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【中国(Ⅳ)):KGB中国、外交より社会不満が危険】
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中国というパワフルな怪獣は今、圧縮成長のヒズミにさいなまれている。このままパワフルさを維持できるかどうかははなはだ疑問になってきている。急激な成長の反動としての圧縮老化の過程にはいりつつある、というのが一般見であり、もしかしたら突然死いう事態も想定できるようだ。
2013年11月24日日曜日
フィリピンの災禍:政治的、外交的ダメージも:海自もぜひとも保有したい「病院船」
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●フィリピンのタクロバンで、破壊された自宅跡で所持品を集める被災者たち〔AFPBB News〕
『
JB Press 2013.11.26(火) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39273
フィリピンの災禍:政治的、外交的ダメージも
(英エコノミスト誌 2013年11月23日号)
フィリピンを襲った恐ろしい災禍は、政治的、外交的なダメージも与えている。
11月8日に台風ハイヤンがフィリピンにもたらした苦しみと惨状は、日を追うごとひどく見え、救援や復旧作業、復興にかかる費用は膨らむ一方だ。
これまでにおよそ4000人の死亡が確認された。
1200人以上がなお行方不明で、負傷者は1万8000人を超え、直接的な被害を受けた人は1100万人に上る。
国連が当初呼びかけた3億ドルの緊急支援は、既にそれでは足りないと言われている。
大規模な緊急援助が展開されているものの、ペースが遅く、無秩序で公正さに欠けると批判されている。
自然災害は多くの場合、重大な政治的影響をもたらす。
壊滅的な被害をもたらした2004年の大津波は、復興を巡る諍いを招き、スリランカ政府と「タミル・イーラム解放のトラ」との対立を激化させただけだった。
だが、同じ津波はインドネシア・アチェ州の往年の紛争を終わらせる一因になった。
ミャンマーでは、恐らく13万人前後の死者が出た2008年のサイクロン・ナルギス襲来時の軍事政権の冷淡な対応に対する国民の反感が同国を改革に向かわせた可能性がある。
■災害対応のまずさでアキノ大統領に批判の声
残念なことに自然災害に慣れているフィリピンでは、国内でヨランダとして知られる台風ハイヤンは、それほど根本的ではないが決して無視できない影響をもたらす。
国内では、人気の高いベニグノ・アキノ(通称ノイノイ)大統領の名声を傷つけた。
地域的には、外交上の戦線をはっきり固め、地域の災害援助機構の欠点を浮き彫りにした。
亡き母コラソン・アキノ氏に対する国民の愛情を追い風に2010年に大統領に就いてからというもの、アキノ現大統領は表向きおっとりしたアプローチに対する揶揄に負けず、支持を保ってきた。
フィリピン経済は力強く成長し、大統領は汚職撲滅に真剣に取り組んでいるように見えた。
しかし、台風に対するアキノ大統領の対応は転換点となるかもしれない。
2016年までの残りの任期において、大統領は困難な改革をやり遂げようとする時に、以前ほど国民の好意に頼れなくなる。
批判はフェアではない。
ハイヤンの勢力は前代未聞で、台風自体が救援活動に必要なインフラの大半を破壊してしまった。
だが、アキノ大統領は、無頓着でいくらか思いやりに欠けるように見えたことや、責任転嫁しようとしたことで批判を浴びている。
●人気の高かったベニグノ・アキノ大統領が災害対応で批判されている〔AFPBB News〕
フィリピン国民は、大統領が台風襲撃直前のテレビ演説で「台風が通過したら、すぐに救援が到着する」と請け負ったことを覚えているが、「今後数日で国民が直面する災難の大きさ」について語った演説の趣旨は忘れてしまっている。
そして、台風襲撃の後、アキノ大統領は台風による死者数について、少なく、不正確な推定値を発表した。
最大の被害を受けたレイテ州の州都タクロバンを訪れた際には、一部の犠牲者の苦しみに対し、そっけない態度を取ったと非難された。
その1週間後に再びタクロバンを訪れ、改善が見られるまでは残ると約束した時でさえ、大統領は救援活動を批判する人たちは地元政府を問題にすべきだと述べ、責任を回避しているように見えた。
コラソン・アキノ氏が1986年にその政権転覆に一役買った独裁者の未亡人であるイメルダ・マルコス氏の出身地がレイテ島であるという事実も、国民の理解に役立たなかった。
先日、マルコス氏の息子で上院議員の通称「ボンボン」も、母方の従兄弟が市長を務めているタクロバンにいた。
レイテ島の一部住民からは、ライバル一族同士の憎悪が救援を妨げているとの声が上がった。
地元レベルでは、救援の分配における汚職だけでなく、一部の救援物資が支持政党に沿って分配されているとの訴えもある。
台風から2週間近く経っても救援物資が届かない遠隔地もあった。そんな絶望的な状況の下では、疑念が増していく。
■米中両国の支援の差歴然
また、台風被害に対して世界各国から励ましの声や膨大な募金が寄せられてはいるが、アキノ大統領はそれでも国内問題から逃れて一息つくことができなかった。
中国の最初の対応は、10万ドルの援助という微々たるものだった。
このことは、南シナ海の岩礁の領有権を巡り中国に盾突いたフィリピンの無鉄砲さに対する仕返しと考えないわけにはいかない。
中国は、そのような意図はないと否定し、すぐに支援を増額した。
しかし、インターネット上の国家主義者たちは、中国政府がフィリピンを援助すること自体を非難した。
中国が自国の長期的な意図が善意であることをアジア地域に納得させようとしているなかで、その地域の目に中国が意地悪でケチに映ることを心配する人は少数派だ。
多くの人は、自国の国益に対する中国の近視眼的な見方と、米国の見事な救援活動に好対照を見いだした。
折しも地域の評論家の多くが米国の相対的衰退を描いていた時に、これは「衝撃と畏怖」をもって発揮されたソフトパワーだった。
また、21機のヘリコプターを載せた航空母艦ジョージ・ワシントンと、通常は沖縄に配置されている新型輸送機オスプレイなど、米国が今でも太平洋で展開できる圧倒的なハードパワーを思い出させるものでもあった。
これは米国が友好国を助けているだけだとして片付けるわけにはいかないだろう。2008年当時、ミャンマーの軍事政権と米国政府の関係は冷えていたが、米国はミャンマーにも寛大な支援を提供した。
当時、ミャンマーの軍事政権が外国からの支援の受け入れを最終的に合意した背景には、東南アジア諸国連合(ASEAN)の外交に対する敬意もあった。
それ以来、ASEANは「人道支援・災害救援活動(HADR)」について話し合うことに多大な時間を割いてきた。
通常は加盟10カ国の内政に干渉することには慎重なASEANにとって、HADRは協力の可能性が明らかにある分野だ。
ハイヤンは、2年前に災害救援活動を調整、支援するために創設されたAHAセンター(ASEAN防災人道支援調整センター)の有効性を試す機会となった。
■よき隣人
AHAセンターは、台風の襲撃前にフィリピンに職員を配置していたことを誇りに思っている。
そしてASEAN加盟国は寛大だった。
例えばタイは、費用のかかる価格維持制度のせいで膨れ上がった政府のコメ備蓄から5000トンを寄贈した。
インドネシア、マレーシア、フィリピンは、航空機や他の支援物資を送り込んだ。
しかしASEANは、存在が目に見えないと非難された。
そのような批判も公正さを欠いている。
災害支援はスター発掘番組でも美人コンテストでもない。
実際、AHAセンターの努力は、フィリピン政府や世界の救援活動と同様に、誰も予想できなかったほど破壊的な台風に圧倒されてしまったのだ。
© 2013 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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JB Press 2013.11.28(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39280
海自もぜひとも保有したい「病院船」米中がフィリピン救援活動に派遣
●インドネシア沖津波救援活動中のマーシーと空母エイブラハム・リンカーン(2005年1月、写真:米海軍)
フィリピンを襲った巨大台風から2週間経った11月22日、中国海軍の病院船が船山軍港を出発しフィリピンに向かった。
24日にタクロバン沖に到着した模様であり、本コラムが掲載される頃には、乗船している100名ほどの医師をはじめとするスタッフによる被災者への医療活動が本格化しているものと思われる。
この中国海軍病院船の派遣に関しては、アメリカ軍事関係者の間でもちょっとした話題になっている。
■アメリカと日本が救援活動「レース」に圧勝
フィリピンでの発災直後から迅速な救援活動を開始した米軍とは対照的に、南シナ海でフィリピンとの対決を強めている中国は“形ばかりの”支援金(世界第2の経済大国とは思えないほどの金額)を拠出したものの、救助隊や救援支援隊などの派遣は一切実施しなかった。
「敵に塩を送る」といった武士道精神など持ち合わせていない共産党政府としては当然の措置と言えよう。
しかし、自衛隊がヘリ空母・輸送揚陸艦・補給艦をはじめとして各種航空機や陸上支援部隊を含んだ大規模救援隊を派遣したため、さすがにアジアの盟主を気取ることが脅かされると考えたのか、あわてて海軍病院船ならびに輸送揚陸艦を派遣して、医療活動をはじめとする支援活動を実施することとなった。
フィリピン救援に関しては(今回のフィリピン巨大台風だけではなく、世界各地での大規模災害に対する国際救援活動では常に行われることではあるが)、国際軍事界では展開規模と展開速度に関する“レース”を注視していた。
結果は、相互救援協定があるアメリカは例外的存在ではあるが、アメリカそして日本が中国に圧勝したということになった。
一方、中国が急速に拡張し続けている海軍力は、日本やフィリピンをはじめとする中国周辺諸国を軍事的に威嚇する目的であったことが誰の目にも明らかになってしまった。
アメリカ海軍病院船は発災から5日目にはカリフォルニア州サンディエゴを出発したが、到着は12月に入ってからである。
そのため、被災地では中国海軍病院船の方が先に医療活動を開始することになる。
もっとも、先週の本コラムで紹介したようにアメリカ海軍空母ジョージ・ワシントンには立派な医療施設と医療スタッフが揃っており、オスプレイやヘリコプターが被災地から患者を空母に搬送して医療活動を実施しているため、アメリカ海軍が中国海軍の医療活動に後れを取ったことにはならない。
■船はあっても体制が整っていない中国
その中国海軍病院船(タイプ920病院船、識別番号866)であるが、中国海軍での呼称は「岱山島号」という。
今回の災害救援支援医療活動のような非戦時出動に際しては「和平方舟」(Peace Ark)という船名を名乗ることになっている。
2008年12月22日に就役した「岱山島号」の排水量は1万4000トンで、全長は178メートル。
病床数300で、集中治療室を20、手術室を8備えており、大規模手術を1日に40ケース施すことが可能とされている。
また、15名分の担架を搬送可能な救難ヘリコプターZ-8JHを搭載し、格納設備も備えている。
●中国海軍病院船「岱山島号」(写真:CDB)
中国海軍によると、病院船「岱山島号」を保有することで、世界中の被災地などに人道支援災害救援活動に駆けつけることが可能になるということであった。
しかし、今回のフィリピン巨大台風発災後の対応からは国際救援活動に対する準備が(少なくとも政治レベルにおいては)いまだ整っていないことが明らかになった。
これまでに「岱山島号」が出動したのは、2010年9月から11月にかけてアデン湾での海賊対処活動に派遣されたときである。
その際には海賊対処に従事していた中国海軍に対する支援活動に加えて、ジブチ、タンザニア、ケニア、セーシェルそしてバングラデシュにおいて人道支援活動を実施した。
そして、今回のフィリピンへの出動は、2度目の国際人道支援活動ということになる。
■タンカーを改造したアメリカ海軍病院船「マーシー」
上述したようにアメリカは、中国海軍に先立って海軍病院船「マーシー」(T-AH-19)をサンディエゴからフィリピンに向けて出港させた。
だが、海軍の船とは言っても病院船の航行速度は速くないため、被災地沖への到着は12月にずれ込む予定となっている。
●サンディエゴを出港する「マーシー」(写真:米海軍)
マーシーは、現在アメリカ海軍が運用している2隻のマーシー級病院船の1隻で、アメリカ海軍第3艦隊の本拠地であるサンディエゴを母港としており、主として太平洋・インド洋を活動範囲としている。
姉妹船「コンフォート」(T-AH-20)もマーシーも、ともにタンカーを改造して病院船へと姿を変えたため、中国海軍「岱山島号」と比べると巨大な船で、排水量は6万9360トン、全長272.5メートルである。
そして、マーシーの最大病床数は1000と「岱山島号」の3倍以上となっている。
海軍病院船である以上、マーシーは当然のことながらアメリカ軍ならびに同盟軍の戦闘活動の後方支援に従事することが主たる任務である。
実際に1990年の湾岸戦争に出動して、半年近くにわたりペルシア湾に滞在し、アメリカ軍ならびに多国籍軍の将兵を受け入れ、数千名の“外来”(戦場よりヘリコプターで搬送された)患者を治療し、300件以上の手術を実施した。
●マーシーの緊急手術室(写真:米海軍)
●マーシーの放射線科治療室(写真:米海軍)
ただし湾岸戦争終結後は、マーシーのほとんど全ての出動が人道支援災害救援活動である。
2004年末にインドネシア沖で発生した巨大地震・津波による東南アジア諸国の大災害に際しても派遣され、10万8000名の患者を受け入れ治療活動を展開した。
その後マーシーは、2006年、2008年、2010年、2012年と2年ごとに、アメリカ海軍が主導し太平洋周辺諸国家の軍隊や政府組織、それにNGOなども参加して実施される「パシフィックパートナーシップ」と命名されている大規模な人道支援活動に毎回参加している。
そして現在、マーシーは太平洋をフィリピンに向け航行中である。
■病院船は積極的平和主義の目に見えるツール
マーシーの出動事例でも明らかなように、海軍病院船は戦時での後方支援活動が主たる任務であるとは言っても、大規模な医療設備・要員を海を利用してあらゆる地域へ派遣することができるため、災害救援活動や人道支援活動に絶大な威力を発揮する。
まさに病院船は、安倍政権が打ち出している積極的平和主義の目に見えるツールとして適任と言えよう。
残念ながら日本には海上自衛隊という立派な海軍組織が存在するにもかかわらず、これまでのところ病院船は建造されなかった。
だが、ようやく保有する方向性で調査が開始された。
中国は、いくら立派な病院船を保有していても国際協力活動に対する運用体制が整備されていなかったことがさらけ出された。
日本の病院船建造は、中国に対抗する意味においても、歓迎すべき動きである。
もちろん、いくら立派な病院船を建造しても、専属の医療スタッフを十二分に確保しなければ、中国同様に「病院船を持っているのに救援活動に急行できない」二流海軍ということになってしまう。
そのための予算と人材確保が海上自衛隊病院船建造の先決問題と言えよう。
北村 淳 Jun Kitamura
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は戦争&平和社会学・海軍戦略論。米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める。現在サン・ディエゴ在住。著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)等がある。
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●フィリピンのタクロバンで、破壊された自宅跡で所持品を集める被災者たち〔AFPBB News〕
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JB Press 2013.11.26(火) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39273
フィリピンの災禍:政治的、外交的ダメージも
(英エコノミスト誌 2013年11月23日号)
フィリピンを襲った恐ろしい災禍は、政治的、外交的なダメージも与えている。
11月8日に台風ハイヤンがフィリピンにもたらした苦しみと惨状は、日を追うごとひどく見え、救援や復旧作業、復興にかかる費用は膨らむ一方だ。
これまでにおよそ4000人の死亡が確認された。
1200人以上がなお行方不明で、負傷者は1万8000人を超え、直接的な被害を受けた人は1100万人に上る。
国連が当初呼びかけた3億ドルの緊急支援は、既にそれでは足りないと言われている。
大規模な緊急援助が展開されているものの、ペースが遅く、無秩序で公正さに欠けると批判されている。
自然災害は多くの場合、重大な政治的影響をもたらす。
壊滅的な被害をもたらした2004年の大津波は、復興を巡る諍いを招き、スリランカ政府と「タミル・イーラム解放のトラ」との対立を激化させただけだった。
だが、同じ津波はインドネシア・アチェ州の往年の紛争を終わらせる一因になった。
ミャンマーでは、恐らく13万人前後の死者が出た2008年のサイクロン・ナルギス襲来時の軍事政権の冷淡な対応に対する国民の反感が同国を改革に向かわせた可能性がある。
■災害対応のまずさでアキノ大統領に批判の声
残念なことに自然災害に慣れているフィリピンでは、国内でヨランダとして知られる台風ハイヤンは、それほど根本的ではないが決して無視できない影響をもたらす。
国内では、人気の高いベニグノ・アキノ(通称ノイノイ)大統領の名声を傷つけた。
地域的には、外交上の戦線をはっきり固め、地域の災害援助機構の欠点を浮き彫りにした。
亡き母コラソン・アキノ氏に対する国民の愛情を追い風に2010年に大統領に就いてからというもの、アキノ現大統領は表向きおっとりしたアプローチに対する揶揄に負けず、支持を保ってきた。
フィリピン経済は力強く成長し、大統領は汚職撲滅に真剣に取り組んでいるように見えた。
しかし、台風に対するアキノ大統領の対応は転換点となるかもしれない。
2016年までの残りの任期において、大統領は困難な改革をやり遂げようとする時に、以前ほど国民の好意に頼れなくなる。
批判はフェアではない。
ハイヤンの勢力は前代未聞で、台風自体が救援活動に必要なインフラの大半を破壊してしまった。
だが、アキノ大統領は、無頓着でいくらか思いやりに欠けるように見えたことや、責任転嫁しようとしたことで批判を浴びている。
●人気の高かったベニグノ・アキノ大統領が災害対応で批判されている〔AFPBB News〕
フィリピン国民は、大統領が台風襲撃直前のテレビ演説で「台風が通過したら、すぐに救援が到着する」と請け負ったことを覚えているが、「今後数日で国民が直面する災難の大きさ」について語った演説の趣旨は忘れてしまっている。
そして、台風襲撃の後、アキノ大統領は台風による死者数について、少なく、不正確な推定値を発表した。
最大の被害を受けたレイテ州の州都タクロバンを訪れた際には、一部の犠牲者の苦しみに対し、そっけない態度を取ったと非難された。
その1週間後に再びタクロバンを訪れ、改善が見られるまでは残ると約束した時でさえ、大統領は救援活動を批判する人たちは地元政府を問題にすべきだと述べ、責任を回避しているように見えた。
コラソン・アキノ氏が1986年にその政権転覆に一役買った独裁者の未亡人であるイメルダ・マルコス氏の出身地がレイテ島であるという事実も、国民の理解に役立たなかった。
先日、マルコス氏の息子で上院議員の通称「ボンボン」も、母方の従兄弟が市長を務めているタクロバンにいた。
レイテ島の一部住民からは、ライバル一族同士の憎悪が救援を妨げているとの声が上がった。
地元レベルでは、救援の分配における汚職だけでなく、一部の救援物資が支持政党に沿って分配されているとの訴えもある。
台風から2週間近く経っても救援物資が届かない遠隔地もあった。そんな絶望的な状況の下では、疑念が増していく。
■米中両国の支援の差歴然
また、台風被害に対して世界各国から励ましの声や膨大な募金が寄せられてはいるが、アキノ大統領はそれでも国内問題から逃れて一息つくことができなかった。
中国の最初の対応は、10万ドルの援助という微々たるものだった。
このことは、南シナ海の岩礁の領有権を巡り中国に盾突いたフィリピンの無鉄砲さに対する仕返しと考えないわけにはいかない。
中国は、そのような意図はないと否定し、すぐに支援を増額した。
しかし、インターネット上の国家主義者たちは、中国政府がフィリピンを援助すること自体を非難した。
中国が自国の長期的な意図が善意であることをアジア地域に納得させようとしているなかで、その地域の目に中国が意地悪でケチに映ることを心配する人は少数派だ。
多くの人は、自国の国益に対する中国の近視眼的な見方と、米国の見事な救援活動に好対照を見いだした。
折しも地域の評論家の多くが米国の相対的衰退を描いていた時に、これは「衝撃と畏怖」をもって発揮されたソフトパワーだった。
また、21機のヘリコプターを載せた航空母艦ジョージ・ワシントンと、通常は沖縄に配置されている新型輸送機オスプレイなど、米国が今でも太平洋で展開できる圧倒的なハードパワーを思い出させるものでもあった。
これは米国が友好国を助けているだけだとして片付けるわけにはいかないだろう。2008年当時、ミャンマーの軍事政権と米国政府の関係は冷えていたが、米国はミャンマーにも寛大な支援を提供した。
当時、ミャンマーの軍事政権が外国からの支援の受け入れを最終的に合意した背景には、東南アジア諸国連合(ASEAN)の外交に対する敬意もあった。
それ以来、ASEANは「人道支援・災害救援活動(HADR)」について話し合うことに多大な時間を割いてきた。
通常は加盟10カ国の内政に干渉することには慎重なASEANにとって、HADRは協力の可能性が明らかにある分野だ。
ハイヤンは、2年前に災害救援活動を調整、支援するために創設されたAHAセンター(ASEAN防災人道支援調整センター)の有効性を試す機会となった。
■よき隣人
AHAセンターは、台風の襲撃前にフィリピンに職員を配置していたことを誇りに思っている。
そしてASEAN加盟国は寛大だった。
例えばタイは、費用のかかる価格維持制度のせいで膨れ上がった政府のコメ備蓄から5000トンを寄贈した。
インドネシア、マレーシア、フィリピンは、航空機や他の支援物資を送り込んだ。
しかしASEANは、存在が目に見えないと非難された。
そのような批判も公正さを欠いている。
災害支援はスター発掘番組でも美人コンテストでもない。
実際、AHAセンターの努力は、フィリピン政府や世界の救援活動と同様に、誰も予想できなかったほど破壊的な台風に圧倒されてしまったのだ。
© 2013 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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『
JB Press 2013.11.28(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39280
海自もぜひとも保有したい「病院船」米中がフィリピン救援活動に派遣
