨額の罰金を言い渡していった。
偶然か、とも思ったが、北京市内でも郊外では中国の田舎と同じで、政府の役人も企業オーナーも警察もヤクザもみんなグルになっておいしい汁を吸っていると聞く。
今回は役人だったが、地元のヤクザが来て、倉庫に放火されたり、当社の社員に危害を加えたりされたらたまらない。
この完全にアウェーの地で、何をされるかわからない強烈な恐怖感から、悔しいながらも当社は土地と建物をオーナーに返却、後には取り戻せなかった巨額の赤字だけが残った。
完全に向こうの契約違反なので、裁判に訴える手もあったと思うが、彼らが裁判官に後ろから手を回して、公正な裁判が行われない可能性もあったし、たとえ勝訴して値上げ撤回を勝ち取っても、アウェーの地で何をされるかわからない恐怖は続いたであろう。
この事件から学んだのは、中国でビジネスをする場合には、なるべく田舎ではなく、都会でやった方が良いということだ。
中国は法治国家化が進んでいると言われているが、田舎にはまだまだ既得権益層である政府の役人、企業オーナー、警察、ヤクザなどがみんなでグルになっておいしい汁を吸っている無法地帯のようなところがあるように思う。
今後、中国に進出する日本企業が、彼らの餌食にならないことを祈るばかりである。
■柳田洋
永豊有限公司 総経理
1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。現在は中国での会社経営経験を生かし、中国に積極展開しようとしている日本企業の社員を対象に、講演、助言などのサポート活動を行う。著書に「起業するなら中国へ行こう!」
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レコードチャイナ 配信日時:2013年10月2日 17時18分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77472&type=0
<尖閣問題>
安倍首相、中国海警局の尖閣海域侵入を批判=日中首脳会談も要望―中国メディア
●1日、安倍晋三首相は日本のテレビ番組に出演、中国海警局の船が尖閣諸島付近の海域に侵入している件に関し、「中国が力ずくで現状を変えようとするやり方は非常に遺憾であり、絶対に妥協しない」と発言した。資料写真。
2013年10月1日、安倍晋三首相は日本のテレビ番組に出演、中国海警局の船が尖閣諸島付近の海域に侵入している件に関し、
「中国が力ずくで現状を変えようとするやり方は非常に遺憾であり、絶対に妥協しない」
と発言した。
2日付で環球時報(電子版)が伝えた。
安倍首相は番組の中で、尖閣諸島の領有権問題については
「いかなる妥協の余地もない」
と表明。
しかし、同時に
中国との対話の窓は常に開いている」
とも述べ、日中首脳会談実現を望んでいることも明らかにした。
ただ、政府筋が明らかにしたところによれば、安倍首相は10月上旬にインドネシアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での日中首脳会談を見送ることを決定したという。
中国海警局の船が尖閣海域を巡視している件について、中国外交部はこれまで
「中国側の釣魚島(尖閣諸島)の主権を守る決心と意志は堅固で揺るぎないものだが、同時に対話による協議を通じて平和的に紛争を解決するよう尽力したい。
海警局の船による釣魚島海域の巡視は、同海域の管轄権を行使した通常の公務活動である」
との立場を繰り返し表明している。
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両者が立場を変えないなら、時間稼ぎになる。
「長く、静かな戦い」と中国は言っているが、いつ豹変するかわからない。
時間は差し迫っている。
中国が生産工場から消費市場になるかならないかは本当のところわからない。
そういう変化があるなら変化に伴っての権力行使が行われる。
逃げられるなら、早く逃げたほうがいい。
毛沢東化する共産党が支配する社会主義国家に中に取り残されてもやってけるだけの自信があるならそれもいいだろう。
でないなら、資本を押さえられる前に逃げ出したほうがベターだ。
中国はこれからリスクがどんどん大きくなっていく。
「リスクが小さくなる」、なんてことは絶対にない。
それに見合う利益を稼げると思うか思わないかは、それは各自の判断である。