● 今年を100とした中国と日本の生産年齢人口の全人口に占める比率
(中国:赤、日本:水色、中国で従来予想より年間150万人ずつ新生児が増えた場合:ベージュ)
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ウォールストリートジャーナル 2013年 11月 22日 13:02 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304152804579212891245774258.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsThird
By BOB DAVIS
中国の一人っ子政策緩和で、子供養育に労働時間奪われる
【北京】中国による一人っ子政策の緩和は、玩具メーカーや家庭教師に有利に働くかもしれない。
しかし、エコノミストは、同国の経済全体でみれば向こう15年にわたって成長には寄与せず、それどころか赤ちゃんの世話のため職場を離れる人々が増えるにつれて、経済問題が深刻化する可能性もあると指摘する。
中国は人口動態面で急激かつ不可逆的なシフトを迎えようとしている。
国連の推定によれば、
中国の生産年齢人口が総人口に占める割合は2015年にピーク
に達した後、急速に減少し始める。
先週発表された一人っ子政策の緩和は、夫婦のどちらかが一人っ子だった場合、その夫婦は2人目の子供を持てるというものだが、それは将来的に労働者が増えることを意味する。
しかし人口統計学者は、それは、中国の人口動態上の問題を解決するのではなく、むしろ悪化させるだろうと言う。
両親や祖父母が増加する赤ちゃんの世話のため、労働時間を減らすからだ。
労働力の供給減少は経済にマイナスの影響を及ぼす。
すなわち、労働の価格、つまり労賃を押し上げるから、中国の低価格輸出品工場にとってライバルとの競争が難しくなる。
それはまた、増大する年金生活者や子供たちの扶助を難しくする。
一つプラスの面は、政策変更に伴う出生人数の増加で消費が増加し、こうした経済的なマイナスを相殺する公算が大きいことだ。
中国の労働力供給は、猛烈な経済成長にとって不可欠だった。
過去30年間、中国の生産年齢人口は、絶対数でみても労働力のシェアでみても拡大した。
それは次々に新設される工場で働ける労働者が増えていったことを意味し、しかも、こうした労働者は扶養する家族がほとんどいなかった。
しかし、ここに来て、中国の人口動態からの経済的な追い風は、逆風となって経済成長の足かせになろうとしている。
国連の推計では、同国の生産年齢人口は向こう15年間減少し続ける見通しで、1990年代の日本のそれと同じ程度に急激に減少する恐れもある。
日本の経済はそれまで極めて急速に成長していたため、米国を抜いて世界最大の経済大国になると予想するエコノミストも少なくなかった。
しかし実際には日本経済は停滞し始めた。
2011年には、中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国になった。
上海・復旦大学のエコノミスト、彭希哲氏は
「一人っ子政策の緩和は、中国経済にとって扶養負担を増やすだろう」
と述べ、「それは大きな負担だろう」と語った。
新方針が発表される前、シティグループのエコノミスト、ネーザン・シーツ、ロバート・ソッキンの両氏は、中国の人口動態問題の結果、年間経済成長率は2012年から30年までの間3.25%ポイント押し下げられるだろうと推計していた。
ちなみにそれまでの数十年間の成長率は2ケタを続けていた。
全体として、両氏は、向こう20年間の中国の成長率は高くとも6.9%で、
「相当大幅に下回る」可能性もあると予測していた。
両氏は新政策発表を受けて、生まれる赤ちゃんが年間150万人増えると想定し、計算し直した。すると、人口動態問題は向こう15年間一段と悪化するとの結果が出た。
シーツ氏は
「国民に子供をもっと多く持たせることは、子供が成人になるだいたい20年後にならないと、労働者不足を是正できないことを意味する」
と述べ、
「その時まで、増えた子供は就労していないし、養育の必要があるからだ」
と指摘。
「財政コスト(とりわけ学校建設や運営)が増加するほか、労働に費やしていた親たちの時間が養育に当てられるだろう」
と語った。
同氏は元米連邦準備制度理事会(FRB)上級国際エコノミストだ。
同氏は他方で、中国の親たちは誕生した子供のための支出を増やし、その結果、消費が喚起されるだろうとも述べている。
多くの産業部門は新たに生まれた子供たちから恩恵を得るはずだ。
例えば玩具、衣料メーカー、そして教育産業だ。
子供が大きくなるにつれて、アパートの数も広さも必要になるだろう。
これらは全て、中国の貯蓄率を低下させ、経済が輸出・公共投資型から国内消費型に移行するのを促進する可能性がある。
全体として、シーツ、ソッキン両氏は、消費からのプラス効果は、人口動態に伴うマイナス効果と拮抗すると推定している。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月9日 19時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80198&type=0
<一人っ子政策>罰金は地方政府の大事な収入源、2012年は3400億円超え―英紙
●5日、12年に一人っ子政策違反者から徴収した罰金の額を、中国の各地方政府が初めて公開した。その総額は200億元(約3400億円)を上回った。写真は一人っ子政策のスローガン。
2013年12月5日、英紙デイリー・テレグラフによると、12年に一人っ子政策違反者から徴収した罰金の額を、中国の各地方政府がこのほど初めて公開した。
その総額は200億元(約3400億円)を上回るという。
6日付で中国・参考消息網が伝えた。
中国国内31の省と自治区のうち、24の省と自治区の政府が公開したデータによると、12年に一人っ子政策に違反した者から「社会扶養費」の名目で徴収した罰金の総額は全体で200億元を突破。
中国南部の広東省の徴収額は14億6000万元(約247億円)に上った。
この巨額の罰金の使途について、各地方政府は一切非公開にしている。
浙江省の弁護士・呉有水(ウー・ヨウシュイ)氏は、
「当初、こうした罰金は人口抑制のために役立っていると思っていた。
しかし、その後、地方政府がこの罰金制度を利用して重要な収入源にしていることに気づいた」
と話す。
そこで今年7月に各省に対し、情報公開を求める文書を送ったという。
中国政府はこのほど、両親のいずれかが一人っ子の場合、2人目の出産を認める事実上の緩和策を発表した。
しかし、前述の呉弁護士は
「2人目の子供を出産した夫婦から、地方政府が何がしかの『罰金』を徴収する可能性がある」
と指摘する。
「さまざまな書類や証明書の提出を求め、それを提出できないことに対して罰金を科すようになるだろう」
と、同弁護士は予想している。
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