●インドネシア沖津波救援活動中のマーシーと空母エイブラハム・リンカーン(2005年1月、写真:米海軍)
フィリピンを襲った巨大台風から2週間経った11月22日、中国海軍の病院船が船山軍港を出発しフィリピンに向かった。
24日にタクロバン沖に到着した模様であり、本コラムが掲載される頃には、乗船している100名ほどの医師をはじめとするスタッフによる被災者への医療活動が本格化しているものと思われる。
この中国海軍病院船の派遣に関しては、アメリカ軍事関係者の間でもちょっとした話題になっている。
■アメリカと日本が救援活動「レース」に圧勝
フィリピンでの発災直後から迅速な救援活動を開始した米軍とは対照的に、南シナ海でフィリピンとの対決を強めている中国は“形ばかりの”支援金(世界第2の経済大国とは思えないほどの金額)を拠出したものの、救助隊や救援支援隊などの派遣は一切実施しなかった。
「敵に塩を送る」といった武士道精神など持ち合わせていない共産党政府としては当然の措置と言えよう。
しかし、自衛隊がヘリ空母・輸送揚陸艦・補給艦をはじめとして各種航空機や陸上支援部隊を含んだ大規模救援隊を派遣したため、さすがにアジアの盟主を気取ることが脅かされると考えたのか、あわてて海軍病院船ならびに輸送揚陸艦を派遣して、医療活動をはじめとする支援活動を実施することとなった。
フィリピン救援に関しては(今回のフィリピン巨大台風だけではなく、世界各地での大規模災害に対する国際救援活動では常に行われることではあるが)、国際軍事界では展開規模と展開速度に関する“レース”を注視していた。
結果は、相互救援協定があるアメリカは例外的存在ではあるが、アメリカそして日本が中国に圧勝したということになった。
一方、中国が急速に拡張し続けている海軍力は、日本やフィリピンをはじめとする中国周辺諸国を軍事的に威嚇する目的であったことが誰の目にも明らかになってしまった。
アメリカ海軍病院船は発災から5日目にはカリフォルニア州サンディエゴを出発したが、到着は12月に入ってからである。
そのため、被災地では中国海軍病院船の方が先に医療活動を開始することになる。
もっとも、先週の本コラムで紹介したようにアメリカ海軍空母ジョージ・ワシントンには立派な医療施設と医療スタッフが揃っており、オスプレイやヘリコプターが被災地から患者を空母に搬送して医療活動を実施しているため、アメリカ海軍が中国海軍の医療活動に後れを取ったことにはならない。
■船はあっても体制が整っていない中国
その中国海軍病院船(タイプ920病院船、識別番号866)であるが、中国海軍での呼称は「岱山島号」という。
今回の災害救援支援医療活動のような非戦時出動に際しては「和平方舟」(Peace Ark)という船名を名乗ることになっている。
2008年12月22日に就役した「岱山島号」の排水量は1万4000トンで、全長は178メートル。
病床数300で、集中治療室を20、手術室を8備えており、大規模手術を1日に40ケース施すことが可能とされている。
また、15名分の担架を搬送可能な救難ヘリコプターZ-8JHを搭載し、格納設備も備えている。
●中国海軍病院船「岱山島号」(写真:CDB)
中国海軍によると、病院船「岱山島号」を保有することで、世界中の被災地などに人道支援災害救援活動に駆けつけることが可能になるということであった。
しかし、今回のフィリピン巨大台風発災後の対応からは国際救援活動に対する準備が(少なくとも政治レベルにおいては)いまだ整っていないことが明らかになった。
これまでに「岱山島号」が出動したのは、2010年9月から11月にかけてアデン湾での海賊対処活動に派遣されたときである。
その際には海賊対処に従事していた中国海軍に対する支援活動に加えて、ジブチ、タンザニア、ケニア、セーシェルそしてバングラデシュにおいて人道支援活動を実施した。
そして、今回のフィリピンへの出動は、2度目の国際人道支援活動ということになる。
■タンカーを改造したアメリカ海軍病院船「マーシー」
上述したようにアメリカは、中国海軍に先立って海軍病院船「マーシー」(T-AH-19)をサンディエゴからフィリピンに向けて出港させた。
だが、海軍の船とは言っても病院船の航行速度は速くないため、被災地沖への到着は12月にずれ込む予定となっている。
●サンディエゴを出港する「マーシー」(写真:米海軍)
マーシーは、現在アメリカ海軍が運用している2隻のマーシー級病院船の1隻で、アメリカ海軍第3艦隊の本拠地であるサンディエゴを母港としており、主として太平洋・インド洋を活動範囲としている。
姉妹船「コンフォート」(T-AH-20)もマーシーも、ともにタンカーを改造して病院船へと姿を変えたため、中国海軍「岱山島号」と比べると巨大な船で、排水量は6万9360トン、全長272.5メートルである。
そして、マーシーの最大病床数は1000と「岱山島号」の3倍以上となっている。
海軍病院船である以上、マーシーは当然のことながらアメリカ軍ならびに同盟軍の戦闘活動の後方支援に従事することが主たる任務である。
実際に1990年の湾岸戦争に出動して、半年近くにわたりペルシア湾に滞在し、アメリカ軍ならびに多国籍軍の将兵を受け入れ、数千名の“外来”(戦場よりヘリコプターで搬送された)患者を治療し、300件以上の手術を実施した。
●マーシーの緊急手術室(写真:米海軍)
●マーシーの放射線科治療室(写真:米海軍)
ただし湾岸戦争終結後は、マーシーのほとんど全ての出動が人道支援災害救援活動である。
2004年末にインドネシア沖で発生した巨大地震・津波による東南アジア諸国の大災害に際しても派遣され、10万8000名の患者を受け入れ治療活動を展開した。
その後マーシーは、2006年、2008年、2010年、2012年と2年ごとに、アメリカ海軍が主導し太平洋周辺諸国家の軍隊や政府組織、それにNGOなども参加して実施される「パシフィックパートナーシップ」と命名されている大規模な人道支援活動に毎回参加している。
そして現在、マーシーは太平洋をフィリピンに向け航行中である。
■病院船は積極的平和主義の目に見えるツール
マーシーの出動事例でも明らかなように、海軍病院船は戦時での後方支援活動が主たる任務であるとは言っても、大規模な医療設備・要員を海を利用してあらゆる地域へ派遣することができるため、災害救援活動や人道支援活動に絶大な威力を発揮する。
まさに病院船は、安倍政権が打ち出している積極的平和主義の目に見えるツールとして適任と言えよう。
残念ながら日本には海上自衛隊という立派な海軍組織が存在するにもかかわらず、これまでのところ病院船は建造されなかった。
だが、ようやく保有する方向性で調査が開始された。
中国は、いくら立派な病院船を保有していても国際協力活動に対する運用体制が整備されていなかったことがさらけ出された。
日本の病院船建造は、中国に対抗する意味においても、歓迎すべき動きである。
もちろん、いくら立派な病院船を建造しても、専属の医療スタッフを十二分に確保しなければ、中国同様に「病院船を持っているのに救援活動に急行できない」二流海軍ということになってしまう。
そのための予算と人材確保が海上自衛隊病院船建造の先決問題と言えよう。
北村 淳 Jun Kitamura
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は戦争&平和社会学・海軍戦略論。米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める。現在サン・ディエゴ在住。著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)等がある。
』
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日中もし戦わば:パキスタンと北朝鮮の2カ国、いやイスラエル・ウクライナ・パキスタンが中国を支援
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●19日、前瞻網は記事「安倍首相驚愕、日中がひとたび開戦すればこの3カ国がひそかに中国を助ける」を掲載した。イスラエル、ウクライナ、パキスタンと3カ国の仲間がいる中国に対し、日本の助けとなるのは米国1カ国だけと指摘した。資料写真。
『
サーチナニュース 2013/11/24(日) 14:45
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1124&f=national_1124_010.shtml
日中が開戦した場合、わが国を援護してくれる国は2カ国のみ=中国
尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり、日中関係の悪化が続いている。
中国は23日、尖閣諸島を含む東シナ海に「防空識別圏」を設定したと発表したが、これによって日中の東シナ海をめぐる対立に新たな火種が持ち込まれたことになる。
中国メディアの米爾網は24日、
「尖閣諸島をめぐって日中が開戦した場合、中国を援護してくれる国はパキスタンと北朝鮮の2カ国しかない」
と報じた。
対インドという点で利害が一致している中国とパキスタンは2005年4月に軍事や安全保障、経済、政治などの分野において「善隣友好協力条約」を締結している。
中国の李克強首相が13年5月にパキスタンを訪問した際、パキスタン側は中国が抱えるすべての問題において中国と同じ立場を取るとし、
「中国に対する主権侵犯はパキスタンへの主権侵犯と同様である」
と主張した。
また、中国のもう1つの盟友は北朝鮮だ。
中国と北朝鮮は1961年に「中朝友好協力相互援助条約」を締結しており、一方が武力攻撃を受けた際にはもう一方が即時かつ全力の軍事援助を提供することが定められている。
近年、中朝関係は悪化の一途をたどっているが、それでも北朝鮮は中国にとっての「盟友」と言っても差し支えないだろう。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月25日 7時41分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=78772&type=0
日中もし戦わば、イスラエル・ウクライナ・パキスタンが中国を支援―中国メディア
2013年11月19日、前瞻網は記事「安倍首相驚愕、日中がひとたび開戦すればこの3カ国がひそかに中国を助ける」を掲載した。
緊張高まる尖閣情勢だが、日中が開戦すればイスラエル、ウクライナ、パキスタンの3カ国が中国を支援することは間違いない。
イスラエルの中国支援は今や公然の秘密。
中国の兵器開発の多くは同国の支援を受けている。
なぜイスラエルは中国を助けてくれるのか。
それは第二次世界大戦中、中国が多くのユダヤ人を助けたからにほかならない。
彼らは中国を命の恩人だと思っているのだ。
そして中国海軍最良の友人であるウクライナ。
彼らの技術支援がなければ中国の空母開発は10年遅れていたことだろう。
ウクライナは中国の巨大な投資、消費能力を必要としており、外交関係強化を望んでいる。
最後にパキスタン。
中国とも近く、同じ利益を共有し、なにより感情を通じ合わせている。中国の政治指導者はかつて「山よりも高く海よりも深い」と両国のきずなを形容した。
イスラエル、ウクライナ、パキスタン、この3カ国の支援は安倍首相を驚愕させることだろう。
日本を助けてくれるのは米国1カ国しかないのだから。
しかもその米国とてどう動くかわからないと安倍首相は心配している。
さてこのような情勢で開戦したならば、日本はどのような末路を迎えるのだろうか。
』
『
サーチナニュース 2013/11/17(日) 14:22
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1117&f=national_1117_034.shtml
【中国BBS】もしもわが国が日本に核兵器を使用したら?
現在、核兵器を保有している国は、中国、米国、ロシア、英国、フランスという国連の常任理事国のほか、インド、パキスタン、北朝鮮が保有を表明している。
過去に実戦使用されたのは、広島と長崎に落とされた原爆のみであるが、中国大手検索サイト百度の掲示板に
「もしもわが国が日本に核兵器を使用したら?」
という物騒なスレッドが立てられた。
中国国内では、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる問題で日本との戦争は不可避と考える人も多い。
スレ主は「もしもわが国が核兵器を使用したら、世界はどう変わるのか」と質問を投げかけた。
ネットユーザーから寄せられた意見で比較的多かったのは、
●.「世界中の国から非難される」
というものだが、至極当然な意見だ。
また、
●.「第三次世界大戦が起きる」、
●.「核戦争になって人類が滅びる」
などの悲観的な見方も少なくなかった。
しかし、中国が核を使用したところで別に何ともない、と考えるユーザーも多く、むしろ
●.「世界各国からの敬慕を受ける」
という主張まであった。
反日感情が強い中国では、
●.「日本は世界から嫌われている」
という誤った認識が広まっているためと思われるが、
中国では“敬意”を勝ち取る方法というのは、このような方法しかないのだろうか。
なかには、中国は日本に対して核兵器を使用して戦争を起こすべきではないという意見もあった。
一見、平和的な主張に見えるが、
●.「中国は日本を取り戻すべきだ。日本は中国固有の領土なのだから!」
と述べており、平和的な理由ではまったくないようだ。
日本は米国の核の傘下にあり、中国が安易に核兵器を使用するとはまず考えられないが、中国のネット上ではこのような“妄想的”な討論をよく目にする。
それだけ、反日的な人が多いということなのであろう。
』
『
JB Press 2013.12.05(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39363
大規模デモで揺らぐ脆弱なウクライナ経済不安定な財政、
ヤヌコビッチ大統領は中国に支援要請
(2013年12月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
●国内で大規模な反政府デモが続くなかで、ヤヌコビッチ大統領は訪中計画を敢行した〔AFPBB News〕
大勢の抗議者が街頭で大統領の辞任を求めているさなかにもかかわらず、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領は3日、中国を訪れた。
不振に喘ぐウクライナ経済をてこ入れできるかもしれない10億ドル規模の投融資について協議するためだ。
ヤヌコビッチ大統領の訪中計画の敢行は恐らく、国内の状況を掌握できる自信を示すというよりは、むしろウクライナの経済問題の激しさを反映している。
■財政不安、国債利回り急騰、通貨フリヴニャにも圧力・・・
ウクライナは景気後退に陥っており、膨れ上がる財政赤字と経常赤字を抱え、国際収支の圧力に苦しめられている。
来年6月に償還を迎えるドル建て短期国債の利回りは3日に20%を突破し、国債のデフォルト(債務不履行)に対して保険をかけるコストは急騰した。
ウクライナの不安定な財政は、現在の集団抗議行動と、力強い経済成長に続いた2004年のオレンジ革命との大きな違いだ。
弱い財政は現在の政治混乱の中心にある問題で、その結果生じた社会不安でさらにダメージを被る恐れがある。
「経済は当時よりずっと不調だ。
実際、経済は『崖っぷち』にあり、ストやデモ、資金源を巡る不確実性は何の助けにもならない」
と、スタンダードバンクの新興市場担当アナリスト、ティム・アッシュ氏は言う。
アナリストらによれば、本格的なデフォルトのリスクはまだ現実的ではない。
だが、アッシュ氏は、デモによる政府の活動の混乱は
「テクニカルデフォルトや管理デフォルトの可能性を甘く見てはならない」
ことを意味していると指摘する。
ユーリ・コロボフ財務相は、ウクライナは
「信頼できる借り手であり、すべての債務を期限内に完璧に履行しており、今後も履行する」
と主張している。
中央銀行がドルに対する「クローリングペッグ制(小刻みに為替レートを変更する制度)」を敷いているが、今では多くの人が過大評価されていると見なす通貨フリヴニャにも圧力がかかっている。
中央銀行のイホリ・ソルキン総裁はビデオでの声明で、うろたえた国民の預金引き出しを阻止しようとし、
「すべての人に、銀行システムを信頼し、貯金を維持することを強く勧める」
と述べた。
ウクライナは部分的には自国の力が及ばない要因に苦しめられている。
ウクライナの主要輸出品である鉄鋼の国際価格は低く、産業の燃料となるロシア産ガスに対して同国が払う価格は欧州で最も高い部類に入る。
●ウクライナがロシア産ガスに払う価格は欧州で最も高い部類に入る〔AFPBB News〕
実際、オレンジ革命の指導者の1人だったユリア・ティモシェンコ元首相が投獄された2011年の有罪判決は、検察側いわくウクライナに莫大な損害を与える価格で同氏が2009年のロシアとのガス契約をまとめたことが理由だった。
ミコラ・アザロフ首相は議会で、ウクライナはロシア産ガスに対して毎月「8億ドル過剰」にお金を払っていたと語った。
また、国有ガス会社は多額の補助金を付けた価格で家庭にガスを売っており、国家予算がその穴を埋めている。
さらに、ここ数カ月、ウクライナを説得して欧州連合(EU)との統合を進める連合協定への署名をやめさせることを狙って、ロシアがかけた貿易面の圧力も損害をもたらし、国境を越えた貿易が急減した。
だが、一部のアドバイザーでさえ、ウクライナ政府が失政を重ね、汚職が蔓延するお粗末な投資環境を改善できなかったことで問題を悪化させたと認めている。
■迫り来る国債大量償還、外部からの支援が不可欠
ウクライナは向こう2年間で150億ドルの債務返済に直面することから、ここ数カ月は基本的に国際金融市場から締め出されており、政府は対外債務を返済するために外貨準備を使わざるを得なかった。
ウクライナの外貨準備は、国際通貨基金(IMF)が推奨する輸入3カ月分という最低基準を下回った。キエフの証券会社ドラゴンキャピタルは、外貨準備は10月の206億ドルから減少し、11月末時点で190億ドルになったと試算している。
ヤヌコビッチ大統領が中国から取り付ける融資は短期的な助けになるだろう。
だが、今年の財政赤字が国内総生産(GDP)比5%に迫り、GDP比8%の経常赤字を抱えるウクライナ政府は、外部からのより大きな支援を切に必要としている。
主な潜在的資金源はIMFかロシアだ。
ウクライナ政府は数カ月前から断続的にIMFと協議しており、先月は、ウクライナがEUとの協定に署名した場合、IMFが即座に支援することを確約するようEUに迫った。
しかし、IMFは為替レートの柔軟性を高めることを求めており、融資の条件として、ウクライナ政府は家庭向けガス料金を引き上げなければならないと話している。
■ロシアは支援を申し出たが、対価は不透明
双方の政府高官らによれば、ロシアは融資やウクライナ国債の購入、場合によってはガス価格の引き下げによる支援を申し出たという。
ただ、ロシア政府が支援からどんな対価を引き出そうとしているのか、そして、ロシアがカザフスタン、ベラルーシとともに結成した関税同盟にウクライナが加盟しなければならないのかどうかは、まだ不透明だ。
しかし、アナリストらは、抗議活動はウクライナの従来の「何とか切り抜けていく」アプローチを持続不能にしたと警告する。
「どっちつかずの態度でいる時は、とっくの昔に過ぎ去った」
とアッシュ氏は話している。
By Neil Buckley and Roman Olearchyk
© The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
』
●19日、前瞻網は記事「安倍首相驚愕、日中がひとたび開戦すればこの3カ国がひそかに中国を助ける」を掲載した。イスラエル、ウクライナ、パキスタンと3カ国の仲間がいる中国に対し、日本の助けとなるのは米国1カ国だけと指摘した。資料写真。
サーチナニュース 2013/11/24(日) 14:45
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1124&f=national_1124_010.shtml
日中が開戦した場合、わが国を援護してくれる国は2カ国のみ=中国
尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり、日中関係の悪化が続いている。
中国は23日、尖閣諸島を含む東シナ海に「防空識別圏」を設定したと発表したが、これによって日中の東シナ海をめぐる対立に新たな火種が持ち込まれたことになる。
中国メディアの米爾網は24日、
「尖閣諸島をめぐって日中が開戦した場合、中国を援護してくれる国はパキスタンと北朝鮮の2カ国しかない」
と報じた。
対インドという点で利害が一致している中国とパキスタンは2005年4月に軍事や安全保障、経済、政治などの分野において「善隣友好協力条約」を締結している。
中国の李克強首相が13年5月にパキスタンを訪問した際、パキスタン側は中国が抱えるすべての問題において中国と同じ立場を取るとし、
「中国に対する主権侵犯はパキスタンへの主権侵犯と同様である」
と主張した。
また、中国のもう1つの盟友は北朝鮮だ。
中国と北朝鮮は1961年に「中朝友好協力相互援助条約」を締結しており、一方が武力攻撃を受けた際にはもう一方が即時かつ全力の軍事援助を提供することが定められている。
近年、中朝関係は悪化の一途をたどっているが、それでも北朝鮮は中国にとっての「盟友」と言っても差し支えないだろう。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月25日 7時41分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=78772&type=0
日中もし戦わば、イスラエル・ウクライナ・パキスタンが中国を支援―中国メディア
2013年11月19日、前瞻網は記事「安倍首相驚愕、日中がひとたび開戦すればこの3カ国がひそかに中国を助ける」を掲載した。
緊張高まる尖閣情勢だが、日中が開戦すればイスラエル、ウクライナ、パキスタンの3カ国が中国を支援することは間違いない。
イスラエルの中国支援は今や公然の秘密。
中国の兵器開発の多くは同国の支援を受けている。
なぜイスラエルは中国を助けてくれるのか。
それは第二次世界大戦中、中国が多くのユダヤ人を助けたからにほかならない。
彼らは中国を命の恩人だと思っているのだ。
そして中国海軍最良の友人であるウクライナ。
彼らの技術支援がなければ中国の空母開発は10年遅れていたことだろう。
ウクライナは中国の巨大な投資、消費能力を必要としており、外交関係強化を望んでいる。
最後にパキスタン。
中国とも近く、同じ利益を共有し、なにより感情を通じ合わせている。中国の政治指導者はかつて「山よりも高く海よりも深い」と両国のきずなを形容した。
イスラエル、ウクライナ、パキスタン、この3カ国の支援は安倍首相を驚愕させることだろう。
日本を助けてくれるのは米国1カ国しかないのだから。
しかもその米国とてどう動くかわからないと安倍首相は心配している。
さてこのような情勢で開戦したならば、日本はどのような末路を迎えるのだろうか。
』
『
サーチナニュース 2013/11/17(日) 14:22
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1117&f=national_1117_034.shtml
【中国BBS】もしもわが国が日本に核兵器を使用したら?
