2013年11月11日月曜日

中国共産党三中全会:「国家安全委員会」を新設、中国版「KGB」か?

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●中国の与党共産党は11月9日から11月12日にかけて北京で第18期中央委員会の第3回全体会議を開催する。写真: ロイター通信/ペタル・クジュンジック(Petar Kujundzic)氏


「中国国際放送局日本語版」2013年11月10日
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-11/10/content_30554383.htm

 中国第18期党大会三中全会 世界が注目

 中国共産党第十八期中央委員会第三回全体会議(三中全会)が開催されています。
 世界各国のメディアは、
 「中国の改革開放事業が重要な段階に差し掛かった時期に開かれたこの会議は、重要な政策を決め、改革の全面深化と経済の持続的で安定した発展を進めるための全般的な計画を打ち出すだろう」
と報道しました。

 イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」紙は、
 「三中全会は中国という巨大な船が正しい方向に向かって航行するための信号を示すものだ。
 中国経済は消費と技術革新が牽引する持続的な発展を重視したモデルに移行するだろう」
と指摘しました。

ロイターは、
 「30年以上の改革開放は中国を世界第2の経済体にしたが、内部の矛盾も際立ってきた。
 この矛盾の解決について、今回の三中全会で答えが出されるだろう」
と述べています。

フランス通信は、
 「三中全会は、中国経済の今後の発展方向を決め、中国の経済運営にとって長期的な意義を持つ改革戦略を打ち出すだろう」
としました。

このほかアメリカのAP通信やドイツ通信なども、三中全会に関して報道しています。



ロイター  2013年11月4日 06時03分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/50910/20131104/870342.htm
reporter Name: MORAN ZHANG 翻訳者: 加藤仁美 |

中国の「改革骨子」決める三中全会、抑えておくべき8項目

  11月9日から11月12日の4日間、中国共産党第18期中央委員会の第3回全体会議(三中全会)が北京で開催される。
 2012年11月、胡錦濤(こ きんとう)主席の後任として習近平(しゅう きんぺい)主席による新政権が発足してから約1年が経過するなか、同政権が政治の実権を握り、今後の中国の舵取りと経済改革における新たな展開を示す重大な会議になる。

 「三中全会は、中国の主要な改革の道筋を決定してきた。
 今回の三中全会では党主導による広範囲にわたる改革の進め方が議論され、『改革骨子』が明らかにされると見られる。
 当然、期待は高い」
と英キャピタル・エコノミクス社のマーク・ウィリアムズ(Mark Williams)氏とジュリアン・エヴァンズプリチャード(Julian Evans-Pritchard)氏はクライアントへのコメントとして述べた。

 2013年の三中全会について知っておくべき項目を以下に挙げる。

 1].. どんな会議なのか?

 党中央委員会全体会議では、党主導部による改革論議が展開される。
 広範囲に及ぶ政策が議論され、多くの決定が承認される全会だが、三中全会では常に経済に焦点が当てられてきている。

 全国8千万人の党員の中から選ばれた代表者376名が三中全会に参加する予定だ。
 その多くは高級官僚や政府高官、軍人、企業経営者らである。

 そのような中央委員が集まる年次全体会議は、今政権では3回目の開催のため、「三中全会」と呼ばれる。
 今回の三中全会は、習主席が主催する。

 なお、現在の第18期体制(または18回体制)は2012年11月から17年の秋までの任期5年で、全体会議は任期5年のうち7回予定されている。

 2].. なぜ重要なのか?

 全体会議では時に、非常に重大な事項が決定されてきた。

 中国の歴史の中でも、1978年12月に開催された第11期三中全会は、文化大革命期の清算及び改革開放路線が定まるとともに、毛沢東主席の後継者である華国鋒(か こくほう)氏の失権と鄧小平(とう しょうへい)主席の権力掌握が確定した重要な会議とされ、「新時代の遵義会議」と称される。

 また1993年の第13期三中全会では「社会主義市場経済」が承認され、財政、国有企業(SOE)、銀行部門の一連の改革の基礎が築かれた。
 朱鎔基(しゅ ようき)氏は1993年から98年まで江沢民(こう たくみん)国家主席のもとで国務院常務副総理を、その後98年から2003年まで第5代国務院総理を務めたが、大胆な経済改革を推進した。