現在、核兵器を保有している国は、中国、米国、ロシア、英国、フランスという国連の常任理事国のほか、インド、パキスタン、北朝鮮が保有を表明している。
過去に実戦使用されたのは、広島と長崎に落とされた原爆のみであるが、中国大手検索サイト百度の掲示板に
「もしもわが国が日本に核兵器を使用したら?」
という物騒なスレッドが立てられた。
中国国内では、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる問題で日本との戦争は不可避と考える人も多い。
スレ主は「もしもわが国が核兵器を使用したら、世界はどう変わるのか」と質問を投げかけた。
ネットユーザーから寄せられた意見で比較的多かったのは、
●.「世界中の国から非難される」
というものだが、至極当然な意見だ。
また、
●.「第三次世界大戦が起きる」、
●.「核戦争になって人類が滅びる」
などの悲観的な見方も少なくなかった。
しかし、中国が核を使用したところで別に何ともない、と考えるユーザーも多く、むしろ
●.「世界各国からの敬慕を受ける」
という主張まであった。
反日感情が強い中国では、
●.「日本は世界から嫌われている」
という誤った認識が広まっているためと思われるが、
中国では“敬意”を勝ち取る方法というのは、このような方法しかないのだろうか。
なかには、中国は日本に対して核兵器を使用して戦争を起こすべきではないという意見もあった。
一見、平和的な主張に見えるが、
●.「中国は日本を取り戻すべきだ。日本は中国固有の領土なのだから!」
と述べており、平和的な理由ではまったくないようだ。
日本は米国の核の傘下にあり、中国が安易に核兵器を使用するとはまず考えられないが、中国のネット上ではこのような“妄想的”な討論をよく目にする。
それだけ、反日的な人が多いということなのであろう。
』
『
JB Press 2013.12.05(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39363
大規模デモで揺らぐ脆弱なウクライナ経済不安定な財政、
ヤヌコビッチ大統領は中国に支援要請
(2013年12月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
●国内で大規模な反政府デモが続くなかで、ヤヌコビッチ大統領は訪中計画を敢行した〔AFPBB News〕
大勢の抗議者が街頭で大統領の辞任を求めているさなかにもかかわらず、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領は3日、中国を訪れた。
不振に喘ぐウクライナ経済をてこ入れできるかもしれない10億ドル規模の投融資について協議するためだ。
ヤヌコビッチ大統領の訪中計画の敢行は恐らく、国内の状況を掌握できる自信を示すというよりは、むしろウクライナの経済問題の激しさを反映している。
■財政不安、国債利回り急騰、通貨フリヴニャにも圧力・・・
ウクライナは景気後退に陥っており、膨れ上がる財政赤字と経常赤字を抱え、国際収支の圧力に苦しめられている。
来年6月に償還を迎えるドル建て短期国債の利回りは3日に20%を突破し、国債のデフォルト(債務不履行)に対して保険をかけるコストは急騰した。
ウクライナの不安定な財政は、現在の集団抗議行動と、力強い経済成長に続いた2004年のオレンジ革命との大きな違いだ。
弱い財政は現在の政治混乱の中心にある問題で、その結果生じた社会不安でさらにダメージを被る恐れがある。
「経済は当時よりずっと不調だ。
実際、経済は『崖っぷち』にあり、ストやデモ、資金源を巡る不確実性は何の助けにもならない」
と、スタンダードバンクの新興市場担当アナリスト、ティム・アッシュ氏は言う。
アナリストらによれば、本格的なデフォルトのリスクはまだ現実的ではない。
だが、アッシュ氏は、デモによる政府の活動の混乱は
「テクニカルデフォルトや管理デフォルトの可能性を甘く見てはならない」
ことを意味していると指摘する。
ユーリ・コロボフ財務相は、ウクライナは
「信頼できる借り手であり、すべての債務を期限内に完璧に履行しており、今後も履行する」
と主張している。
中央銀行がドルに対する「クローリングペッグ制(小刻みに為替レートを変更する制度)」を敷いているが、今では多くの人が過大評価されていると見なす通貨フリヴニャにも圧力がかかっている。
中央銀行のイホリ・ソルキン総裁はビデオでの声明で、うろたえた国民の預金引き出しを阻止しようとし、
「すべての人に、銀行システムを信頼し、貯金を維持することを強く勧める」
と述べた。
ウクライナは部分的には自国の力が及ばない要因に苦しめられている。
ウクライナの主要輸出品である鉄鋼の国際価格は低く、産業の燃料となるロシア産ガスに対して同国が払う価格は欧州で最も高い部類に入る。
●ウクライナがロシア産ガスに払う価格は欧州で最も高い部類に入る〔AFPBB News〕
実際、オレンジ革命の指導者の1人だったユリア・ティモシェンコ元首相が投獄された2011年の有罪判決は、検察側いわくウクライナに莫大な損害を与える価格で同氏が2009年のロシアとのガス契約をまとめたことが理由だった。
ミコラ・アザロフ首相は議会で、ウクライナはロシア産ガスに対して毎月「8億ドル過剰」にお金を払っていたと語った。
また、国有ガス会社は多額の補助金を付けた価格で家庭にガスを売っており、国家予算がその穴を埋めている。
さらに、ここ数カ月、ウクライナを説得して欧州連合(EU)との統合を進める連合協定への署名をやめさせることを狙って、ロシアがかけた貿易面の圧力も損害をもたらし、国境を越えた貿易が急減した。
だが、一部のアドバイザーでさえ、ウクライナ政府が失政を重ね、汚職が蔓延するお粗末な投資環境を改善できなかったことで問題を悪化させたと認めている。
■迫り来る国債大量償還、外部からの支援が不可欠
ウクライナは向こう2年間で150億ドルの債務返済に直面することから、ここ数カ月は基本的に国際金融市場から締め出されており、政府は対外債務を返済するために外貨準備を使わざるを得なかった。
ウクライナの外貨準備は、国際通貨基金(IMF)が推奨する輸入3カ月分という最低基準を下回った。キエフの証券会社ドラゴンキャピタルは、外貨準備は10月の206億ドルから減少し、11月末時点で190億ドルになったと試算している。
ヤヌコビッチ大統領が中国から取り付ける融資は短期的な助けになるだろう。
だが、今年の財政赤字が国内総生産(GDP)比5%に迫り、GDP比8%の経常赤字を抱えるウクライナ政府は、外部からのより大きな支援を切に必要としている。
主な潜在的資金源はIMFかロシアだ。
ウクライナ政府は数カ月前から断続的にIMFと協議しており、先月は、ウクライナがEUとの協定に署名した場合、IMFが即座に支援することを確約するようEUに迫った。
しかし、IMFは為替レートの柔軟性を高めることを求めており、融資の条件として、ウクライナ政府は家庭向けガス料金を引き上げなければならないと話している。
■ロシアは支援を申し出たが、対価は不透明
双方の政府高官らによれば、ロシアは融資やウクライナ国債の購入、場合によってはガス価格の引き下げによる支援を申し出たという。
ただ、ロシア政府が支援からどんな対価を引き出そうとしているのか、そして、ロシアがカザフスタン、ベラルーシとともに結成した関税同盟にウクライナが加盟しなければならないのかどうかは、まだ不透明だ。
しかし、アナリストらは、抗議活動はウクライナの従来の「何とか切り抜けていく」アプローチを持続不能にしたと警告する。
「どっちつかずの態度でいる時は、とっくの昔に過ぎ去った」
とアッシュ氏は話している。
By Neil Buckley and Roman Olearchyk
© The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. Please do not cut and
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中国に大転換も :ウェブ発明者が見通すネット世界、
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『
ロイター 2013年 11月 23日 13:42 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE9AM01620131123
ウェブ発明者が見通すネット世界、中国に大転換も
●.11月22日、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案したバーナーズ・リー氏(写真)は、中国の指導者らが経済を押し上げるために、インターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」をやがて取り払うことになると予見した。写真は2011年5月、スペインのビルバオで撮影(2013年 ロイター/Vincent West)
[ロンドン 22日 ロイター] -
中国の指導者らは経済を押し上げるために、
同国のインターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」をやがて取り払うことになるだろう──。
ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を1989年に考案し、「インターネットの父」とも呼ばれる英国のコンピューター科学者ティム・バーナーズ・リー氏(58)は、ロイターとのインタビューでこう予見した。
バーナーズ・リー氏が設立した団体「WWW基金」は21日、世界81カ国を対象にネットのアクセス、自由度、コンテンツなどを調査し、「ウェブ指数」としてまとめたランキングを発表した。
バーナーズ・リー氏はインタビューで、元米中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン容疑者の暴露で発覚した米国の情報監視プログラムを非難。
その米国は、監視活動の規模が明らかになったことや地方でのネット普及率が低いことなどから、ランキングで昨年から2つ順位を落とし、4位となった。
1位は2年連続でスウェーデンだった。
一方、昨年は調査対象61カ国のうち29位だった中国は、81カ国中57位に後退。
ただバーナーズ・リー氏は、今後上昇する可能性が最も大きいのは中国だと見る。
同氏は
「ベルリンの壁は倒れたが、中国のグレート・ファイアウォールは倒れるのではなく、解放されると思う」
と予想し、少しずつ、静かに、サイトごとに緩和されることを望むと指摘。
「自由なアクセスを認めるのが早いほど、経済的にも強い国になることを意味する」
と語る。
中国政府は検閲システムを通じ、フェイスブックやツイッター、一部の海外ニュースサイトへのアクセスを禁止しているほか、共産党指導部が国の安定や結束に害を与えるとみなすコンテンツも排除している。
バーナーズ・リー氏は、中国では政府がネットを管理しているため、市民がグレート・ファイアウォールを破壊する状況にはないと分析。
「可能性があるのは、ネット規制が自分たちの利益にならないことや、経済や国の発展を妨げていると気付くことだ」
と話す。
また、ソーシャルメディアの成長により世界中で政治参加が加速したことに勇気づけられたと述べる一方で、各国の情報収集活動や監視活動が民主主義を脅かす恐れがあると警戒する。
<スパイ活動対自由>
バーナーズ・リー氏は、特に米国と英国が行った盗聴活動について語り、スノーデン容疑者が暴いたスパイ活動の規模の大きさから、人権が侵害されていることが示されたと指摘。
「個人の権利が激しく損なわれた。 それも秘密裏に」
と述べ、インターネットにとって非常に深刻な脅威だと懸念を示す。
同氏は、国家にはネット犯罪に対抗する能力が必要だと認めながらも、英政府通信本部(GCHQ)や米国家安全保障局(NSA)など、民間人の情報を収集する機関には監督を強化する必要があると訴える。
その上で
「米英のケースでは、こうした監督や一般への説明がなかったことは明らかだ」
とし、情報機関に対する監視が極めて強力なものでなければいけないと強調した。
英情報機関の幹部らは、スノーデン容疑者を情報源とする報道は、欧米を狙った攻撃計画を食い止めようとする治安当局の能力を弱めるものだと非難している。
今年のWWW基金ランキングでは、英国は昨年と変わらず3位。
2位はノルウェーで、世界最大のエネルギー大国ロシアは41位だった。
同基金は、政治的なコンテンツを大規模に検閲する国として、
ロシア、
ザフスタン、
中国、
パキスタン、
サウジアラビア
を挙げる。
WWWを発明した価値は本当にあったのか、ネットは善と悪のどちらの力になっているか。
最後にこんな質問を投げ掛けてみると、バーナーズ・リー氏は
「人間に力を与えていることから、全般的には圧倒的に善の力となっている」
と自ら評価し、
「人間は基本的に善で、創造性に富み、協調的だ」
と付け加えた。
(Guy Faulconbridge記者、翻訳:橋本俊樹、編集:本田ももこ)
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月26日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79538&type=0
サイバー万里の長城は静かに解放されていく、「インターネットの父」が予想―米メディア
●23日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事「中国のサイバー万里の長城はいつ倒壊するのか」を掲載した。「インターネットの父」は中国政府自らが検閲を緩和していくと見通しを示した。写真は中国のネットカフェ。
2013年11月23日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事
「中国のサイバー万里の長城はいつ倒壊するのか」
を掲載した。
先日、中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で決議された、
「中国共産党中央による改革の全面的深化における若干の重大問題に関する決定」
が発表された。
その中でインターネット規制に触れた項目がある。
「社会動員能力が強いマイクロブログやスマホ向けコミュニケーションソフトの急速な普及に伴い、ネット法制建設と世論の誘導をいかに強化するか、ネット情報伝播の秩序と社会の安定をいかに確保するか、これは突出した問題として我々と直面している」
と危機感をあらわにしている。
専門家は今後、中国のネット検閲がさらに強化されるとの見通しを示した。
一方、ワールド・ワイド・ウェブを1989年に考案した「インターネットの父」、コンピューター科学者のティム・バーナーズ・リー氏はロイターの取材に答え、楽観的な姿勢を示している。
ベルリンの壁とは違い、
「中国のサイバー万里の長城は倒れるのではなく、解放されると思う」
と予想。
政府がネットを管理しているため市民が検閲システムを破壊するようなことにはならないが、ネット規制が中国の利益にならず経済成長の妨げになると気づいて、静かに転換するのではないかと見通しを示した。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 21時34分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79837&type=0
<数字で見る中国>移動インターネット時代へ!
4.6億人が携帯電話でネット接続―中国関連機関
2013年11月28日、中国国家インターネット情報弁公室の任賢良(レン・シエンリョン)主任は、中国のネットユーザーが「6億400万人」に達したと明らかにした。
「モバイルネットユーザーは4億6400万人」で、携帯電話がデスクトップPCを抜きインターネット接続で最大の端末となった。
これにより中国は移動インターネット時代に突入したと任主任は語っている。
このほか、今年11月までの時点で、中国のインターネット関連企業46社が米国の株式市場に上場し、10社が香港、12社が中国本土で上場している。
』
『
ロイター 2013年 11月 23日 13:42 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE9AM01620131123
ウェブ発明者が見通すネット世界、中国に大転換も
●.11月22日、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案したバーナーズ・リー氏(写真)は、中国の指導者らが経済を押し上げるために、インターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」をやがて取り払うことになると予見した。写真は2011年5月、スペインのビルバオで撮影(2013年 ロイター/Vincent West)
[ロンドン 22日 ロイター] -
中国の指導者らは経済を押し上げるために、
同国のインターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」をやがて取り払うことになるだろう──。
ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を1989年に考案し、「インターネットの父」とも呼ばれる英国のコンピューター科学者ティム・バーナーズ・リー氏(58)は、ロイターとのインタビューでこう予見した。
バーナーズ・リー氏が設立した団体「WWW基金」は21日、世界81カ国を対象にネットのアクセス、自由度、コンテンツなどを調査し、「ウェブ指数」としてまとめたランキングを発表した。
バーナーズ・リー氏はインタビューで、元米中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン容疑者の暴露で発覚した米国の情報監視プログラムを非難。
その米国は、監視活動の規模が明らかになったことや地方でのネット普及率が低いことなどから、ランキングで昨年から2つ順位を落とし、4位となった。
1位は2年連続でスウェーデンだった。
一方、昨年は調査対象61カ国のうち29位だった中国は、81カ国中57位に後退。
ただバーナーズ・リー氏は、今後上昇する可能性が最も大きいのは中国だと見る。
同氏は
「ベルリンの壁は倒れたが、中国のグレート・ファイアウォールは倒れるのではなく、解放されると思う」
と予想し、少しずつ、静かに、サイトごとに緩和されることを望むと指摘。
「自由なアクセスを認めるのが早いほど、経済的にも強い国になることを意味する」
と語る。
中国政府は検閲システムを通じ、フェイスブックやツイッター、一部の海外ニュースサイトへのアクセスを禁止しているほか、共産党指導部が国の安定や結束に害を与えるとみなすコンテンツも排除している。
バーナーズ・リー氏は、中国では政府がネットを管理しているため、市民がグレート・ファイアウォールを破壊する状況にはないと分析。
「可能性があるのは、ネット規制が自分たちの利益にならないことや、経済や国の発展を妨げていると気付くことだ」
と話す。
また、ソーシャルメディアの成長により世界中で政治参加が加速したことに勇気づけられたと述べる一方で、各国の情報収集活動や監視活動が民主主義を脅かす恐れがあると警戒する。
<スパイ活動対自由>
バーナーズ・リー氏は、特に米国と英国が行った盗聴活動について語り、スノーデン容疑者が暴いたスパイ活動の規模の大きさから、人権が侵害されていることが示されたと指摘。
「個人の権利が激しく損なわれた。 それも秘密裏に」
と述べ、インターネットにとって非常に深刻な脅威だと懸念を示す。
同氏は、国家にはネット犯罪に対抗する能力が必要だと認めながらも、英政府通信本部(GCHQ)や米国家安全保障局(NSA)など、民間人の情報を収集する機関には監督を強化する必要があると訴える。
その上で
「米英のケースでは、こうした監督や一般への説明がなかったことは明らかだ」
とし、情報機関に対する監視が極めて強力なものでなければいけないと強調した。
英情報機関の幹部らは、スノーデン容疑者を情報源とする報道は、欧米を狙った攻撃計画を食い止めようとする治安当局の能力を弱めるものだと非難している。
今年のWWW基金ランキングでは、英国は昨年と変わらず3位。
2位はノルウェーで、世界最大のエネルギー大国ロシアは41位だった。
同基金は、政治的なコンテンツを大規模に検閲する国として、
ロシア、
ザフスタン、
中国、
パキスタン、
サウジアラビア
を挙げる。
WWWを発明した価値は本当にあったのか、ネットは善と悪のどちらの力になっているか。
最後にこんな質問を投げ掛けてみると、バーナーズ・リー氏は
「人間に力を与えていることから、全般的には圧倒的に善の力となっている」
と自ら評価し、
「人間は基本的に善で、創造性に富み、協調的だ」
と付け加えた。
(Guy Faulconbridge記者、翻訳:橋本俊樹、編集:本田ももこ)
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月26日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79538&type=0
サイバー万里の長城は静かに解放されていく、「インターネットの父」が予想―米メディア
●23日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事「中国のサイバー万里の長城はいつ倒壊するのか」を掲載した。「インターネットの父」は中国政府自らが検閲を緩和していくと見通しを示した。写真は中国のネットカフェ。
2013年11月23日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事
「中国のサイバー万里の長城はいつ倒壊するのか」
を掲載した。
先日、中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で決議された、
「中国共産党中央による改革の全面的深化における若干の重大問題に関する決定」
が発表された。
その中でインターネット規制に触れた項目がある。
「社会動員能力が強いマイクロブログやスマホ向けコミュニケーションソフトの急速な普及に伴い、ネット法制建設と世論の誘導をいかに強化するか、ネット情報伝播の秩序と社会の安定をいかに確保するか、これは突出した問題として我々と直面している」
と危機感をあらわにしている。
専門家は今後、中国のネット検閲がさらに強化されるとの見通しを示した。
一方、ワールド・ワイド・ウェブを1989年に考案した「インターネットの父」、コンピューター科学者のティム・バーナーズ・リー氏はロイターの取材に答え、楽観的な姿勢を示している。
ベルリンの壁とは違い、
「中国のサイバー万里の長城は倒れるのではなく、解放されると思う」
と予想。
政府がネットを管理しているため市民が検閲システムを破壊するようなことにはならないが、ネット規制が中国の利益にならず経済成長の妨げになると気づいて、静かに転換するのではないかと見通しを示した。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 21時34分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79837&type=0
<数字で見る中国>移動インターネット時代へ!
4.6億人が携帯電話でネット接続―中国関連機関
2013年11月28日、中国国家インターネット情報弁公室の任賢良(レン・シエンリョン)主任は、中国のネットユーザーが「6億400万人」に達したと明らかにした。
「モバイルネットユーザーは4億6400万人」で、携帯電話がデスクトップPCを抜きインターネット接続で最大の端末となった。
これにより中国は移動インターネット時代に突入したと任主任は語っている。
このほか、今年11月までの時点で、中国のインターネット関連企業46社が米国の株式市場に上場し、10社が香港、12社が中国本土で上場している。
』
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「中国に親しみ感じない」8割超す…内閣府調査:韓国に対しては58%
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●23日、環球網は、日本の内閣府が発表した「外交に関する世論調査」において、中国に「親しみを感じない」と答えた人が80.7%となり、1978年の調査開始以来、過去最高を更新したと伝えた。
『
(2013年11月23日23時38分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131123-OYT1T00756.htm
「中国に親しみ感じない」8割超す…内閣府調査
内閣府が23日発表した「外交に関する世論調査」によると、
①.中国に「親しみを感じない」と答えた人は対前年比0・1ポイント増の80・7%
となり、1978年の調査開始以来最高となった。
②.「親しみを感じる」は同0・1ポイント増の18・1%
だった。
★.日中関係を「良好だと思わない」は91%で、前年(92・8%)
とほぼ同じ水準だった。
調査結果について外務省は、尖閣諸島をめぐる問題などが日本人の対中感情悪化に影響していると分析している。
★.韓国に対しては、「親しみを感じない」が対前年比1ポイント減の58・0%。
この割合は、李明博(イミョンバク)韓国前大統領の竹島上陸があった昨年の調査で急増(対前年比23・7ポイント増)、今回も高い水準だった。
★.日韓関係を「良好だと思わない」は同2・8ポイント減の76%
だった。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月24日 17時6分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79560&type=0
「中国に親しみ感じない」過去最高の8割、関係回復のきざしも―中国メディア
2013年11月23日、環球網は、日本メディアの報道として、日本の内閣府が発表した「外交に関する世論調査」において、中国に「親しみを感じない」と答えた人が80.7%となり、1978年の調査開始以来、過去最高を更新したと伝えた。
一方で、中国に対し「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」とした人は18.1%で、前回よりも0.1ポイント上昇した。
日中関係を「良好」「まあ良好」と答えた人も2ポイント増の6.8%だった。
これに対し「良好だと思わない」「あまり良好だと思わない」は1.8ポイント減の91%だった。
調査結果からは、わずからながらも日中関係改善のきざしがうかがえた。
韓国に対しては「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」とした人は40.7%で、前回より1.5ポイント上昇。
「親しみを感じない」「どちらかというと親しみを感じない」とした人は1ポイント減の58%だった。
昨年韓国大統領が竹島に上陸したことで「親しみを感じない」とした人が半数にのぼったが、今回の調査結果もその影響をひきずった形となった。
』
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月25日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/25/content_30695360.htm
日本の対中好感度が過去最悪 煽られる釣魚島情勢
日本英字誌『ザ・ディプロマット』は、「中国が防空識別圏を設定した実質的な意義は、日本の釣魚島に対する管轄権への挑戦だと指摘した。
島を巡る係争において、中国は空の新たな事実を創造しようとしている」と伝えた。
独ZDFテレビは、
「釣魚島(日本名・尖閣諸島)の雰囲気は、ヒートアップさせられている」
と報じた。
内閣府が発表した「外交に関する世論調査」によると、「中国に親しみを感じない」と答えた人の比率が80.7%に達し、1978年の調査開始以来最高となった。
これは中日の島を巡る係争が主因だ。
神奈川県でゴルフに興じていた安倍晋三首相は24日、「いかに日本の空を保護するべきか」と質問された際に即答を避け、
「気持ちいいですね。秋晴れで、紅葉で。
たまにはこういうこと(ゴルフ)がないと。
日本の空も秋晴れにしますか」
とコメントした。
ブルームバーグは、
「日本が来月発表する新たな10年間の防衛計画は、係争中の島嶼に対する安保措置を拡大する」
と指摘した。
フォーブス誌は、「中日双方は互いに譲歩を示していないが、対立はコントロール可能な範囲内のようだ。
日本経済の100人規模の訪中団が帰国したが、これは中国が中日経済関係の緩和に向けシグナルを出し始めたことを意味する。
中国側の立場は、非常に明確に示されている。経済の氷河期の終了は受け入れられるが、安倍政権の領土問題に対する強硬な態度により、中国は日本と釣魚島問題について協議しない。
この態度は一貫したものだ」と伝えた。
読売新聞は、
「中国が釣魚島を収める防空識別圏を設定し、安倍政権に譲歩を迫った」
と分析した。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月26日 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79595&type=0
ヒートアップする尖閣問題、日本の対中感情は過去最悪―海外メディア
●25日、中国紙・環球時報は尖閣問題により緊張が続く日中関係についての各国の報道を紹介した。写真は日本製品不買運動。
2013年11月25日、中国紙・環球時報は尖閣問題により緊張が続く日中関係についての各国の報道を紹介した。
中国が23日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことについて、日本メディアは
「中国は尖閣諸島に関する日本の管轄権に実質的に挑戦している。
中国は空中で新たな事実を創り出している」
と報道。また、
別の日本メディアは
「中国は防空識別圏の制定で安倍政権に尖閣問題での譲歩を迫っている」
と分析。
ドイツメディアは
「尖閣諸島の状況がヒートアップしている」
と伝えた。
日本の内閣府が23日に発表した「外交に関する世論調査」では、「中国に親しみを感じない」との回答が80.7%となり、1978年の調査開始以来最高を記録。
尖閣諸島問題の影響をうかがわせた。
また、米ブルームバーグは
「日本が12月に閣議決定する新しい防衛計画の大綱では離島防衛を強化する予定」
と伝え、尖閣問題などに対する備えを強化する方針を紹介した。
米誌フォーブスは、
「日中双方はお互いに妥協しないが、対峙はコントロール可能な範囲内にあるようだ。
日中経済協会の訪中団を中国が受け入れたことは、日本との経済関係を改善し始めようとするメッセージを示している。
しかし、中国の立場は明確で、経済に関する関係改善は受け入れても、安倍政権における尖閣問題に対しては強硬で、その態度は一貫している」
と指摘している。
』
●23日、環球網は、日本の内閣府が発表した「外交に関する世論調査」において、中国に「親しみを感じない」と答えた人が80.7%となり、1978年の調査開始以来、過去最高を更新したと伝えた。
(2013年11月23日23時38分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131123-OYT1T00756.htm
「中国に親しみ感じない」8割超す…内閣府調査
内閣府が23日発表した「外交に関する世論調査」によると、
①.中国に「親しみを感じない」と答えた人は対前年比0・1ポイント増の80・7%
となり、1978年の調査開始以来最高となった。
②.「親しみを感じる」は同0・1ポイント増の18・1%
だった。
★.日中関係を「良好だと思わない」は91%で、前年(92・8%)
とほぼ同じ水準だった。
調査結果について外務省は、尖閣諸島をめぐる問題などが日本人の対中感情悪化に影響していると分析している。
★.韓国に対しては、「親しみを感じない」が対前年比1ポイント減の58・0%。
この割合は、李明博(イミョンバク)韓国前大統領の竹島上陸があった昨年の調査で急増(対前年比23・7ポイント増)、今回も高い水準だった。
★.日韓関係を「良好だと思わない」は同2・8ポイント減の76%
だった。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月24日 17時6分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79560&type=0
「中国に親しみ感じない」過去最高の8割、関係回復のきざしも―中国メディア
2013年11月23日、環球網は、日本メディアの報道として、日本の内閣府が発表した「外交に関する世論調査」において、中国に「親しみを感じない」と答えた人が80.7%となり、1978年の調査開始以来、過去最高を更新したと伝えた。
一方で、中国に対し「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」とした人は18.1%で、前回よりも0.1ポイント上昇した。
日中関係を「良好」「まあ良好」と答えた人も2ポイント増の6.8%だった。
これに対し「良好だと思わない」「あまり良好だと思わない」は1.8ポイント減の91%だった。
調査結果からは、わずからながらも日中関係改善のきざしがうかがえた。
韓国に対しては「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」とした人は40.7%で、前回より1.5ポイント上昇。
「親しみを感じない」「どちらかというと親しみを感じない」とした人は1ポイント減の58%だった。
昨年韓国大統領が竹島に上陸したことで「親しみを感じない」とした人が半数にのぼったが、今回の調査結果もその影響をひきずった形となった。
』
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月25日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/25/content_30695360.htm
日本の対中好感度が過去最悪 煽られる釣魚島情勢
日本英字誌『ザ・ディプロマット』は、「中国が防空識別圏を設定した実質的な意義は、日本の釣魚島に対する管轄権への挑戦だと指摘した。
島を巡る係争において、中国は空の新たな事実を創造しようとしている」と伝えた。
独ZDFテレビは、
「釣魚島(日本名・尖閣諸島)の雰囲気は、ヒートアップさせられている」
と報じた。
内閣府が発表した「外交に関する世論調査」によると、「中国に親しみを感じない」と答えた人の比率が80.7%に達し、1978年の調査開始以来最高となった。
これは中日の島を巡る係争が主因だ。
神奈川県でゴルフに興じていた安倍晋三首相は24日、「いかに日本の空を保護するべきか」と質問された際に即答を避け、
「気持ちいいですね。秋晴れで、紅葉で。
たまにはこういうこと(ゴルフ)がないと。
日本の空も秋晴れにしますか」
とコメントした。
ブルームバーグは、
「日本が来月発表する新たな10年間の防衛計画は、係争中の島嶼に対する安保措置を拡大する」
と指摘した。
フォーブス誌は、「中日双方は互いに譲歩を示していないが、対立はコントロール可能な範囲内のようだ。
日本経済の100人規模の訪中団が帰国したが、これは中国が中日経済関係の緩和に向けシグナルを出し始めたことを意味する。
中国側の立場は、非常に明確に示されている。経済の氷河期の終了は受け入れられるが、安倍政権の領土問題に対する強硬な態度により、中国は日本と釣魚島問題について協議しない。
この態度は一貫したものだ」と伝えた。
読売新聞は、
「中国が釣魚島を収める防空識別圏を設定し、安倍政権に譲歩を迫った」
と分析した。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月26日 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79595&type=0
ヒートアップする尖閣問題、日本の対中感情は過去最悪―海外メディア
●25日、中国紙・環球時報は尖閣問題により緊張が続く日中関係についての各国の報道を紹介した。写真は日本製品不買運動。
2013年11月25日、中国紙・環球時報は尖閣問題により緊張が続く日中関係についての各国の報道を紹介した。
中国が23日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことについて、日本メディアは
「中国は尖閣諸島に関する日本の管轄権に実質的に挑戦している。
中国は空中で新たな事実を創り出している」
と報道。また、
別の日本メディアは
「中国は防空識別圏の制定で安倍政権に尖閣問題での譲歩を迫っている」
と分析。
ドイツメディアは
「尖閣諸島の状況がヒートアップしている」
と伝えた。
日本の内閣府が23日に発表した「外交に関する世論調査」では、「中国に親しみを感じない」との回答が80.7%となり、1978年の調査開始以来最高を記録。
尖閣諸島問題の影響をうかがわせた。
また、米ブルームバーグは
「日本が12月に閣議決定する新しい防衛計画の大綱では離島防衛を強化する予定」
と伝え、尖閣問題などに対する備えを強化する方針を紹介した。
米誌フォーブスは、
「日中双方はお互いに妥協しないが、対峙はコントロール可能な範囲内にあるようだ。
日中経済協会の訪中団を中国が受け入れたことは、日本との経済関係を改善し始めようとするメッセージを示している。
しかし、中国の立場は明確で、経済に関する関係改善は受け入れても、安倍政権における尖閣問題に対しては強硬で、その態度は一貫している」
と指摘している。
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2013年11月23日土曜日
中国:奇跡の経済成長、33年間のGDP年平均増加率は9.8%
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●.22日、改革開放から35年が経った今、経済発展の成果を振り返ってみよう。35年間の中国の経済発展ぶりは、次の数字によってたどることができる。資料写真。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 19時25分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79494&type=0
奇跡の経済成長、33年間のGDP年平均増加率は9.8%―中国
2013年11月22日、改革開放から35年が経った今、経済発展の成果を振り返ってみよう。
35年間の中国の経済発展ぶりは、次の数字によってたどることができる。
●・国内総生産(GDP)は1978年の3645億元(約6兆500億円)から、
2012年は51兆8942億元(約860兆8000億円)に増加
●・経済規模は78年の世界10位から、12年は2位に躍進
●・一人当たり平均GDPは78年の381元(約6400円)から、
12年は3万8420元(約63万7000円)に増加
●・外貨準備は78年の1億6700万ドル(約167億円)で世界38位から、
12年は3兆3116億ドル(約54兆9000億円)に増加し、7年連続で世界1位
国務院参事室の姚景源(ヤオ・ジンユエン)特別研究員は、上記のような改革開放スタートからの35年間の中国経済が成し遂げた奇跡について、
「われわれは35年の時間をかけて、貧困を脱し、衣食の問題を解決し、全面的な小康(ややゆとりのある)状態に向かって歩き始めた。
これが20世紀から21世紀の初めにかけて、中国が行った人類への最大の貢献だ」
と話す。
▽経済成長の奇跡、33年間のGDP年平均増加率は9.8%
改革開放の35年の中で、中国の経済規模はレベルアップを続け、総合的な国力は大幅に向上した。
GDPは78年の3645億元(約6兆500億円)から12年は51兆8942億元(約860兆8000億円)へと飛躍的に増加した。
78年の3645億元から86年の1兆元(約16兆6000億円)に到達するのには8年かかったが、91年の2兆元(約33兆2000億円)に到達するのには5年しかかからなかった。
その後の10年間は毎年平均約1兆元増加し、01年に10兆元(約166兆円)の大台を突破した。
02年から06年は年平均約2兆元増加し、06年に20兆元(約332兆円)の大台を突破。
その後は2年ごとに10兆元増加し、12年には52兆元に迫った。
経済規模がレベルアップしたのは、成長ペースが奇跡を生み出したためだ。
79年から12年までの33年間のGDP年平均増加率は9.8%だ。
同じ時期の世界経済の平均は2.8%にとどまる。
中国の経済規模の世界的な位置づけが緩やかに上昇し、世界の経済成長に対する貢献度も上昇を続けた。
78年の経済規模は世界10位だったが、08年にドイツを抜いて世界3位になり、10年は日本を抜いて世界2位になり、中国は米国に次ぐ経済体となった。
経済規模が世界に占める割合は78年の1.8%から、12年は11.5%に上昇した。
08年下半期に国際金融危機が発生すると、中国は世界経済の復興を牽引する重要なエンジンとなり、08-12年の世界の経済成長に対する年平均貢献度は20%を超えた。
世界10位から2位の躍進について、姚研究員は、
「くれぐれもこの順位を軽視してはならない。
世界各国との競争の中で、自国の順位を安定させることは簡単なことではない。
連続でこれほど順位を上げることの難しさはいうまでもない。
近代の歴史を振り返ると、経済が2けたの高度成長を維持できた国にはまず日本があり、成長は15年間続いた。
その後はアジア四小竜(台湾、韓国、香港、シンガポール)で、成長は20年間続いた。
中国経済のように30数年間にわたって約2けたの成長を達成したことは、まさに人類の奇跡だ」
と話す。
▽総合的な国力が大幅に上昇、低所得国から中の上の所得国に
持続的な高度成長は、総合的な国力と国際的な競争力を大幅に向上させた。
第一に、一人当たり平均GDPが上昇を続けた。78年の平均GDPは381元(約6400円)に過ぎなかったが、その後87年には1000元(約1万7000円)を突破し、03年には1万元(約16万6000円)を突破し、07年に2万元に達し、10年は3万元の大台に突入した。
12年の平均GDPは3万8420元(約63万7000円)で、物価上昇要因を考慮すると78年の16.2倍になり、この間の年平均増加率は8.7%だ。
所得の一人当たり平均も急速に増加し、世界銀行のデータによると、78年の190ドル(約1万9000円)から12年は5680ドル(約56万8000円)に増加した。
世銀の分類基準に基づくと、中国は低所得国から中の上の所得国に躍進した。
マクロデータには距離を感じることもあるので、姚研究員はミクロデータをよく取り上げる。
姚研究員は今や手の一部ともいえる携帯電話を指さして次のように述べた。
中国では87年に初めて携帯電話が登場し、90年代初頭まで携帯には3つの「3」があるといわれていた。
値段が3万元、重さが3斤(1.5kg)、代金を支払ってから3カ月待ってやっと手に入る、という意味だ。
12年の携帯電話普及率は人口100人あたり82.50台で、成人一人につきほぼ1台の水準に達した。
こうしたデータが私たち一人一人の前にありありと横たわる。
いずれも改革開放からの35年間にわれわれが成し遂げた成果だ。
総合的な国力の上昇は国の財政力の著しい増強にも現れている。
78年の財政収入は1132億元(約1兆9000億円)だったが、12年は11兆7254億元(約194兆6000億円)で78年の103倍に達し、年平均増加率は14.6%だった。
財力の増強は、経済発展の促進や社会保障の強化、都市部と農村部の格差縮小、国民生活の着実な改善、各種の打撃に対する有効な対応などに、資金面の力強い保障を提供した。
▽外貨準備が大幅増加、外貨不足国から外貨準備大国へ
開放の歩みが加速するのに伴い、中国の対外経済は飛躍的な進歩を遂げ、外貨準備が大幅に増加して、中国は外貨不足国から外貨準備大国へという非常に大きな転換を遂げた。
78年の外貨準備は1億6700万ドル(約167億円)で世界38位、一人当たり平均はわずか0.17ドルで、人民元に換算すれば1元にも満たなかった。
その後、対外経済が大きく発展するのに伴い、経常収支の貿易収支の黒字が積み上がり、外貨準備の不足は急速に過去のものとなった。
90年の外貨準備は100億ドルを超えて111億ドルに到達。
96年には1000億ドルを超えて1050億ドルに達し、06年には1兆ドルを超えて1兆663億ドルに達して日本を抜き、世界1位になった。
12年は3兆3116億ドルに上り、7年連続で世界一になった。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)
』
●.22日、改革開放から35年が経った今、経済発展の成果を振り返ってみよう。35年間の中国の経済発展ぶりは、次の数字によってたどることができる。資料写真。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 19時25分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79494&type=0
奇跡の経済成長、33年間のGDP年平均増加率は9.8%―中国
2013年11月22日、改革開放から35年が経った今、経済発展の成果を振り返ってみよう。
35年間の中国の経済発展ぶりは、次の数字によってたどることができる。
●・国内総生産(GDP)は1978年の3645億元(約6兆500億円)から、
2012年は51兆8942億元(約860兆8000億円)に増加
●・経済規模は78年の世界10位から、12年は2位に躍進
●・一人当たり平均GDPは78年の381元(約6400円)から、
12年は3万8420元(約63万7000円)に増加
●・外貨準備は78年の1億6700万ドル(約167億円)で世界38位から、
12年は3兆3116億ドル(約54兆9000億円)に増加し、7年連続で世界1位
国務院参事室の姚景源(ヤオ・ジンユエン)特別研究員は、上記のような改革開放スタートからの35年間の中国経済が成し遂げた奇跡について、
「われわれは35年の時間をかけて、貧困を脱し、衣食の問題を解決し、全面的な小康(ややゆとりのある)状態に向かって歩き始めた。