  「三中全会は特に重要視される傾向がある。中国の現政権が多くの問題に対処し、構造改革を推進できるかどうか注目されるためだ」
とバンクオブアメリカ・メリルリンチのエコノミスト、ティン・ルー(Ting Lu)氏はレポートで述べた。


●1978年から2008年の第3回全体会議の要約。写真: JPモルガン社

 3].. 今年、期待は高い

 いくつかの懸念や疑問はあるが、今年の三中全会への期待は高い。

 「中国では、改革志向のエリートや専門家たちの間で、過去10年間は主な経済政治改革が行われず『失われた10年』と言われており、特に悲観的だ」
と中国の経済学者ジャン・チャン(Jian Chang)氏は言う。
 「国有部門が民間部門を犠牲にして成長しているため、一般の人々は、中国の急速な成長から何ら公正な恩恵を得ていないという主張もある。
 何の進展もないとされる部門に加えて、明らかに逆行しているとの意見もある」
とチャン氏は述べた。

 こうした中、 2012年11月、10年に1度の中国共産党指導体制刷新により、新体制へ移行した。
 改革への新たな局面に、大きな期待が寄せられている。

 多くの専門家は、主要な経済改革が三中全会で発表されると期待している。
 10月27日、中国政府系シンクタンク、国務院発展研究センター(DRC)は、習指導部が「国民所得倍増」の目標時期としている2020年までを3段階に分け、国有企業や土地、金融などの制度改革を進めることを提案し、この計画を「383改革プラン」として発表した。
 この383プランは
 「三位一体の改革思考、8つの重点改革分野、3つの関連改革の組み合わせ」
による中国の次世代改革ロードマップを指している。

 同計画は次の項目を掲げている。
1)=「市場システムの改善」「政府の役割を変革」「革新的な企業体質の構築」を3つの重要なテーマとして掲げている。
2)=8つの主要な改革分野は、「政府」「独占部門」「土地制度」「金融部門」「税制」「国有資産」「技術革新」「開放経済機構の一層の開放」となっている。
3)=躍進を目指す3分野の中には「開放」や「社会保障改革」「土地改革」がある。

4].. 詳細な改革案を求めると失望する

「中国政府は確かに変革について話題を提供し、新指導者の行革に期待を持たせている」
と仏大手金融機関ソシエテ・ジェネラル社のエコノミスト、ウェイ・ヤオ(Wei Yao)氏は文書で発表した。

 新指導部が、この大胆な計画を実行した場合、中国の長期的な繁栄だけでなく短期的な景況感に確実に影響するだろう。
 しかしヤオ氏は、全体会議で発表される指針があまり詳細でない点に注意すべきだとしている。
 改革のロードマップを示したDRCは、政府の中でも改革志向派であると評されている。

 中国の消息筋によると、今後の会議で抜本的な改革指針を作成するには2つの主要な障壁があるとされる。
1)=新指導部は、その力を統合するためにさらに多くの時間が必要である。
2)=これらの改革が長期的に中国のすべての当事者に利益をもたらす場合でも、過去30年間で形成された既得権益団体が、有意義な改革を阻止する可能性がある。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチのティン・ルー(Ting Lu)氏によると、中国独自の政治システムは、新政権が政府高官らを新体制化に取り込むまでに数年が必要であると述べた。
 現指導部の前任(胡錦濤前国家主席と温家宝前首相)は、体制を固めるために約5年を要した。今振り返ってみても、胡主席と温家宝首相による政権は2期目の2008年から13年でも著しく制約を受けていた。

 「習近平国家主席と李克強(り こくきょう)首相は、この点ではるかに迅速により良い改革を実現できるだろう。
 しかし新体制発足から1年未満では、包括的な改革骨子を提供するのに十分な時間を有したとは言い難い」
とルー氏は述べた。

 また、既得権益層の保護や免除に対して改革を行うことに反発が起こる可能性がある。
 既得権益層が自分たちの利益を危険にさらす可能性のある改革に断固として抵抗を示すかもしれない。

 5].. 障壁にもかかわらず、なぜアナリストは改革に期待するのか?