これが20世紀から21世紀の初めにかけて、中国が行った人類への最大の貢献だ」
と話す。
▽経済成長の奇跡、33年間のGDP年平均増加率は9.8%
改革開放の35年の中で、中国の経済規模はレベルアップを続け、総合的な国力は大幅に向上した。
GDPは78年の3645億元(約6兆500億円)から12年は51兆8942億元(約860兆8000億円)へと飛躍的に増加した。
78年の3645億元から86年の1兆元(約16兆6000億円)に到達するのには8年かかったが、91年の2兆元(約33兆2000億円)に到達するのには5年しかかからなかった。
その後の10年間は毎年平均約1兆元増加し、01年に10兆元(約166兆円)の大台を突破した。
02年から06年は年平均約2兆元増加し、06年に20兆元(約332兆円)の大台を突破。
その後は2年ごとに10兆元増加し、12年には52兆元に迫った。
経済規模がレベルアップしたのは、成長ペースが奇跡を生み出したためだ。
79年から12年までの33年間のGDP年平均増加率は9.8%だ。
同じ時期の世界経済の平均は2.8%にとどまる。
中国の経済規模の世界的な位置づけが緩やかに上昇し、世界の経済成長に対する貢献度も上昇を続けた。
78年の経済規模は世界10位だったが、08年にドイツを抜いて世界3位になり、10年は日本を抜いて世界2位になり、中国は米国に次ぐ経済体となった。
経済規模が世界に占める割合は78年の1.8%から、12年は11.5%に上昇した。
08年下半期に国際金融危機が発生すると、中国は世界経済の復興を牽引する重要なエンジンとなり、08-12年の世界の経済成長に対する年平均貢献度は20%を超えた。
世界10位から2位の躍進について、姚研究員は、
「くれぐれもこの順位を軽視してはならない。
世界各国との競争の中で、自国の順位を安定させることは簡単なことではない。
連続でこれほど順位を上げることの難しさはいうまでもない。
近代の歴史を振り返ると、経済が2けたの高度成長を維持できた国にはまず日本があり、成長は15年間続いた。
その後はアジア四小竜(台湾、韓国、香港、シンガポール)で、成長は20年間続いた。
中国経済のように30数年間にわたって約2けたの成長を達成したことは、まさに人類の奇跡だ」
と話す。
▽総合的な国力が大幅に上昇、低所得国から中の上の所得国に
持続的な高度成長は、総合的な国力と国際的な競争力を大幅に向上させた。
第一に、一人当たり平均GDPが上昇を続けた。78年の平均GDPは381元(約6400円)に過ぎなかったが、その後87年には1000元(約1万7000円)を突破し、03年には1万元(約16万6000円)を突破し、07年に2万元に達し、10年は3万元の大台に突入した。
12年の平均GDPは3万8420元(約63万7000円)で、物価上昇要因を考慮すると78年の16.2倍になり、この間の年平均増加率は8.7%だ。
所得の一人当たり平均も急速に増加し、世界銀行のデータによると、78年の190ドル(約1万9000円)から12年は5680ドル(約56万8000円)に増加した。
世銀の分類基準に基づくと、中国は低所得国から中の上の所得国に躍進した。
マクロデータには距離を感じることもあるので、姚研究員はミクロデータをよく取り上げる。
姚研究員は今や手の一部ともいえる携帯電話を指さして次のように述べた。
中国では87年に初めて携帯電話が登場し、90年代初頭まで携帯には3つの「3」があるといわれていた。
値段が3万元、重さが3斤(1.5kg)、代金を支払ってから3カ月待ってやっと手に入る、という意味だ。
12年の携帯電話普及率は人口100人あたり82.50台で、成人一人につきほぼ1台の水準に達した。
こうしたデータが私たち一人一人の前にありありと横たわる。
いずれも改革開放からの35年間にわれわれが成し遂げた成果だ。
総合的な国力の上昇は国の財政力の著しい増強にも現れている。
78年の財政収入は1132億元(約1兆9000億円)だったが、12年は11兆7254億元(約194兆6000億円)で78年の103倍に達し、年平均増加率は14.6%だった。
財力の増強は、経済発展の促進や社会保障の強化、都市部と農村部の格差縮小、国民生活の着実な改善、各種の打撃に対する有効な対応などに、資金面の力強い保障を提供した。
▽外貨準備が大幅増加、外貨不足国から外貨準備大国へ
開放の歩みが加速するのに伴い、中国の対外経済は飛躍的な進歩を遂げ、外貨準備が大幅に増加して、中国は外貨不足国から外貨準備大国へという非常に大きな転換を遂げた。
78年の外貨準備は1億6700万ドル(約167億円)で世界38位、一人当たり平均はわずか0.17ドルで、人民元に換算すれば1元にも満たなかった。
その後、対外経済が大きく発展するのに伴い、経常収支の貿易収支の黒字が積み上がり、外貨準備の不足は急速に過去のものとなった。
90年の外貨準備は100億ドルを超えて111億ドルに到達。
96年には1000億ドルを超えて1050億ドルに達し、06年には1兆ドルを超えて1兆663億ドルに達して日本を抜き、世界1位になった。
12年は3兆3116億ドルに上り、7年連続で世界一になった。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)
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中国軍の時代錯誤な世論誘導:軍のご意見番が主張する「新たな戦場」
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●親米から転換 アメリカとの交流が中国をむしばむと警告 Istockphoto
『
「WEDGE Infinity」 2013年11月22日(Fri)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3369
中国軍の時代錯誤な世論誘導:軍のご意見番が主張する「新たな戦場」
インターネットの普及は堅固を誇ってきた中国の一党支配体制に大きな打撃を与えているようだ。
中国の共産党政権はここ数年多発する集団騒擾(騒乱)事件の火消に追われ続けている。
騒擾事件に発展する前に世論の統制にも力を入れている。
しかし、携帯電話によってネットに接続できるようになったことで誰もが政治に対して意見表明できるチャンネルを獲得したのである。
市場化やインターネットの普及によって共産党の独善的な考え方、やり方に反発も増えてきた。
個人の権利や財産が重視されるようになったことで国家や党への従属的な意識が薄れ始めたのだ。
しかし、その一方で共産党政権はといえば依然として指導部の政治思想を官僚機構全般に学習、浸透させようと莫大な費用を費やして必死にプロパガンダを展開している。
軍を巡るプロパガンダも同様である。
共産主義のイデオロギーにより理論武装した解放軍は中国社会において依然、政治思想面でも指導的役割を担っている。
■「イデオロギーの陣地を占領せよ」
このほど軍の機関紙『解放軍報』に軍の幹部養成大学である国防大学の劉亜洲将軍による文章が掲載され、その激しさからイデオロギー面でも軍の動揺が窺えることからこの文章を紹介したい。
「しっかりとイデオロギーの陣地を占領せよ」という文章だ。
劉亜洲将軍は軍における最高ランクである上将の位を持つ将軍(2012年7月に昇格)のうちの一人であり、かねてから軍の最高指導部である中央軍事委員会入りするのではないかと目された人物でもある。
今回(習政権が成立直後の2012年11月)はその機会を逃したものの、依然「ご意見番」として中国内外から注目を浴び続けている。
* * *
【2013年10月15日 解放軍報(抄訳)】
習近平総書記は、イデオロギー工作は党の極めて重要な任務であり、党の前途、運命、国家の統治安定、民族が統合する力を左右すると強調した。
わが軍は党の指導の下にある軍隊であり、イデオロギー工作をしっかりおこなってこそ我が軍が終始、党による指揮を受け、勝てる戦いを遂行し、人々に奉仕することを確保できる。
積極的、戦略的に主導権を握り、イデオロギー工作を行わなければ、相手に鼻を明かされるだろう。
イデオロギーの分野では西側が強く、我々は弱く、敵側が攻勢で、我々は守勢に立たされている。
相手側が常にアジェンダ設定を行い攻勢をかけ、我々は対処に追われる羽目になり、防御もままならない。
このままいくと問題発生も不可避だろう。
だから知恵を絞り、視野を広く持ち主導権を握ることが大切だ。
また戦略的な判断能力を向上させる必要もある。
政権を転覆させる危険はどこから来るのか深く研究し予知能力を高めることである。
外部から来る一切のイデオロギー面の攻撃に対して予防措置を講じ、我々自身が主流の価値観が覆されないように、そして党の歴史、軍の歴史、革命の歴史に泥を塗られないようにして党や国の基本制度が歪曲化されないよう早めに対策を打って安定力を保持しなければならない。
我が国は史上まれにみる発展を成し遂げ、16世紀以来、西側諸国が世界の支配的地位を占めてきた情勢を書き換え、グローバリゼーションにおける辺境から中心へと躍り出た。
しかし、ここで自分のイデオロギーを確固として守り、舞い上がったり、足並みが乱れることがあってはならない。
★.インターネットがイデオロギー闘争の主戦場に
主導的にアジェンダ設定の権利(中国語では「話語権」と新しい固有名詞として使われるが、国際社会において自分で重要事項を設定して国際世論をリードするという意味:筆者)を獲得しなければならない。
イデオロギーのやり取りは実質的にアジェンダ設定の権限を持つことなのだ。
だれがアジェンダ設定権を持つかで民衆をリードすることができるかが決まる。
歴史が示すのは、国や政権、軍隊にとって制空権、制海権そして情報権を握ることが「ハードな戦いを勝つ」うえで重要だ。
しかし、もしアジェンダ設定権を失うなら「ハードな戦い」以前の問題であり、国の分裂を意味する。
ある人が1960年代に誰がメディアの紙媒体を握るかでアジェンダ設定の権限を持つか決まる、と言ったことがある。
1990年代以前には誰がテレビメディアをコントロールするかがアジェンダ設定の権限を有することを意味した。
新世紀に入ると、誰がインターネット、特にマイクロブログをコントロールするかでアジェンダ設定権を持つかが決まる。
今日のインターネットはイデオロギー闘争の主要な戦場となっており、西側の敵対勢力は中国を転覆させようとしている。
アジェンダ設定権獲得を目指すために世論のあり方と情勢の変化を重視し、新しい理念や手段を兼ね備えなければならない。
信念を持ち続ける必要があるが、イデオロギーの核心が信念だ。
深刻なイデオロギー闘争で負け戦を重ねるのは人々が迷信や権力、金銭、人間関係にほだされて共産主義を信じなくなっているからだ。
つまり共産党人としての信仰を持っていないのだ。
イデオロギー闘争における勝利とは、執政党の崇高な指導の下に本当の民意を反映させた路線政策を引き出し敵対勢力が和平演変を図ろうとも徒労に終わらせることだ。
西側には最近一つの論調がある。
「亡党者は共産党」というものだ。
我々党員は信仰を失ってしまい学んだものと考えることが違うようになってしまった。
思ったことと言っていることが違い、言っていることとやっていることが違う。
果ては私利私欲で動き、人のために奉仕せず、民衆を食いものにする。
我々党が誕生してからというもの、マルクス主義が自身の旗の上に書いているように、人民への奉仕が神聖な主旨であり、共産主義確立の最高の理想だった。
今日我々は信仰を高く堅持し、前を向いて進むだけでなく、来た道を振り返り、歴史を鑑として「初心、忘るべからず」に振る舞う必要がある。
* * *
【解説】
中国人民解放軍を誇る作家将軍による御題目である。
このような精神論が市場経済の恩恵を受けている「八〇後」と呼ばれる1980年代生まれ、「九〇後」と呼ばれる1990年代生まれの若い兵士たちに通じるのだろうか。
こうした疑問はさておき、劉亜洲将軍は軍きっての理論家であり、作家でもあり、そして物言う将軍でご意見番として一目置かれる存在である。
ところがこうした保守的な意見を吐くとはどうしたことだ。
一つには軍を巡る厳しい世論とそうした環境に置かれた軍の苦境があるかもしれない。
10月30日のコラムで軍が汚職にまみれ、民衆から離れた存在になることへの懸念を示した将軍の主張を紹介したばかりである。
習近平指揮下の軍隊として解放軍が効率の良い機能的で清廉潔白な軍であるために汚職撲滅を図っていることは報道される通りだ。
もう一つは解放軍ならではの政治的に社会をリードする軍の役割がある。
共産党の軍隊である中国人民解放軍を巡り「党の軍に対する絶対指導」というフレーズが繰り返し強調されるのは、政治思想的に堅固で党へ忠誠を誓う側面がある一方、軍が政治をリードする側面もある。
軍こそが共産主義の親衛隊だ、と言わんばかりに政治将校たちが保守的な主張を繰り返すのはそのような自負があるためだ。
劉将軍がイデオロギーの陣地を占拠せよ、と意気高々に主張するのもそうした考えがあるからだろう。
IT時代に入り、共産党や軍は反政府的な監視を強める一方で、世論を自分たちの思う方向に誘導しようという考えが出てきた。
政治教育やプロパガンダに力が入れられるのはそのためだが、いまだにこうした時代錯誤的なやり方が通じると思っているということだろう。
それともそれ以外の選択肢が見当たらないのか。
■不明な点が多い主張
劉将軍は習近平国家主席にも近いとされ、この文章でも軍の立場からイデオロギー面で習政権を援護していると捉えることもできる。
時期的にも習近平が党中央の宣伝会議でイデオロギーの重要性を強調したことを受けてかもしれない(このスピーチは「819講話」として学習が呼びかけられている)。
ただ注意すべきは劉将軍が主張するイデオロギーが一体何なのかが触れられていない点だ。
毛沢東や鄧小平、江沢民、胡錦濤といった歴代の指導者には一切触れず、共産主義云々をしているだけだ。
また「話語権」(アジェンダ設定する権限)というもののいったい何を主張したいのかも不明である。
通常、中国の保守派が主張するのは三権分立や民主化といった「普遍的価値」反対であったり、儒教的な、個人よりも家族や共同体を尊重するような、中国から「普遍的価値」を主張しようという動きである。
劉将軍はこうした主張にさえも触れていない。
単にネットの言論空間をコントロールして有利な状況を作り出そうと言っているに過ぎないのだ。
「開明的」な将軍として誉高い劉亜洲将軍だが、その理由のもう一つは彼の夫人が李先念元国家主席(故人)の娘ということもある。
現在、中国人民対外友好協会の会長も務める李小林女史は盛んな民間外交の旗手としても評判で、訪日経験も豊富でその太子党としての出自から「習近平主席の密使」と目されたりもする。
習主席や李総理が外国からの民間人の訪問団と会見する場によく同席している。
そのように国際情勢に通じた夫人を持つ劉将軍であるからこそ「しっかりとイデオロギーの陣地を占領せよ」という強硬な発言に不思議な違和感を禁じ得ないのだ。
ちなみにこの劉亜洲将軍。先に閉幕した3中全会にも昨年秋に選ばれた党の中央委員205人のうちの一人として改革案の審議に参加し、劉鶴(国家発展改革委員会副主任で習主席の経済政策ブレーンと目される)、劉源(軍総後勤部政治委員)といったメディアに注目を浴びる人物と並んで座っていたのが印象深い。
弓野正宏(ゆみの・まさひろ) 早稲田大学現代中国研究所招聘研究員
1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。
』
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ニューズウイーク 2013年12月3日(火)17時34分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/12/post-3122_1.php
共産党にくすぶる冷戦願望
The New Chinese Paranoia
[2013年11月19日号掲載]
反米映像のネット流出で中国の被害妄想が露呈
開放政策を続ければソ連の二の舞いと警告するが
J・マイケル・コール(ジャーナリスト)
中国共産党はこのところ欧米、特にアメリカを繰り返し批判してきた。
冷戦的思考に縛られて米中関係を損ない、アジアにおける安全保障を弱体化させている、と。
しかし先日ネットに流出した中国側のプロパガンダ映像によれば、実は冷戦こそ党にとって必要で欧米との接触は毒薬に等しいと考えているらしい。
少なくとも党内の保守派はある程度同じ考えのようだ。
党はこのところ欧米の価値観や文化が中国社会に及ぼす悪影響について警告し、対抗措置として規制を強化している。
問題の映像『較量無声(声なき戦い)』は中国国防大学や人民解放軍総参謀部、中国社会科学院などが共同制作したドキュメンタリー。
制作責任者には国防大学の劉亜洲(リウ・ヤーチョウ)政治委員(党の「八大元老」の1人だった李先念(リー・シエンニエン、元国家主席の娘婿)や王喜斌(ワン・シーピン)校長らが名を連ねている。
興味深いのは劉が10年に人民解放軍のシステムをアメリカ式に改革しなければソ連の二の舞いになると発言し、軍における改革派と目されていたことだ。
それが昨年7月に空軍上将に昇進した途端にこの変わりようでは、軍に改革派が存在するのか、存在するとしてもどの程度影響力があって長続きするのか怪しいものだ。
映像は米シンクタンクから電子音楽や高級ブランドまで欧米的なものをやり玉に挙げ、中国社会を「洗脳」し中国を内部から破壊する陰謀だと非難。
「アメリカのエリートは中国を解体するには、緊密な協力関係を通じて徐々にアメリカ主導の国際的・政治的体制の中に取り込むのが一番だと信じ切っている」
という劉の発言を紹介している。
非難の矛先は香港のイギリスとアメリカの総領事館にも向けられている。
映像によれば総領事館の「桁外れ」の規模は中国の内部に浸透し内側から揺さぶるためで、毎年6月に行われる天安門事件の犠牲者追悼集会など大規模な集会の背後にも姿が見え隠れするという。
■米外交のソフト面が怖い
米中関係改善の証しであるはずの過去1年間の軍事交流までが、信頼醸成措置ではなく「中国解体」の陰謀の一環と見なされている。
陰謀説の底流を成すのは、積極関与というアメリカの対中戦略のソフト面のほうが軍備というハード面以上に危険、という考え方だ。
映像は中国の「開放政策」批判ともいえるもので、欧米との接触を戒めるのが制作側の狙いの1つらしい。
実際にソ連など閉鎖的な社会が崩壊したのは主として米主導の世界的陰謀のせいだと主張している。
さらに映像は次のように指摘する。
ソ連崩壊は冷戦終結の始まりだったのではなく、実際は冷戦終結がソ連崩壊を招いた。
ソ連帝国の存続には冷戦と冷戦が生んだ閉鎖的で抑圧的で、軍事的で被害妄想的な体制が不可欠だった。
その体制の土台が欧米との接触で徐々に弱体化し、政府が世論を抑え切れなくなったとき、帝国全体が崩壊した。
その轍(てつ)を踏まないよう中国共産党は中国社会の隅々まで掌握し続けなければならない......。
これが党内の主導権争いの一端ではなく党の公式な結論だとしたら、方針転換の波紋は広範囲に及ぶだろう。
アメリカをはじめ欧米の主要国との関係はもとより、台湾などとの関係にも影響する可能性がある。
台湾は中国の手本といわれることが多く、両国の交流拡大が中国の民主化に拍車を掛けると期待されている。
しかし中国が台湾の民主主義とオープンな社会を欧米式で中国を弱体化させる陰謀の一環と見なし、リベラルな生活を破壊すべきだと結論する可能性もある(既に破壊し始めているという指摘もある)。
中国は最近まで、アメリカがいつまでも冷戦的思考に縛られていることに何より不満を訴えていた。
封じ込めはよくない、アメリカが中国に門戸を開きさえすれば米中関係は発展するだろう、と。
その中国が今度は一転して、アメリカとの交流は中国をむしばみ中国の存在自体を脅かすと警鐘を鳴らしている。
親米か反米か。相いれない2つの道のどちらを中国は選ぶのだろうか。
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●親米から転換 アメリカとの交流が中国をむしばむと警告 Istockphoto
「WEDGE Infinity」 2013年11月22日(Fri)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3369
中国軍の時代錯誤な世論誘導:軍のご意見番が主張する「新たな戦場」
中国の共産党政権はここ数年多発する集団騒擾(騒乱)事件の火消に追われ続けている。
騒擾事件に発展する前に世論の統制にも力を入れている。
しかし、携帯電話によってネットに接続できるようになったことで誰もが政治に対して意見表明できるチャンネルを獲得したのである。
市場化やインターネットの普及によって共産党の独善的な考え方、やり方に反発も増えてきた。
個人の権利や財産が重視されるようになったことで国家や党への従属的な意識が薄れ始めたのだ。
しかし、その一方で共産党政権はといえば依然として指導部の政治思想を官僚機構全般に学習、浸透させようと莫大な費用を費やして必死にプロパガンダを展開している。
軍を巡るプロパガンダも同様である。
共産主義のイデオロギーにより理論武装した解放軍は中国社会において依然、政治思想面でも指導的役割を担っている。
■「イデオロギーの陣地を占領せよ」
このほど軍の機関紙『解放軍報』に軍の幹部養成大学である国防大学の劉亜洲将軍による文章が掲載され、その激しさからイデオロギー面でも軍の動揺が窺えることからこの文章を紹介したい。
「しっかりとイデオロギーの陣地を占領せよ」という文章だ。
劉亜洲将軍は軍における最高ランクである上将の位を持つ将軍(2012年7月に昇格)のうちの一人であり、かねてから軍の最高指導部である中央軍事委員会入りするのではないかと目された人物でもある。
今回(習政権が成立直後の2012年11月)はその機会を逃したものの、依然「ご意見番」として中国内外から注目を浴び続けている。
* * *
【2013年10月15日 解放軍報(抄訳)】
習近平総書記は、イデオロギー工作は党の極めて重要な任務であり、党の前途、運命、国家の統治安定、民族が統合する力を左右すると強調した。
わが軍は党の指導の下にある軍隊であり、イデオロギー工作をしっかりおこなってこそ我が軍が終始、党による指揮を受け、勝てる戦いを遂行し、人々に奉仕することを確保できる。
積極的、戦略的に主導権を握り、イデオロギー工作を行わなければ、相手に鼻を明かされるだろう。
イデオロギーの分野では西側が強く、我々は弱く、敵側が攻勢で、我々は守勢に立たされている。
相手側が常にアジェンダ設定を行い攻勢をかけ、我々は対処に追われる羽目になり、防御もままならない。
このままいくと問題発生も不可避だろう。
だから知恵を絞り、視野を広く持ち主導権を握ることが大切だ。
また戦略的な判断能力を向上させる必要もある。
政権を転覆させる危険はどこから来るのか深く研究し予知能力を高めることである。
外部から来る一切のイデオロギー面の攻撃に対して予防措置を講じ、我々自身が主流の価値観が覆されないように、そして党の歴史、軍の歴史、革命の歴史に泥を塗られないようにして党や国の基本制度が歪曲化されないよう早めに対策を打って安定力を保持しなければならない。
我が国は史上まれにみる発展を成し遂げ、16世紀以来、西側諸国が世界の支配的地位を占めてきた情勢を書き換え、グローバリゼーションにおける辺境から中心へと躍り出た。
しかし、ここで自分のイデオロギーを確固として守り、舞い上がったり、足並みが乱れることがあってはならない。
★.インターネットがイデオロギー闘争の主戦場に
主導的にアジェンダ設定の権利(中国語では「話語権」と新しい固有名詞として使われるが、国際社会において自分で重要事項を設定して国際世論をリードするという意味:筆者)を獲得しなければならない。
イデオロギーのやり取りは実質的にアジェンダ設定の権限を持つことなのだ。
だれがアジェンダ設定権を持つかで民衆をリードすることができるかが決まる。
歴史が示すのは、国や政権、軍隊にとって制空権、制海権そして情報権を握ることが「ハードな戦いを勝つ」うえで重要だ。
しかし、もしアジェンダ設定権を失うなら「ハードな戦い」以前の問題であり、国の分裂を意味する。
ある人が1960年代に誰がメディアの紙媒体を握るかでアジェンダ設定の権限を持つか決まる、と言ったことがある。
1990年代以前には誰がテレビメディアをコントロールするかがアジェンダ設定の権限を有することを意味した。
新世紀に入ると、誰がインターネット、特にマイクロブログをコントロールするかでアジェンダ設定権を持つかが決まる。
今日のインターネットはイデオロギー闘争の主要な戦場となっており、西側の敵対勢力は中国を転覆させようとしている。
アジェンダ設定権獲得を目指すために世論のあり方と情勢の変化を重視し、新しい理念や手段を兼ね備えなければならない。
信念を持ち続ける必要があるが、イデオロギーの核心が信念だ。
深刻なイデオロギー闘争で負け戦を重ねるのは人々が迷信や権力、金銭、人間関係にほだされて共産主義を信じなくなっているからだ。
つまり共産党人としての信仰を持っていないのだ。
イデオロギー闘争における勝利とは、執政党の崇高な指導の下に本当の民意を反映させた路線政策を引き出し敵対勢力が和平演変を図ろうとも徒労に終わらせることだ。
西側には最近一つの論調がある。
「亡党者は共産党」というものだ。
我々党員は信仰を失ってしまい学んだものと考えることが違うようになってしまった。
思ったことと言っていることが違い、言っていることとやっていることが違う。
果ては私利私欲で動き、人のために奉仕せず、民衆を食いものにする。
我々党が誕生してからというもの、マルクス主義が自身の旗の上に書いているように、人民への奉仕が神聖な主旨であり、共産主義確立の最高の理想だった。
今日我々は信仰を高く堅持し、前を向いて進むだけでなく、来た道を振り返り、歴史を鑑として「初心、忘るべからず」に振る舞う必要がある。
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【解説】
中国人民解放軍を誇る作家将軍による御題目である。
このような精神論が市場経済の恩恵を受けている「八〇後」と呼ばれる1980年代生まれ、「九〇後」と呼ばれる1990年代生まれの若い兵士たちに通じるのだろうか。
こうした疑問はさておき、劉亜洲将軍は軍きっての理論家であり、作家でもあり、そして物言う将軍でご意見番として一目置かれる存在である。
ところがこうした保守的な意見を吐くとはどうしたことだ。
一つには軍を巡る厳しい世論とそうした環境に置かれた軍の苦境があるかもしれない。
10月30日のコラムで軍が汚職にまみれ、民衆から離れた存在になることへの懸念を示した将軍の主張を紹介したばかりである。
習近平指揮下の軍隊として解放軍が効率の良い機能的で清廉潔白な軍であるために汚職撲滅を図っていることは報道される通りだ。
もう一つは解放軍ならではの政治的に社会をリードする軍の役割がある。
共産党の軍隊である中国人民解放軍を巡り「党の軍に対する絶対指導」というフレーズが繰り返し強調されるのは、政治思想的に堅固で党へ忠誠を誓う側面がある一方、軍が政治をリードする側面もある。
軍こそが共産主義の親衛隊だ、と言わんばかりに政治将校たちが保守的な主張を繰り返すのはそのような自負があるためだ。
劉将軍がイデオロギーの陣地を占拠せよ、と意気高々に主張するのもそうした考えがあるからだろう。
IT時代に入り、共産党や軍は反政府的な監視を強める一方で、世論を自分たちの思う方向に誘導しようという考えが出てきた。
政治教育やプロパガンダに力が入れられるのはそのためだが、いまだにこうした時代錯誤的なやり方が通じると思っているということだろう。
それともそれ以外の選択肢が見当たらないのか。
■不明な点が多い主張
劉将軍は習近平国家主席にも近いとされ、この文章でも軍の立場からイデオロギー面で習政権を援護していると捉えることもできる。
時期的にも習近平が党中央の宣伝会議でイデオロギーの重要性を強調したことを受けてかもしれない(このスピーチは「819講話」として学習が呼びかけられている)。
ただ注意すべきは劉将軍が主張するイデオロギーが一体何なのかが触れられていない点だ。
毛沢東や鄧小平、江沢民、胡錦濤といった歴代の指導者には一切触れず、共産主義云々をしているだけだ。
また「話語権」(アジェンダ設定する権限)というもののいったい何を主張したいのかも不明である。
通常、中国の保守派が主張するのは三権分立や民主化といった「普遍的価値」反対であったり、儒教的な、個人よりも家族や共同体を尊重するような、中国から「普遍的価値」を主張しようという動きである。
劉将軍はこうした主張にさえも触れていない。
単にネットの言論空間をコントロールして有利な状況を作り出そうと言っているに過ぎないのだ。
「開明的」な将軍として誉高い劉亜洲将軍だが、その理由のもう一つは彼の夫人が李先念元国家主席(故人)の娘ということもある。
現在、中国人民対外友好協会の会長も務める李小林女史は盛んな民間外交の旗手としても評判で、訪日経験も豊富でその太子党としての出自から「習近平主席の密使」と目されたりもする。
習主席や李総理が外国からの民間人の訪問団と会見する場によく同席している。
そのように国際情勢に通じた夫人を持つ劉将軍であるからこそ「しっかりとイデオロギーの陣地を占領せよ」という強硬な発言に不思議な違和感を禁じ得ないのだ。
ちなみにこの劉亜洲将軍。先に閉幕した3中全会にも昨年秋に選ばれた党の中央委員205人のうちの一人として改革案の審議に参加し、劉鶴(国家発展改革委員会副主任で習主席の経済政策ブレーンと目される)、劉源(軍総後勤部政治委員)といったメディアに注目を浴びる人物と並んで座っていたのが印象深い。
弓野正宏(ゆみの・まさひろ) 早稲田大学現代中国研究所招聘研究員
1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。
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ニューズウイーク 2013年12月3日(火)17時34分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/12/post-3122_1.php
共産党にくすぶる冷戦願望
The New Chinese Paranoia
[2013年11月19日号掲載]
反米映像のネット流出で中国の被害妄想が露呈
開放政策を続ければソ連の二の舞いと警告するが
J・マイケル・コール(ジャーナリスト)
中国共産党はこのところ欧米、特にアメリカを繰り返し批判してきた。
冷戦的思考に縛られて米中関係を損ない、アジアにおける安全保障を弱体化させている、と。
しかし先日ネットに流出した中国側のプロパガンダ映像によれば、実は冷戦こそ党にとって必要で欧米との接触は毒薬に等しいと考えているらしい。
少なくとも党内の保守派はある程度同じ考えのようだ。
党はこのところ欧米の価値観や文化が中国社会に及ぼす悪影響について警告し、対抗措置として規制を強化している。
問題の映像『較量無声(声なき戦い)』は中国国防大学や人民解放軍総参謀部、中国社会科学院などが共同制作したドキュメンタリー。
制作責任者には国防大学の劉亜洲(リウ・ヤーチョウ)政治委員(党の「八大元老」の1人だった李先念(リー・シエンニエン、元国家主席の娘婿)や王喜斌(ワン・シーピン)校長らが名を連ねている。
興味深いのは劉が10年に人民解放軍のシステムをアメリカ式に改革しなければソ連の二の舞いになると発言し、軍における改革派と目されていたことだ。
それが昨年7月に空軍上将に昇進した途端にこの変わりようでは、軍に改革派が存在するのか、存在するとしてもどの程度影響力があって長続きするのか怪しいものだ。
映像は米シンクタンクから電子音楽や高級ブランドまで欧米的なものをやり玉に挙げ、中国社会を「洗脳」し中国を内部から破壊する陰謀だと非難。
「アメリカのエリートは中国を解体するには、緊密な協力関係を通じて徐々にアメリカ主導の国際的・政治的体制の中に取り込むのが一番だと信じ切っている」
という劉の発言を紹介している。
非難の矛先は香港のイギリスとアメリカの総領事館にも向けられている。
映像によれば総領事館の「桁外れ」の規模は中国の内部に浸透し内側から揺さぶるためで、毎年6月に行われる天安門事件の犠牲者追悼集会など大規模な集会の背後にも姿が見え隠れするという。
■米外交のソフト面が怖い
米中関係改善の証しであるはずの過去1年間の軍事交流までが、信頼醸成措置ではなく「中国解体」の陰謀の一環と見なされている。
陰謀説の底流を成すのは、積極関与というアメリカの対中戦略のソフト面のほうが軍備というハード面以上に危険、という考え方だ。
映像は中国の「開放政策」批判ともいえるもので、欧米との接触を戒めるのが制作側の狙いの1つらしい。
実際にソ連など閉鎖的な社会が崩壊したのは主として米主導の世界的陰謀のせいだと主張している。
さらに映像は次のように指摘する。
ソ連崩壊は冷戦終結の始まりだったのではなく、実際は冷戦終結がソ連崩壊を招いた。
ソ連帝国の存続には冷戦と冷戦が生んだ閉鎖的で抑圧的で、軍事的で被害妄想的な体制が不可欠だった。
その体制の土台が欧米との接触で徐々に弱体化し、政府が世論を抑え切れなくなったとき、帝国全体が崩壊した。
その轍(てつ)を踏まないよう中国共産党は中国社会の隅々まで掌握し続けなければならない......。
これが党内の主導権争いの一端ではなく党の公式な結論だとしたら、方針転換の波紋は広範囲に及ぶだろう。
アメリカをはじめ欧米の主要国との関係はもとより、台湾などとの関係にも影響する可能性がある。
台湾は中国の手本といわれることが多く、両国の交流拡大が中国の民主化に拍車を掛けると期待されている。
しかし中国が台湾の民主主義とオープンな社会を欧米式で中国を弱体化させる陰謀の一環と見なし、リベラルな生活を破壊すべきだと結論する可能性もある(既に破壊し始めているという指摘もある)。
中国は最近まで、アメリカがいつまでも冷戦的思考に縛られていることに何より不満を訴えていた。
封じ込めはよくない、アメリカが中国に門戸を開きさえすれば米中関係は発展するだろう、と。
その中国が今度は一転して、アメリカとの交流は中国をむしばみ中国の存在自体を脅かすと警鐘を鳴らしている。
親米か反米か。相いれない2つの道のどちらを中国は選ぶのだろうか。
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中国、一人っ子政策の見直し(2):子供養育に労働時間を奪われる
● 今年を100とした中国と日本の生産年齢人口の全人口に占める比率
(中国:赤、日本:水色、中国で従来予想より年間150万人ずつ新生児が増えた場合:ベージュ)
『
ウォールストリートジャーナル 2013年 11月 22日 13:02 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304152804579212891245774258.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsThird
By BOB DAVIS
中国の一人っ子政策緩和で、子供養育に労働時間奪われる
【北京】中国による一人っ子政策の緩和は、玩具メーカーや家庭教師に有利に働くかもしれない。
しかし、エコノミストは、同国の経済全体でみれば向こう15年にわたって成長には寄与せず、それどころか赤ちゃんの世話のため職場を離れる人々が増えるにつれて、経済問題が深刻化する可能性もあると指摘する。
中国は人口動態面で急激かつ不可逆的なシフトを迎えようとしている。
国連の推定によれば、
中国の生産年齢人口が総人口に占める割合は2015年にピーク
に達した後、急速に減少し始める。
先週発表された一人っ子政策の緩和は、夫婦のどちらかが一人っ子だった場合、その夫婦は2人目の子供を持てるというものだが、それは将来的に労働者が増えることを意味する。
しかし人口統計学者は、それは、中国の人口動態上の問題を解決するのではなく、むしろ悪化させるだろうと言う。
両親や祖父母が増加する赤ちゃんの世話のため、労働時間を減らすからだ。
労働力の供給減少は経済にマイナスの影響を及ぼす。
すなわち、労働の価格、つまり労賃を押し上げるから、中国の低価格輸出品工場にとってライバルとの競争が難しくなる。
それはまた、増大する年金生活者や子供たちの扶助を難しくする。
一つプラスの面は、政策変更に伴う出生人数の増加で消費が増加し、こうした経済的なマイナスを相殺する公算が大きいことだ。
中国の労働力供給は、猛烈な経済成長にとって不可欠だった。
過去30年間、中国の生産年齢人口は、絶対数でみても労働力のシェアでみても拡大した。
それは次々に新設される工場で働ける労働者が増えていったことを意味し、しかも、こうした労働者は扶養する家族がほとんどいなかった。
しかし、ここに来て、中国の人口動態からの経済的な追い風は、逆風となって経済成長の足かせになろうとしている。
国連の推計では、同国の生産年齢人口は向こう15年間減少し続ける見通しで、1990年代の日本のそれと同じ程度に急激に減少する恐れもある。
日本の経済はそれまで極めて急速に成長していたため、米国を抜いて世界最大の経済大国になると予想するエコノミストも少なくなかった。
しかし実際には日本経済は停滞し始めた。
2011年には、中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国になった。
上海・復旦大学のエコノミスト、彭希哲氏は
「一人っ子政策の緩和は、中国経済にとって扶養負担を増やすだろう」
と述べ、「それは大きな負担だろう」と語った。
新方針が発表される前、シティグループのエコノミスト、ネーザン・シーツ、ロバート・ソッキンの両氏は、中国の人口動態問題の結果、年間経済成長率は2012年から30年までの間3.25%ポイント押し下げられるだろうと推計していた。
ちなみにそれまでの数十年間の成長率は2ケタを続けていた。
全体として、両氏は、向こう20年間の中国の成長率は高くとも6.9%で、
「相当大幅に下回る」可能性もあると予測していた。
両氏は新政策発表を受けて、生まれる赤ちゃんが年間150万人増えると想定し、計算し直した。すると、人口動態問題は向こう15年間一段と悪化するとの結果が出た。
シーツ氏は
「国民に子供をもっと多く持たせることは、子供が成人になるだいたい20年後にならないと、労働者不足を是正できないことを意味する」
と述べ、
「その時まで、増えた子供は就労していないし、養育の必要があるからだ」
と指摘。
「財政コスト(とりわけ学校建設や運営)が増加するほか、労働に費やしていた親たちの時間が養育に当てられるだろう」
と語った。
同氏は元米連邦準備制度理事会(FRB)上級国際エコノミストだ。
同氏は他方で、中国の親たちは誕生した子供のための支出を増やし、その結果、消費が喚起されるだろうとも述べている。
多くの産業部門は新たに生まれた子供たちから恩恵を得るはずだ。
例えば玩具、衣料メーカー、そして教育産業だ。
子供が大きくなるにつれて、アパートの数も広さも必要になるだろう。
これらは全て、中国の貯蓄率を低下させ、経済が輸出・公共投資型から国内消費型に移行するのを促進する可能性がある。
全体として、シーツ、ソッキン両氏は、消費からのプラス効果は、人口動態に伴うマイナス効果と拮抗すると推定している。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年12月9日 19時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80198&type=0
<一人っ子政策>罰金は地方政府の大事な収入源、2012年は3400億円超え―英紙
●5日、12年に一人っ子政策違反者から徴収した罰金の額を、中国の各地方政府が初めて公開した。その総額は200億元(約3400億円)を上回った。写真は一人っ子政策のスローガン。
2013年12月5日、英紙デイリー・テレグラフによると、12年に一人っ子政策違反者から徴収した罰金の額を、中国の各地方政府がこのほど初めて公開した。
その総額は200億元(約3400億円)を上回るという。
6日付で中国・参考消息網が伝えた。
中国国内31の省と自治区のうち、24の省と自治区の政府が公開したデータによると、12年に一人っ子政策に違反した者から「社会扶養費」の名目で徴収した罰金の総額は全体で200億元を突破。
中国南部の広東省の徴収額は14億6000万元(約247億円)に上った。
この巨額の罰金の使途について、各地方政府は一切非公開にしている。
浙江省の弁護士・呉有水(ウー・ヨウシュイ)氏は、
「当初、こうした罰金は人口抑制のために役立っていると思っていた。
しかし、その後、地方政府がこの罰金制度を利用して重要な収入源にしていることに気づいた」
と話す。
そこで今年7月に各省に対し、情報公開を求める文書を送ったという。
中国政府はこのほど、両親のいずれかが一人っ子の場合、2人目の出産を認める事実上の緩和策を発表した。
しかし、前述の呉弁護士は
「2人目の子供を出産した夫婦から、地方政府が何がしかの『罰金』を徴収する可能性がある」
と指摘する。
「さまざまな書類や証明書の提出を求め、それを提出できないことに対して罰金を科すようになるだろう」
と、同弁護士は予想している。
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フィリピン支援で米中日3カ国がアジアの覇権争い:海自艦が到着、本格支援へ
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●22日、韓国・朝鮮日報(中国語電子版)は、台風30号の被害を受けたフィリピンの被災地で「米中日3カ国、アジアの覇権争い」と題する記事を掲載した。写真は中国の病院船。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79503&type=0
<台風30号被災地支援>米中日3カ国、アジアの覇権争い―韓国紙
2013年11月22日、韓国・朝鮮日報(中国語電子版)は、台風30号の被害を受けたフィリピンの被災地で「米中日3カ国、アジアの覇権争い」と題する記事を掲載した。
以下はその概要。
台風30号で甚大な被害を受けたフィリピンに対し、米国、中国、日本の3カ国が熾烈な支援合戦を展開している。
日本の自衛隊は第二次世界大戦中の旧日本軍以来、初めてフィリピンの土を踏んだ。
米国は空母を、中国は海軍医療部隊を被災地に派遣している。
特に注目を集めているのは日本の動向だろう。
自衛隊員は輸送機でさまざまな救援物資を被災地へ運び込み、住民が島を離れる手助けをしている。
被害の激しいレイテ島の沿岸部には医療テントが設置され、緊急医療チームは毎日150人以上の患者を手当てしている。
自衛隊による救援活動は、旧日本軍が残した悪夢を消すのに一定の効果を上げているようだ。
一方、米国は大規模かつ迅速な支援により、フィリピン市民の心をつかんでいる。
米国はアジア重視政策を打ち出しており、戦略的に今回の支援をフィリピンへの“再出陣”と位置付ける。
中国は当初支援額の少なさが内外から批判を受け、遅ればせながら「被災地支援外交」を展開。
米メディアは「米国と日本の支援が中国には相当なプレッシャーになったのだろう」と伝えた。
』
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日本経済新聞 11月23日(土曜日) 2013/11/22 21:26
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2205C_S3A121C1CR8000/
海自艦がフィリピン到着、本格支援へ 死者5000人超える
【マニラ=佐竹実】フィリピン国家災害対策本部は22日、台風30号による死者が5209人に達したと発表した。
犠牲者はレイテ島やサマール島など比中部に集中している。
行方不明者は1611人。
被災状況の確認や復旧作業が遅れているほか衛生状態が悪化しており、被害はさらに拡大する可能性がある。
被災地では、日米などの国際支援が本格化している。
22日には、海上自衛隊の護衛艦「いせ」など3隻がレイテ島近海に到着。
物資輸送などを近く始める。ほかに、航空自衛隊のC130輸送機が被災地にコメを輸送するなどの救援活動を展開。
自衛隊の海外派遣としては過去最大となる計約1180人による支援となる。
レイテ島とサマール島に在留届を出している日本人133人のうち、在比大使館は128人の無事を確認。
結婚などで現地に住む人が多いとみられる。
5人の行方が分かっていないが、在留届は申告ベースで、帰国するなどしても転出届を出さない例がある。
大使館は確認を進めている。
』
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 12:08
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300785.html
フィリピン支援で米中日がパワーゲーム
猛烈な台風30号に襲われたフィリピンの災害復旧現場で、米中日が「支援競争」を展開している。
被災した住民を支援するという人道的な「名分」だけでなく、アジアの覇権競争の舞台であるフィリピンで市民の心をつかみ、影響力を拡大しようという各国の「実利」とも一致するからだ。
日本の自衛隊は第2次世界大戦の日本軍以来初めて、フィリピンの地を踏んだ。
米空母に続き、中国海軍の医療船も到着しつつある。
フィリピン政府の公式発表によると、台風30号による被害は21日現在で、死者4011人、行方不明者1602人で、物的被害額は2億3600万ドル(約239億円)に上った。
被害規模は拡大を続けている。
最も注目すべきことは日本の動きだ。
21日付ウォール・ストリート・ジャーナルによると、被害が最も大きいレイテ島のタクロバン空港には20日、日の丸が描かれた鉱区自衛隊のC130輸送機2機が到着した。
レイテ島沖では、第2次世界大戦で最大の海戦が行われ、1944年10月に米国、オーストラリアの連合軍と戦った日本軍は空母、戦艦、駆逐艦など20隻が沈没し、1万人が戦死した。
そんな歴史を持つレイテ島に日の丸を掲げた自衛隊が70年ぶりに登場したことになる。
自衛隊員は輸送機からさまざまな救援物資を下ろす一方、島から脱出するために長蛇の列をなす住民を乗せて飛んでいる。
レイテ島の海岸には日の丸がたなびく医療テントも設置された。
15日に先遣隊として派遣された緊急医療チームは毎日約150人の患者を治療している。