 中国の政治指導者たちは改革を行わなければどうなるのかを熟知している。
 彼らは、厳しい問題に取り組むことなく中国が経済成長を遂げて社会調和を維持することはできないことを強く認識している。

 「習・李体制の決断と改革を断行する能力に期待している。
 前政権に比べて新体制指導部は若く、地方での行政経験もあり、より良い教育を受けグローバルなビジョンを展開している」
と中国の経済学者ジャン・チャン(Jian Chang)氏は語った。

6].. 新改革計画は中国経済にどのような影響を与えるのか?

中国人エコノミストのチャン氏は、構造改革による現実を反映して、中国の経済成長は三中全会後は幾分緩やかになる傾向があると指摘した。
 短期的にはゆっくりとした速度で成長しつつ、長期的には良い方向へ向かうだろうと述べた。


●経済成長は三中全会後、幾分緩やかになる傾向がある。グラフ提供: バークレイズ

 同国政府が2014年の国内総生産(GDP)の成長目標を7.5%から7.0%に下げるかどうかにかかわらず、短期的な痛み(低い成長)に対する耐性の許容は、消費主導に向けて経済調整を達成できるのかという指導者を評価する1つの尺度になる。

 7].. 今週末の三中全会での国有企業改革

 エコノミストは、中国の国有企業、特に同国中央政府の国有企業(SOE)の改革には期待していない。
 「多くの政府当局者は、多数の国有企業が深刻な構造的問題を根底に有していると認めている。
 しかし彼らは、国有部門は党を指揮管轄し(自身を豊かにする)重要なツールであることもまた認識しているため、改革を受け入れるのは気が進まない」
とキャピタル・エコノミクスのウィリアムズ氏は語った。
 特に都市層の水、ガス、電気など重要な公共部門の価格の規制緩和は期待できない。

 8].. 主な改革予想は?

 イギリス・ロンドンに本拠を置く国際金融グループ、バークレイズのエコノミストが三中全会後の改革概要を予測した。
 それによると、来年までに金融改革や税制改革、サービス部門の自由化が進むとされるほか、1人っ子政策の緩和も2014年までに更に進むなど、計25項目の改革が予想されている。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月11日 6時32分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=78953&type=0

中国「三中全会」―「共産党幹部による利権独占と腐敗」の壁


●9日から12日まで、中国共産党第三次中央委員会全体会議(三中全会)が北京で開催されている。経済の構造改革などが中心テーマ。健全な市場経済の成長にはエネルギーや通信などの国有企業独占にメスを入れることが不可欠だ。写真は京西賓館。

 2013年11月9日から12日まで、中国共産党第三次中央委員会全体会議(三中全会)が北京で開催されている。
 中共中央委員会全体会議(中全会)は第一回の「一中全会」以外は、開催地を事前には公開しない(これまでは主として京西賓館)。

 会議の模様はいずれの場合も非公開。
 閉幕したときに記者会見をして公開するだけだ。

 習近平政権の「一中全会」は昨年の第18回党大会(11月8日~14日)が終わった翌日の11月15日に開催され、中共中央政治局委員25名と政治局常務委員会委員7名(チャイナ・セブン)を選出した。
 場所は党大会直後なので、一般にそのまま人民大会堂で開催される。
 
 このように「一中全会」は任期5年の「中国共産党指導層を選ぶ全体会議」である。

 習近平政権の「二中全会」は2013年2月26日から28日まで開催された。

 「二中全会」では新政権第一回目の全国人民代表大会(全人代)(3月5日)で国務院(中国人民政府)の指導者を誰に指名するかという人選と、全人代で何を議題にするかということを議論する。
 つまり「国家の指導層を決める全体会議」だ。

 党の会議である「二中全会」で決めた「国家」の人事と議題が国策を決めていくのだから、「党が国家を指導する」という中国の国家運営の全てが、この「二中全会」に込められていると言っても過言ではない。
人事で言うならば、具体的には国家主席、国家副主席、国務院総理、国務院副総理を誰にするかなどを決めるのである。