最近積極的に軍事力の増強に取り組んでいる日本は、今回の自衛隊による救援活動を通じ、「日本軍」に対する悪夢のような記憶を持つアジア各国の懸念を軽減しようとしており、既にかなりの効果を上げている。
タクロバンのある住民は「うちの地域に救援チームが来たのは自衛隊が最初だった」と話した。別の住民はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、「子どものころ、祖母が戦争中に日本人はとても怖かったと話していたが、今の日本の軍隊(自衛隊)による救援活動には否定的な感覚は特にない」と語った。
米国は中国をけん制するための「アジア重視戦略」の一環で、フィリピンに再び軍隊を駐留させようとしている。
米国は圧倒的な支援規模とスピードでフィリピン人の支持を得ている。
海兵隊兵力と民間の救援チームだけでなく、原子力空母まで動員し、救援物資を運び、負傷者の治療にも当たっている。
現在米国は救援活動に約9000人を投入している。
今月10日には沖縄に駐留している第2海兵遠征旅団の先発隊が真っ先に被災地に到着し、日に日に兵力と設備支援を増やしている。
乗組員約6000人、艦載機80機を擁する空母ジョージ・ワシントンを中心とする船団も派遣された。
米軍がフィリピンに展開するのは約20年ぶりだ。
米軍は植民地時代も含め、約100年にわたりフィリピンに駐留したが、米軍基地の汚染問題で反米感情が高まった1991年、フィリピンは米軍駐留延長法案を否決。
米軍はスービック海軍基地、クラーク空軍基地から撤退した。
米軍は現在、アジアでの覇権強化を目指し、循環配備方式でフィリピンに再び米軍を駐留させようとしているが、フィリピン世論の反対に直面している。
台風30号の被災地を支援する米軍の努力は、米軍に対するマイナスイメージを転換するきっかけとなっている。
米インターネットメディアのクリスチャン・サイエンス・モニターは
「フィリピンメディアが報じる米軍の姿は、もはや主権を踏みにじる勢力ではなく、命を救うプラスイメージとなっている。
インターネットにも『アメリカよ、ありがとう』という声があふれている」
と報じた。
南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐり、フィリピンと領土紛争を繰り広げる中国も遅ればせながら「救援外交」に参入した。
当初フィリピンに10万ドルを提供すると表明し、国際社会から批判された中国は、51人で構成する政府支援の救急医療チームと赤十字会の国際救助隊30人を派遣することを決めた。
赤十字会の救助隊第1陣は20日に出発した。
また、高い災害医療救援能力と機動性を備えた海軍所属の医療船「和平方舟」を21日にフィリピンの被災地に派遣した。
中国外務省の洪磊副報道局長は、中国の宋慶齢基金会がこのほど、フィリピンの被災地に320万元(約5300万円)相当の仮設住宅200棟を提供することを決めたと述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは
「戦略的要衝であるフィリピンに米国と日本の軍隊が続々入って活動する様子を見て、中国はかなりの圧力を感じたのではないか」
と指摘した。
各国が争うように被災国を支援する理由の一つは、対象国に対する影響力を高める上で最高の戦略となるからだ。
米国は2004年にインドネシアが津波で大きな被害を受けた際にも空母を派遣するなど積極的な支援を行った。
それにより、極度に悪化していた両国関係は劇的に改善した。
11年の東日本巨大地震で米軍は2万4000人を投入し、「トモダチ作戦」を50日間展開。
日本はその後、米軍基地の移転問題で前向きな立場に転じた。
日本は10年のハイチ大地震の際、2年間で自衛隊1900人を派遣したほか、ホンジュラス、トルコ、イラン、インドなどで災害救助を通じ、自衛隊の活動範囲を広げてきた。
』
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 11:49
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300751.html
かつての激戦地レイテ島で米日が合同救援活動
太平洋戦争のレイテ沖海戦と上陸作戦で9万人が戦死
台風による被災者への救援活動では連合作戦
22日朝、フィリピン・レイテ島の東側海域に日本の海上自衛隊護衛艦「いせ」、輸送艦「おおすみ」、補給艦「とわだ」が相次いで姿を現した。
これらはフィリピンの災害復旧を支援するため、広島の呉港を17日と18日に相次いで出港した艦艇だ。
11機のヘリコプターを搭載できる準航空母艦で大型護衛艦の「いせ」からは、この日もひっきりなしにヘリコプターが飛び立ち、また最先端の手術室などを備えた「おおすみ」の乗組員らは、現地で患者を治療するための準備に取り掛かった。
超大型の台風30号の直撃を受けたレイテ島周辺の海域には、復旧を支援するため数日前に到着していた空母「ジョージ・ワシントン」や補給艦など、米国の艦隊も停泊していた。
レイテ島で米国と日本の艦隊が出会うのはほぼ70年ぶり。
太平洋戦争の勝敗を分けたとされる「レイテ沖海戦」を戦った両国の艦隊が、今回は同じ場所で互いに協力して災害の復旧に当たっているのだ。
■米日による史上最大の激戦「レイテ沖海戦」
米国は1944年10月22日から27日にかけ、当時日本軍が占領していたフィリピンを奪還するため、レイテ湾とその沖合で日本の連合艦隊と激しい戦闘を繰り広げた。この「レイテ沖海戦」は両国から空母など100隻以上の艦艇や2000機に上る戦闘機が投入されるという、まさに史上最大規模の海戦となった。
日本はフィリピンを失えば石油を供給する南方の補給ラインを失うため、米軍の攻撃に必死で抵抗した。
日本軍が神風特攻隊による攻撃を本格的に始めたのもこの海戦からだったとされている。
結果は日本の壊滅的な惨敗だった。
日本は空母を含む20隻以上の艦艇が沈没あるいは大破し、1万人以上の戦死者を出した。
一方の米国も2000人以上の戦死者を出した。
海戦で勝利を収めた米軍はレイテ島への大規模上陸作戦を開始し、陸上の戦闘でも8万人以上の日本兵が戦死した。
レイテ沖海戦とそれに続く上陸作戦を指揮したのはマッカーサー司令官だった。
■米日両国が史上最大規模の復旧活動
それからおよそ70年。
今度は災害復旧のために両国が互いに協力して作戦に乗り出した。
米軍は現地に9000人以上の兵士を派遣し、日本も自衛隊から1180人を派遣したが、これは自衛隊の派遣人数としては過去最大規模だ。
1945年にマニラで敗退した日本が、今回は戦後初めてマニラに陸海空の自衛隊による「統合任務部隊」を設置。
フィリピン政府や米軍と緊密に協力しながら、効率的な復旧作業に乗り出すという大義名分を立てている。
自衛隊による今回の作戦名は「サンカイ」。
これはフィリピン現地の言葉で「トモダチ」を意味する言葉だ。
2011年の東日本巨大地震の際、米軍が災害救助・救援および復興支援のために展開した作戦名が「トモダチ作戦」だったため、「サンカイ」もこれを参考に名付けられた。
災害復旧に向けた米日両国の活動に対しては「事実上の合同軍事訓練」という声も出ている。
』
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「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年11月22日
http://japanese.china.org.cn/life/2013-11/22/content_30676369.htm
中央軍事委員会の許可を経て、医療船「和平の方舟」は11月21日午前11時、医療救援活動を行うため、浙江省舟山市の某軍港を出発しフィリピンの被災地に向かった。
』
●22日、韓国・朝鮮日報(中国語電子版)は、台風30号の被害を受けたフィリピンの被災地で「米中日3カ国、アジアの覇権争い」と題する記事を掲載した。写真は中国の病院船。
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79503&type=0
<台風30号被災地支援>米中日3カ国、アジアの覇権争い―韓国紙
2013年11月22日、韓国・朝鮮日報(中国語電子版)は、台風30号の被害を受けたフィリピンの被災地で「米中日3カ国、アジアの覇権争い」と題する記事を掲載した。
以下はその概要。
台風30号で甚大な被害を受けたフィリピンに対し、米国、中国、日本の3カ国が熾烈な支援合戦を展開している。
日本の自衛隊は第二次世界大戦中の旧日本軍以来、初めてフィリピンの土を踏んだ。
米国は空母を、中国は海軍医療部隊を被災地に派遣している。
特に注目を集めているのは日本の動向だろう。
自衛隊員は輸送機でさまざまな救援物資を被災地へ運び込み、住民が島を離れる手助けをしている。
被害の激しいレイテ島の沿岸部には医療テントが設置され、緊急医療チームは毎日150人以上の患者を手当てしている。
自衛隊による救援活動は、旧日本軍が残した悪夢を消すのに一定の効果を上げているようだ。
一方、米国は大規模かつ迅速な支援により、フィリピン市民の心をつかんでいる。
米国はアジア重視政策を打ち出しており、戦略的に今回の支援をフィリピンへの“再出陣”と位置付ける。
中国は当初支援額の少なさが内外から批判を受け、遅ればせながら「被災地支援外交」を展開。
米メディアは「米国と日本の支援が中国には相当なプレッシャーになったのだろう」と伝えた。
』
『
日本経済新聞 11月23日(土曜日) 2013/11/22 21:26
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2205C_S3A121C1CR8000/
海自艦がフィリピン到着、本格支援へ 死者5000人超える
犠牲者はレイテ島やサマール島など比中部に集中している。
行方不明者は1611人。
被災状況の確認や復旧作業が遅れているほか衛生状態が悪化しており、被害はさらに拡大する可能性がある。
被災地では、日米などの国際支援が本格化している。
22日には、海上自衛隊の護衛艦「いせ」など3隻がレイテ島近海に到着。
物資輸送などを近く始める。ほかに、航空自衛隊のC130輸送機が被災地にコメを輸送するなどの救援活動を展開。
自衛隊の海外派遣としては過去最大となる計約1180人による支援となる。
レイテ島とサマール島に在留届を出している日本人133人のうち、在比大使館は128人の無事を確認。
結婚などで現地に住む人が多いとみられる。
5人の行方が分かっていないが、在留届は申告ベースで、帰国するなどしても転出届を出さない例がある。
大使館は確認を進めている。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 12:08
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300785.html
フィリピン支援で米中日がパワーゲーム
猛烈な台風30号に襲われたフィリピンの災害復旧現場で、米中日が「支援競争」を展開している。
被災した住民を支援するという人道的な「名分」だけでなく、アジアの覇権競争の舞台であるフィリピンで市民の心をつかみ、影響力を拡大しようという各国の「実利」とも一致するからだ。
日本の自衛隊は第2次世界大戦の日本軍以来初めて、フィリピンの地を踏んだ。
米空母に続き、中国海軍の医療船も到着しつつある。
フィリピン政府の公式発表によると、台風30号による被害は21日現在で、死者4011人、行方不明者1602人で、物的被害額は2億3600万ドル(約239億円)に上った。
被害規模は拡大を続けている。
最も注目すべきことは日本の動きだ。
21日付ウォール・ストリート・ジャーナルによると、被害が最も大きいレイテ島のタクロバン空港には20日、日の丸が描かれた鉱区自衛隊のC130輸送機2機が到着した。
レイテ島沖では、第2次世界大戦で最大の海戦が行われ、1944年10月に米国、オーストラリアの連合軍と戦った日本軍は空母、戦艦、駆逐艦など20隻が沈没し、1万人が戦死した。
そんな歴史を持つレイテ島に日の丸を掲げた自衛隊が70年ぶりに登場したことになる。
自衛隊員は輸送機からさまざまな救援物資を下ろす一方、島から脱出するために長蛇の列をなす住民を乗せて飛んでいる。
レイテ島の海岸には日の丸がたなびく医療テントも設置された。
15日に先遣隊として派遣された緊急医療チームは毎日約150人の患者を治療している。
最近積極的に軍事力の増強に取り組んでいる日本は、今回の自衛隊による救援活動を通じ、「日本軍」に対する悪夢のような記憶を持つアジア各国の懸念を軽減しようとしており、既にかなりの効果を上げている。
タクロバンのある住民は「うちの地域に救援チームが来たのは自衛隊が最初だった」と話した。別の住民はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、「子どものころ、祖母が戦争中に日本人はとても怖かったと話していたが、今の日本の軍隊(自衛隊)による救援活動には否定的な感覚は特にない」と語った。
米国は中国をけん制するための「アジア重視戦略」の一環で、フィリピンに再び軍隊を駐留させようとしている。
米国は圧倒的な支援規模とスピードでフィリピン人の支持を得ている。
海兵隊兵力と民間の救援チームだけでなく、原子力空母まで動員し、救援物資を運び、負傷者の治療にも当たっている。
現在米国は救援活動に約9000人を投入している。
今月10日には沖縄に駐留している第2海兵遠征旅団の先発隊が真っ先に被災地に到着し、日に日に兵力と設備支援を増やしている。
乗組員約6000人、艦載機80機を擁する空母ジョージ・ワシントンを中心とする船団も派遣された。
米軍がフィリピンに展開するのは約20年ぶりだ。
米軍は植民地時代も含め、約100年にわたりフィリピンに駐留したが、米軍基地の汚染問題で反米感情が高まった1991年、フィリピンは米軍駐留延長法案を否決。
米軍はスービック海軍基地、クラーク空軍基地から撤退した。
米軍は現在、アジアでの覇権強化を目指し、循環配備方式でフィリピンに再び米軍を駐留させようとしているが、フィリピン世論の反対に直面している。
台風30号の被災地を支援する米軍の努力は、米軍に対するマイナスイメージを転換するきっかけとなっている。
米インターネットメディアのクリスチャン・サイエンス・モニターは
「フィリピンメディアが報じる米軍の姿は、もはや主権を踏みにじる勢力ではなく、命を救うプラスイメージとなっている。
インターネットにも『アメリカよ、ありがとう』という声があふれている」
と報じた。
南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐり、フィリピンと領土紛争を繰り広げる中国も遅ればせながら「救援外交」に参入した。
当初フィリピンに10万ドルを提供すると表明し、国際社会から批判された中国は、51人で構成する政府支援の救急医療チームと赤十字会の国際救助隊30人を派遣することを決めた。
赤十字会の救助隊第1陣は20日に出発した。
また、高い災害医療救援能力と機動性を備えた海軍所属の医療船「和平方舟」を21日にフィリピンの被災地に派遣した。
中国外務省の洪磊副報道局長は、中国の宋慶齢基金会がこのほど、フィリピンの被災地に320万元(約5300万円)相当の仮設住宅200棟を提供することを決めたと述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは
「戦略的要衝であるフィリピンに米国と日本の軍隊が続々入って活動する様子を見て、中国はかなりの圧力を感じたのではないか」
と指摘した。
各国が争うように被災国を支援する理由の一つは、対象国に対する影響力を高める上で最高の戦略となるからだ。
米国は2004年にインドネシアが津波で大きな被害を受けた際にも空母を派遣するなど積極的な支援を行った。
それにより、極度に悪化していた両国関係は劇的に改善した。
11年の東日本巨大地震で米軍は2万4000人を投入し、「トモダチ作戦」を50日間展開。
日本はその後、米軍基地の移転問題で前向きな立場に転じた。
日本は10年のハイチ大地震の際、2年間で自衛隊1900人を派遣したほか、ホンジュラス、トルコ、イラン、インドなどで災害救助を通じ、自衛隊の活動範囲を広げてきた。
』
『
朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 11:49
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300751.html
かつての激戦地レイテ島で米日が合同救援活動
太平洋戦争のレイテ沖海戦と上陸作戦で9万人が戦死
台風による被災者への救援活動では連合作戦
22日朝、フィリピン・レイテ島の東側海域に日本の海上自衛隊護衛艦「いせ」、輸送艦「おおすみ」、補給艦「とわだ」が相次いで姿を現した。
これらはフィリピンの災害復旧を支援するため、広島の呉港を17日と18日に相次いで出港した艦艇だ。
11機のヘリコプターを搭載できる準航空母艦で大型護衛艦の「いせ」からは、この日もひっきりなしにヘリコプターが飛び立ち、また最先端の手術室などを備えた「おおすみ」の乗組員らは、現地で患者を治療するための準備に取り掛かった。
超大型の台風30号の直撃を受けたレイテ島周辺の海域には、復旧を支援するため数日前に到着していた空母「ジョージ・ワシントン」や補給艦など、米国の艦隊も停泊していた。
レイテ島で米国と日本の艦隊が出会うのはほぼ70年ぶり。
太平洋戦争の勝敗を分けたとされる「レイテ沖海戦」を戦った両国の艦隊が、今回は同じ場所で互いに協力して災害の復旧に当たっているのだ。
■米日による史上最大の激戦「レイテ沖海戦」
米国は1944年10月22日から27日にかけ、当時日本軍が占領していたフィリピンを奪還するため、レイテ湾とその沖合で日本の連合艦隊と激しい戦闘を繰り広げた。この「レイテ沖海戦」は両国から空母など100隻以上の艦艇や2000機に上る戦闘機が投入されるという、まさに史上最大規模の海戦となった。
日本はフィリピンを失えば石油を供給する南方の補給ラインを失うため、米軍の攻撃に必死で抵抗した。
日本軍が神風特攻隊による攻撃を本格的に始めたのもこの海戦からだったとされている。
結果は日本の壊滅的な惨敗だった。
日本は空母を含む20隻以上の艦艇が沈没あるいは大破し、1万人以上の戦死者を出した。
一方の米国も2000人以上の戦死者を出した。
海戦で勝利を収めた米軍はレイテ島への大規模上陸作戦を開始し、陸上の戦闘でも8万人以上の日本兵が戦死した。
レイテ沖海戦とそれに続く上陸作戦を指揮したのはマッカーサー司令官だった。
■米日両国が史上最大規模の復旧活動
それからおよそ70年。
今度は災害復旧のために両国が互いに協力して作戦に乗り出した。
米軍は現地に9000人以上の兵士を派遣し、日本も自衛隊から1180人を派遣したが、これは自衛隊の派遣人数としては過去最大規模だ。
1945年にマニラで敗退した日本が、今回は戦後初めてマニラに陸海空の自衛隊による「統合任務部隊」を設置。
フィリピン政府や米軍と緊密に協力しながら、効率的な復旧作業に乗り出すという大義名分を立てている。
自衛隊による今回の作戦名は「サンカイ」。
これはフィリピン現地の言葉で「トモダチ」を意味する言葉だ。
2011年の東日本巨大地震の際、米軍が災害救助・救援および復興支援のために展開した作戦名が「トモダチ作戦」だったため、「サンカイ」もこれを参考に名付けられた。
災害復旧に向けた米日両国の活動に対しては「事実上の合同軍事訓練」という声も出ている。
』
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年11月22日
http://japanese.china.org.cn/life/2013-11/22/content_30676369.htm
中央軍事委員会の許可を経て、医療船「和平の方舟」は11月21日午前11時、医療救援活動を行うため、浙江省舟山市の某軍港を出発しフィリピンの被災地に向かった。
』
2013年11月22日金曜日
日本に翻弄される中国:領土問題対外広報サイト開設を表明
_
●22日、環球時報(電子版)は「日本の領土担当相、領土問題対外広報サイト開設を表明」と題する記事を掲載した。写真はソウルの独島体験館。
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月22日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/22/content_30675862.htm
中国に対抗 アジアのどの国も日本に同調しない
安倍首相は
「日本がアジア太平洋地域で安全保障分野におけるリーダーシップをとり、
アジアで中国と対抗する」
と述べた。
これについて、軍事科学院の馬軍研究員は中国中央テレビ(CCTV)のインタビューで、
「アジアのどの国も日本のこの言動に同調しない。
アジアのリーダーシップをとるという考えは現実離れした寝言」
と語った。
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、安倍首相は10月上旬に開かれた一連のアジア首脳会議で、日本がアジア太平洋地域で
「経済だけでなく、安全保障分野におけるリーダーシップも期待されているということを実感した」
と述べたと報じた。
また、安倍首相は世界に日本が「貢献」する重要な手段の1つはアジアで中国に対抗することだとし、
「中国が法の支配でなく、力による現状変更を試みようとしていることに懸念がある。
しかし中国はその道を取ることによって、平和的台頭の道をとることができなくなる」
と述べた。
同紙は、インタビューで述べた観点は安倍首相の長年にわたるナショナリズムの立場を反映していると指摘。
この立場に基づき、戦後、米国人が起草した平和憲法を改正し、日本に対する軍事的制約を打破すべきだと彼は主張している。
ただ彼のこうした考え方は経済衰退によって阻まれている。
わずか半月の間に安倍首相から
「中国脅威論」、
「積極的平和主義」、
「アジアで中国に対抗するリーダーシップをとる」
などの発言が飛び出し、それと同時に、自衛隊は西南諸島方面で大規模な陸海空統合の軍事演習を展開し、宮古島に対艦ミサイルを配置した。
また衆院でも、安倍首相の発言と調子を合わすように自衛隊法改正案が可決された。
これについて、馬氏は
「日本側のこうした発言は始まりでも、終わりでもない。安倍首相の『中国脅威論』の論調は他国に宣揚するというよりも、自分に言って聞かせるといったほうがよい」
とし、
「安倍首相はアジアで中国に対抗するリーダーシップをとると言っているが、それは現実離れした寝言で、アジアのどの国も彼に同調しないことは彼自身もわかっているはずだ」
と指摘する。
安倍首相はただ軍拡充のための口実を作っているに他ならない。
世論づくりのほかに具体的な行動で国会と国民の支持を得なければならない。
自衛隊の18日間にわたる大規模演習は、第一に自衛隊の陸海空統合の実践レベルを検証し、第二に自衛隊の問題を明らかにし、12月の防衛計画の大綱の見直しと中期防衛力整備計画の策定など一連の文書のための下地を作り、
日本の軍事力の発展及び戦略の方向性を探り、防衛予算の増額、自衛隊の軍備拡大に向け口実を作る狙いがある。
』