 それなら、いま開かれている「三中全会」は何を決めるのかというと、原則として「新政権の経済戦略」を討議する
 過去の例を見ると、トウ小平が君臨していた1978年の「三中全会」は改革開放路線を打ち出したし、93年の「三中全会」は社会主義市場経済を打ち出した。
 マルクスレーニン主義の中国化を謳い、平等を旨とする社会主義なのに自由競争を奨励する市場経済に走る中国を「特色ある社会主義国家、中国」と定義づけた年でもある。
 ここから今日の中国のあらゆる矛盾が噴き出し始めた。

 胡錦濤政権第一期目の「三中全会」(2003年)では、社会主義市場経済が招く若干の問題点を論じ、主として三農(農村、農業、農民)問題を目玉としたくらいで、あまりパッとはしなかった。

◆抜本的経済構造改革は可能なのか

 今回の「三中全会」の主たるテーマを中国では「前例のない経済改革」とか「全面的な改革の深化」と宣伝しているが、具体的には何をするのか。

 まず着手しなければならないのは経済の構造改革だ。
 健全な市場経済の成長にはエネルギーや通信などの国有企業独占にメスを入れることが不可欠。
 また国有企業や地方人民政府に有利になっていた金融システムの改革も必要だ。
 これがシャドーバンキングという必要悪を招いている。
 環境汚染を防ぐためのコストを省いて利潤ばかりを重視してきた投資の猛省も求められる。
 その他、土地改革や戸籍制度の見直しも討議されるだろう。

 要はひとことで言えば、
 一党支配の下で自由競争を奨励してきたことが招いた「党幹部による利権独占と腐敗」と闘わなければならない
というわけだ。
 そのため少なくとも許認可権限の見直しに関しては、習近平政権発足以降、すでに200項目ほどは廃止している。
 党幹部が許認可権を持っていて、一つの許可をもらうまでに何十段階もの関門があり、各関門で賄賂が動くからである。

 さて、「四中全会」と「五中全会」はその他の諸問題とともに、次の五カ年計画が討議され、「六中全会」は精神文化といった思想面がテーマとなる。
 胡錦濤政権の「六中全会」(2011年)は「社会主義的価値観」が論ぜられた。
 習近平政権の「六中全会」(2016年)では「大衆路線」がテーマになるだろう。
 最後の2017年では第19回党大会直前に「七中全会」が開催され、次の5年間の国家指導層の人事案が討議される。
 現在のチャイナ・セブンの内、習近平と李克強以外はすべて年齢制限により引退するからだ。

 今回の「三中全会」で決議されたことの一部は、明日12日の閉幕後に記者会見で発表される。
 あくまでも「一部」であって、非公開あるいは未議決の内容は、今後、中共中央政治局会議やその常務委員(チャイナ・セブン)会議で常時討議されていくことになる。
 解決できない課題の方が、より多く積み残されるであろうことは想像に難くない。 

 天安門の車炎上事件に続く山西省党委員会庁舎前の爆発事件。
 民衆の不満は年間20万件に上る抗議運動の中で国際社会にまで顕在化しつつある。
 追い込まれた習近平政権に、どこまでの経済構造改革ができるのか。
 そもそも一党支配を崩さず、政治体制改革が成されない現状で経済構造改革をしたとしても、中国に潜む根本的問題は解決されない。
 今後の動態に注目したい。
(なお「三中総会」と報道する日本のメディアが散見されるが、正しくは「三中全会」(全体会議の省略)である。)

(<遠藤誉が斬る>第9回)
遠藤誉(えんどう・ほまれ)
筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動 かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子(チャーズ)―中国建国の残火』『完全解読「中国外交戦略」の狙い』など多数。



ウォールストリートジャーナル     2013年 11月 13日 11:49 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304368604579194692906136688.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesSecond
By     ANDREW BROWNE

改革の明確性欠く中国共産党3中全会―事前の期待裏切る

 【北京】中国では過去数カ月間、共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)で習近平総書記(国家主席)の中国再生目標のための道筋を描いた「包括的な」プランが打ち出されるとの期待が高まっていた。
 それは公式的な約束にもなっていた。

 ほんの数日前、習主席、李克強首相、そして一連の政府・軍事指導者に会った外国訪問団に示されたメッセージは、3中全会から「改革のための包括的な青写真」が出てくると期待していいとの内容だった。
 党が運営する新聞に対するリークも活発で、その結果、過去数十年間にわたって凍結されている政治改革見通しも、具体性はなかったものの、派手に取りざたされていた。

 しかし、共産党が3中全会終了後の12日発表した全会コミュニケに盛り込まれた改革は、極めて選択的だった。

 加えて、コミュニケは中国の改革目標の標準リストに掲げられている多くの項目、例えば財政システムや医療、教育の改革などをうたっているものの、詳細はほとんど完全に抜け落ちている。

 党は歴史的に、政策変更のシグナルを外部の人間にとって謎めいてみえる言葉や文句の中に盛り込んできた。
 その意味では、コミュニケの文言は、将来実施するかもしれない、より抜本的な改革へのカギをわずかながら示している。
 それはあいまいとはいえ、じれったいカギだ。

 例えば、一部のアナリストは、コミュニケの中で「決定的」という言葉を使用している点に注目している。
 つまり、国家ではなく市場が「資源配分における決定的な役割」を果たすよう求めているくだりだ。
 従来は、こうした場合に使われる形容詞は「基本的」だった。
 しかし、こうした党の特殊用語の入れ替えが何を意味するかは回答されないままで不明だ。
 多くのリベラルなエコノミストたちは、党が国営企業の権力を抑制し、民間企業を推進するとの明確なメッセージを期待してきた。
 だが実際には、コミュニケは国営企業の指導的な役割を再確認した。

 中国ウォッチャーたちは、コミュニケが指導者たちの主要な優先課題に関する具体的な行動計画を提供すると予想するのは非現実的だとずっと警告してきた。
 いかにして経済をもっと持続可能な軌道に乗せるか、いかに環境破壊を逆転させるか、いかに格差社会を是正するか、いかに野放図な信用供与を抑え、さらに強力な仕組みによって経済的なガバナンスを改善し汚職を浄化するか――などだ。

 だが、改革コミットメントに関する期待度がもっと低い多くの観測筋にとっても、4日間の3中全会終了後に登場したコミュニケはそれ以上に漸進的だった。

 例えば、農民を都市に流入するのを阻止する戸口(=戸籍)制度に関する改革には言及していない。

 これを変更すれば、農民は自らの土地に対する権利を強化でき、特に土地を売却できようになる。それは都市への移動の前提条件と見られているが、コミュニケではこうした変更はほぼ飛ばされている。

 金融改革でも具体性はなかった。
 例えば金利自由化ないし資本勘定の開放で、成長の柱を非効率的な国営企業から革新的な民間企業にシフトする計画の中心的な要素だ。

 最も明白だったのは、コミュニケが政治改革にほんのわずかに触れただけである点だ。
 Wu Jinglin氏らリベラルな中国エコノミストは、これが経済改革の出発点であるはずだと述べていた。

 政治改革とともに進んでいくはずの司法の独立の必要性に関しては承認されたが、それ以上のものはなかった。

 今後問題になるのは、一見して制約付きの変化と見受けられるものが、保守反対派の抵抗を前にして党の改革派がなし得る最良のものかどうかという点だ。 
あるいは、コミュニケの文言で浮上したものが、より根本的な変化へのカギになるかどうかだ。
 それは、中国の党国家の膨大な政策決定機構の内部で詳細が咀嚼されるまで明白にならないかもしれない方向の根本的変化だ。

 また、コミュニケが党会議から出る最終的な言葉なのか、あるいはそれは概略スケッチにすぎず、後日肉付けされていくものか明白ではない。

 3中全会までのワインドアップが大きく改革が鳴り物入りで事前に取りざたされたため、結果は失望となるのは恐らく不可避かもしれない。
 それでも、3中全会は「中国の夢」を描いた習氏の就任初年度へのクライマックスだとされてきた。

 現実はというと、習氏の最初の数カ月間は、汚職退治と、インターネット上での言論の自由に対する
 厳しい取り締まりを予兆させる毛沢東主義的なスローガンの復活
だった。






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