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月21日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/21/content_30663625.htm
日本がASEANと安保協力強化 目的は中国けん制
日本は地域安全の維持を理由に、来月下旬に東京で開かれる「日・ASEAN首脳会議」で、東南アジア諸国との海洋安全保障協力関係を拡大する意向を示す。
情報によると、この声明の起草は日本中心で進められている。
同声明は日本と東南アジア諸国の海洋防衛における協力を促すものであるため、一部からはその動機について、中国に対するさらに踏み込んだけん制と指摘されている。
11月21日付シンガポール華字紙『聯合早報』が伝えた。
日本が中心となり起草する宣言は、「友好の展望」を主題としており、多くの内容がすでに決められている。
日本は安保問題を重視しており、海洋問題でASEANと「一体化」する方針を固めようとしている。
これは東南アジアの一部の国も、中国との間に海洋を巡る係争を抱えているためだ。
日本はこのような海洋防衛の協力を通じ、中国に対する防御を実施する。
安倍晋三首相は就任後、ASEAN重視の外交政策を即座に打ち出した。
安倍首相は1年未満の期間に、すでにASEAN10カ国の歴訪を終えた。
安倍首相は11月17日にラオスを訪問した際に、「ASEAN諸国と新たな協力を展開したい」と述べた。
安倍首相の目的は、ASEANで日本のかつての影響力を取り戻すことだ。
日本は来月の日・ASEAN首脳会議で、日本が東南アジアとの提携を強化するのは平和のためであり、
「地域・世界の平和と安定のために、(日本は)より積極的な役割を演じる」
という内容を声明に盛り込むことになる。
同宣言の草案には、
「東南アジア諸国の生活改善の協力」、
「ASEANとの心の通った発展」
などの内容が含まれる。
海洋防衛の課題の他に、日本はASEAN諸国とサイバー攻撃に対応する枠組みの構築を検討しており、また自衛隊の「平和維持貢献」もその内容に盛り込まれる見通しだ。
日本経済新聞は、
「日本の経済的地位が中国を下回るため、東南アジア諸国は日本のために中国の不興を買おうとしない可能性がある。
日本政府に対して、安保ばかりでなく、例えば東南アジアの貧富の格差の解消を支援するなど、東南アジア諸国で経済効果を発揮できる立脚点を模索するよう促すべきだ」
と指摘した。
』
ASEANとの中国包囲を狙う日本 結果は徒労に
■内政・外交で窮地に陥る日本、海外拡張を急ぐ
日本は現在、低出生率と高齢化の問題に直面している。
安倍首相は日本企業の対カンボジア投資を拡大し、ラオスの国際空港の拡張工事に資金を提供し、日本と両国の間の直通便を早期開通させようとしている。
また医療事業の海外拡張も、安倍政権の経済発展戦略の中心的な内容の一つだ。
一部メディアは、
安倍首相は対中関係を改善したいが、首相再任から間もなく中国と正面衝突した。
■海上安全を誇張
前回同様、安倍首相の今回の訪問先はASEAN諸国であったが、これは日本の海洋安全面の主張がASEAN諸国の「支持」を獲得したことを中国に見せつけ、「理解」させる狙いがある。
安倍首相は、
「両国は政治安全・民主法治・経済協力・文化交流・地域安全などの提携関係を強化する決意を固めた」
一連の外遊を経て、安倍首相のASEAN外交の方針が十分に定められている。
つまり経済を足がかりとし、海上安全などの話題を誇張し、ASEANと中国の仲違いを促し、同時に文化交流などの手段を用い、ASEAN抱き込みによる中国対抗の目的を実現することだ。
(筆者:柳凡 中国元外交官)
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79512&type=0
日本の領土担当相、領土問題対外広報サイト開設を表明=中韓が抗議へ―中国紙
2013年11月22日、環球時報(電子版)は「日本の領土担当相、領土問題対外広報サイト開設を表明」と題する記事を掲載した。
以下はその概要。
日 本メディアによると、日本の山本一太領土問題担当相は22日の記者会見で、尖閣諸島(中国名・釣魚島)や竹島(韓国名・独島)についての日本の主張を対外発信するため、年内にも広報ウェブサイトを開設すると発表した。
山本氏は
「中国と韓国が積極的に情報を対外発信しているため、日本も国際社会へのアピールを強化しなければならない」
と述べた。
尖閣諸島や竹島問題をめぐっては、日本の外務省がこれまでに広報動画を発表し、中韓両国が強く反発している。
今回のサイト開設により、再び中韓が抗議する可能性が高まっている。
山本氏によると、サイトは内閣官房の「領土・主権対策企画調整室」が開設。英語版も制作するという。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月26日 20時3分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79642&type=0
領土問題の対外宣伝、
日本政府の「世論攻め」は侮れない、中国はもっと積極的に―日本華字紙
●25日、日本華字紙・日本新華僑報は、尖閣諸島の対外宣伝において日本の世論に訴える動きを軽視するべきではないと指摘した。写真は尖閣諸島が中国の領土だと主張する車のステッカー。
2013年11月25日、日本華字紙・日本新華僑報は、尖閣諸島の対外宣伝において日本の世論に訴える動きを軽視するべきではないと指摘した。
中国新聞網が伝えた。
報道によると、日本政府は領土問題の対外宣伝を強化するべきだと考えており、今年年末までに動画や情報を発信するサイトを新設し、尖閣諸島や竹島といった領土問題に関して主張する。
さらに、日本政府はブータンやスーダンを含む5カ国に大使館を新設し、対外宣伝を強化するという。
一方中国の対外宣伝について、
「尖閣諸島に関して態度を表明することは重要だが、中国は国際社会に対するアピールが不足しており、より積極的に宣伝活動を行う必要がある」
と報じている。
』
●22日、環球時報(電子版)は「日本の領土担当相、領土問題対外広報サイト開設を表明」と題する記事を掲載した。写真はソウルの独島体験館。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月22日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/22/content_30675862.htm
中国に対抗 アジアのどの国も日本に同調しない
安倍首相は
「日本がアジア太平洋地域で安全保障分野におけるリーダーシップをとり、
アジアで中国と対抗する」
と述べた。
これについて、軍事科学院の馬軍研究員は中国中央テレビ(CCTV)のインタビューで、
「アジアのどの国も日本のこの言動に同調しない。
アジアのリーダーシップをとるという考えは現実離れした寝言」
と語った。
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、安倍首相は10月上旬に開かれた一連のアジア首脳会議で、日本がアジア太平洋地域で
「経済だけでなく、安全保障分野におけるリーダーシップも期待されているということを実感した」
と述べたと報じた。
また、安倍首相は世界に日本が「貢献」する重要な手段の1つはアジアで中国に対抗することだとし、
「中国が法の支配でなく、力による現状変更を試みようとしていることに懸念がある。
しかし中国はその道を取ることによって、平和的台頭の道をとることができなくなる」
と述べた。
同紙は、インタビューで述べた観点は安倍首相の長年にわたるナショナリズムの立場を反映していると指摘。
この立場に基づき、戦後、米国人が起草した平和憲法を改正し、日本に対する軍事的制約を打破すべきだと彼は主張している。
ただ彼のこうした考え方は経済衰退によって阻まれている。
わずか半月の間に安倍首相から
「中国脅威論」、
「積極的平和主義」、
「アジアで中国に対抗するリーダーシップをとる」
などの発言が飛び出し、それと同時に、自衛隊は西南諸島方面で大規模な陸海空統合の軍事演習を展開し、宮古島に対艦ミサイルを配置した。
また衆院でも、安倍首相の発言と調子を合わすように自衛隊法改正案が可決された。
これについて、馬氏は
「日本側のこうした発言は始まりでも、終わりでもない。安倍首相の『中国脅威論』の論調は他国に宣揚するというよりも、自分に言って聞かせるといったほうがよい」
とし、
「安倍首相はアジアで中国に対抗するリーダーシップをとると言っているが、それは現実離れした寝言で、アジアのどの国も彼に同調しないことは彼自身もわかっているはずだ」
と指摘する。
安倍首相はただ軍拡充のための口実を作っているに他ならない。
世論づくりのほかに具体的な行動で国会と国民の支持を得なければならない。
自衛隊の18日間にわたる大規模演習は、第一に自衛隊の陸海空統合の実践レベルを検証し、第二に自衛隊の問題を明らかにし、12月の防衛計画の大綱の見直しと中期防衛力整備計画の策定など一連の文書のための下地を作り、
日本の軍事力の発展及び戦略の方向性を探り、防衛予算の増額、自衛隊の軍備拡大に向け口実を作る狙いがある。
』
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月21日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/21/content_30663625.htm
日本がASEANと安保協力強化 目的は中国けん制
日本は地域安全の維持を理由に、来月下旬に東京で開かれる「日・ASEAN首脳会議」で、東南アジア諸国との海洋安全保障協力関係を拡大する意向を示す。
情報によると、この声明の起草は日本中心で進められている。
同声明は日本と東南アジア諸国の海洋防衛における協力を促すものであるため、一部からはその動機について、中国に対するさらに踏み込んだけん制と指摘されている。
11月21日付シンガポール華字紙『聯合早報』が伝えた。
日本が中心となり起草する宣言は、「友好の展望」を主題としており、多くの内容がすでに決められている。
日本は安保問題を重視しており、海洋問題でASEANと「一体化」する方針を固めようとしている。
これは東南アジアの一部の国も、中国との間に海洋を巡る係争を抱えているためだ。
日本はこのような海洋防衛の協力を通じ、中国に対する防御を実施する。
安倍晋三首相は就任後、ASEAN重視の外交政策を即座に打ち出した。
安倍首相は1年未満の期間に、すでにASEAN10カ国の歴訪を終えた。
安倍首相は11月17日にラオスを訪問した際に、「ASEAN諸国と新たな協力を展開したい」と述べた。
安倍首相の目的は、ASEANで日本のかつての影響力を取り戻すことだ。
日本は来月の日・ASEAN首脳会議で、日本が東南アジアとの提携を強化するのは平和のためであり、
「地域・世界の平和と安定のために、(日本は)より積極的な役割を演じる」
という内容を声明に盛り込むことになる。
同宣言の草案には、
「東南アジア諸国の生活改善の協力」、
「ASEANとの心の通った発展」
などの内容が含まれる。
海洋防衛の課題の他に、日本はASEAN諸国とサイバー攻撃に対応する枠組みの構築を検討しており、また自衛隊の「平和維持貢献」もその内容に盛り込まれる見通しだ。
日本経済新聞は、
「日本の経済的地位が中国を下回るため、東南アジア諸国は日本のために中国の不興を買おうとしない可能性がある。
日本政府に対して、安保ばかりでなく、例えば東南アジアの貧富の格差の解消を支援するなど、東南アジア諸国で経済効果を発揮できる立脚点を模索するよう促すべきだ」
と指摘した。
』
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 発信時間: 2013-11-20 16:13:48
ASEANとの中国包囲を狙う日本 結果は徒労に
■内政・外交で窮地に陥る日本、海外拡張を急ぐ
日本は現在、低出生率と高齢化の問題に直面している。
国内の労働力が不足しており、消費も振るわず、海外市場を開拓する必要が生じている。
東南アジアは日本から近く、日本企業は早くから東南アジアに進出しており、一定の基盤を有する。
安倍首相がASEANを重視するのは、東南アジア市場を開拓し、日本経済の成長をけん引するためだ。
香港紙・大公報が伝えた。
安倍首相は日本企業の対カンボジア投資を拡大し、ラオスの国際空港の拡張工事に資金を提供し、日本と両国の間の直通便を早期開通させようとしている。
日本の民間企業の対ラオス投資を促進するため、日本貿易振興機構(ジェトロ)はラオスに事務所を設立した。
また医療事業の海外拡張も、安倍政権の経済発展戦略の中心的な内容の一つだ。
安倍首相はラオスを訪問した際に、日本の医療・ヘルス事業をPRした。
日本は医療・ヘルス技術、医療保険制度、医療人事育成プロジェクトの、東南アジアへのパッケージ型輸出を目指している。
一部メディアは、
「カンボジアとラオスは大メコン川流域経済協力計画の重要な国であり、その経済発展が近年注目を集めている。
日本の両国に対する投資が不足する中、安倍首相は今回の訪問により両国のインフラ面の提携を強化し、日本経済を振興し、中国と競争しようとしている」
日本の両国に対する投資が不足する中、安倍首相は今回の訪問により両国のインフラ面の提携を強化し、日本経済を振興し、中国と競争しようとしている」
と分析した。
安倍首相は対中関係を改善したいが、首相再任から間もなく中国と正面衝突した。
緊張が高まる中日関係に直面した安倍首相は迂回外交を展開し、ASEANを抱き込み中国を抑制しようとしている。
■海上安全を誇張
前回同様、安倍首相の今回の訪問先はASEAN諸国であったが、これは日本の海洋安全面の主張がASEAN諸国の「支持」を獲得したことを中国に見せつけ、「理解」させる狙いがある。
安倍首相との首脳会談後に開かれた記者会見において、カンボジアのフン・セン首相は
「カンボジアは日本企業による投資を奨励する。日本と共に二国間交流を促進していきたい」
と表明した。
安倍首相は、
「両国は政治安全・民主法治・経済協力・文化交流・地域安全などの提携関係を強化する決意を固めた」
と強調した。
両者の発言内容を分析すると、その強調する重点が大きく異なっていることが分かる。
しかし日本メディアの報道は、「両国の首脳会談は、海洋安全の協力強化で合意した」など、日本の「得点」を示す話題に集中し、安倍首相の「積極的な平和主義」の構想が、カンボジアの「力強い支持」を受けたと宣伝した。
しかし安倍首相は、これが「勝手な言い分」であることをよく知っているはずだ。
ASEAN抱き込みによる中国包囲は、一方的な願いに過ぎない。
一連の外遊を経て、安倍首相のASEAN外交の方針が十分に定められている。
つまり経済を足がかりとし、海上安全などの話題を誇張し、ASEANと中国の仲違いを促し、同時に文化交流などの手段を用い、ASEAN抱き込みによる中国対抗の目的を実現することだ。
しかしASEANの力を借り中国を「孤立」させ、「包囲」しようとする日本の愚かな構想が、徒労に終わることは間違いない。
(筆者:柳凡 中国元外交官)
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79512&type=0
日本の領土担当相、領土問題対外広報サイト開設を表明=中韓が抗議へ―中国紙
2013年11月22日、環球時報(電子版)は「日本の領土担当相、領土問題対外広報サイト開設を表明」と題する記事を掲載した。
以下はその概要。
日 本メディアによると、日本の山本一太領土問題担当相は22日の記者会見で、尖閣諸島(中国名・釣魚島)や竹島(韓国名・独島)についての日本の主張を対外発信するため、年内にも広報ウェブサイトを開設すると発表した。
山本氏は
「中国と韓国が積極的に情報を対外発信しているため、日本も国際社会へのアピールを強化しなければならない」
と述べた。
尖閣諸島や竹島問題をめぐっては、日本の外務省がこれまでに広報動画を発表し、中韓両国が強く反発している。
今回のサイト開設により、再び中韓が抗議する可能性が高まっている。
山本氏によると、サイトは内閣官房の「領土・主権対策企画調整室」が開設。英語版も制作するという。
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月26日 20時3分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79642&type=0
領土問題の対外宣伝、
日本政府の「世論攻め」は侮れない、中国はもっと積極的に―日本華字紙
●25日、日本華字紙・日本新華僑報は、尖閣諸島の対外宣伝において日本の世論に訴える動きを軽視するべきではないと指摘した。写真は尖閣諸島が中国の領土だと主張する車のステッカー。
2013年11月25日、日本華字紙・日本新華僑報は、尖閣諸島の対外宣伝において日本の世論に訴える動きを軽視するべきではないと指摘した。
中国新聞網が伝えた。
報道によると、日本政府は領土問題の対外宣伝を強化するべきだと考えており、今年年末までに動画や情報を発信するサイトを新設し、尖閣諸島や竹島といった領土問題に関して主張する。
さらに、日本政府はブータンやスーダンを含む5カ国に大使館を新設し、対外宣伝を強化するという。
一方中国の対外宣伝について、
「尖閣諸島に関して態度を表明することは重要だが、中国は国際社会に対するアピールが不足しており、より積極的に宣伝活動を行う必要がある」
と報じている。
』
_
中国の海外不動産投資:日本の前轍を踏むなかれ、20年前に日本企業が遭った惨状
_
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年11月22日 8時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79454&type=0
海外不動産投資、日本の前轍を踏むなかれ―中国メディア
●21日、現在海外では中国企業による大規模な不動産購入が行われている。人民財経の概算統計では2012年以降、中国企業による海外不動産市場への累計投資額は100億ドル(約1兆円)を超える。これには統計が困難で数量の多い個人投資家は含まれていない。
2013年11月21日、現在海外では中国企業による大規模な不動産購入が行われている。
人民財経の概算統計では2012年以降、中国企業による海外不動産市場への累計投資額は100億ドル(約1兆円)を超える。
これには統計が困難で数量の多い個人投資家は含まれていない。
中投、万科、緑地、復星、SOHO、茅台に代表される中国企業による海外不動産投資の勢いは、かつての日本企業による米国買いを彷彿とさせる。
どの企業でも大規模な海外不動産投資は慎重な決定と十分なリスク評価の結果であるはずだ。
だが、われわれはその発生のロジックおよび今後考えられる変化についても整理する必要がある。
「米国の不動産市場と米国経済を救ったのは中国の投資家だ」。
ある米国メディアは中国の投資家が米国の不動産購入に殺到した結果をこう表現した。
米国の住宅バブル崩壊に端を発した2009年の世界金融危機は世界経済に大きな痛手を負わせ、中国も一人無傷とはいかなかった。
だが危機の収束を待たずして、米国の不動産市場は奇跡的な回復を見せた。
巨大な中国の購買力の功績を無視できないのは確かだ。
これは米国経済の回復と資本市場の記録更新にも直接的につながり、中国A株市場の投資家にとって羨望の的となった。
1970年代末から90年代初めに米国を買い占めんばかりだった、
誰はばかることのない日本の姿を想起せずにはいられない。
1980年代末から90年代初めにかけて、高度成長を続ける日本経済は世界で一人勝ちの状況にあったと言える。
日本は「世界の工場」となり、日本製の工業製品は世界各地で売れ、向かうところ敵なしだった。
1985年、日米英独仏の「プラザ合意」によってドルが下落し始めた。
円の上昇に伴い、日本の輸出は確かに深刻な影響を受けたが、日本人が空前の富を得る結果にもなった。
彼らは手中の円で、もっと多くのドルを得られるようになった。
不動産を含め、以前はとても手の届かなかった米国の物が、たやすく手に入るようになった。
1989年6月、ソニーは米国文化の象徴の1つであるコロンビア映画を34億ドルで買収したことを発表した。
ロックフェラー・センターも三菱が14億ドルで買収した。
ロサンゼルスでは繁華街の不動産のほぼ半分を日本人が購入した。
ハワイでは外国からの投資の96%が日本で、しかもホテルや高級住宅など不動産に集中していた。
80年代末までに、日本人は米国の不動産の10%を購入した。
日本人による大量の資産購入は、米国社会に極めて大きな反響を呼んだ。
米国メディアは、かつて真珠湾を奇襲した日本が、現在では経済で米国全土に侵入していると驚きの声を上げさえした。
米国人は、このまま行けば、日本人に自由の女神を買い取られる日がくるとも予測した。
当時の日本国内に目を向けると、メディアを含め、多くの日本人は自らの世界規模の購入に狂喜していた。
だが、短い喜びの後で、悪夢が始まった。
三菱はロックフェラー・センター購入後間もなく、経営不振で、巨額の赤字に耐えられなくなり、購入時の半額で再び米側に売却せざるを得なかった。
90年代以降、日本は米国の資産を大量に買収する勢いを次第に失った。
かつて買収した少なからぬ資産が経済的負担に変り、収入をもたらさないばかりか、処分する方法を考えなければならなかった。
ITなど新技術の急速な発展によって、日本の買収した従来型産業の収益力はさらに下がった。
最終的に人々は、当時近視眼的だと思われた、不動産、企業など米国資産の売却側が実は正しかったことを認めざるを得なくなった。
彼らは資産売却時、その後可能性のあった利益を全て前倒しで得たうえ、大量の資金を入手したことで米国は新技術革命の基礎を固められたのだ。
常に経済指標のみを考える米国のビジネスマンは経済的利益を得たのみならず、再び将来の発展の機先も制したのだ。
「前車の覆るは後車の戒め」。
これは警戒に値する。
このところ米国メディアは、中国からの巨額の投資がニューヨークなどの不動産市場に流入していることを多く報道しているうえ、これを80年代の日本による米国買いと同列に論じている。
専門家は、経済回復が緩慢ななか、米国は中国資本を歓迎し、警戒してもいると指摘する。
当時日本が対米投資で遭った目を思えば、中国は米国が取り得る各種手段に対して警戒すべきだ。
米国はプラグマティズム至上の国だ。
今日、中国企業が米国に進出して直面している状況は、20年前に日本企業が遭った目と驚くほど似ている。
対米投資における現在の中国叩きは、当時の日本よりもずっとひどくさえある。
中国からの投資を米国のために用いると同時に、米国の脅威にならないようにするのが米国の方針であることは間違いない。
この点から見て、日本と中国の投資に対する米国の姿勢に違いはない。
重要なのは、イデオロギーが異なるために、米国は中国からの投資の政治的意図に対して、より強く警戒しているということだ。
ビルを1棟買うのは簡単だ。
米国のコア・コンピタンスは莫大な規模の不動産にあるのではなく、驚異的な創造力とハイテクにある。
中国企業はこうしたイノベーション能力をいかに獲得するかをもっと考えるべきだ。
あまり目先の成功を急がず、経済法則に従って事を行い、かつての日本企業の前轍を踏まないよう努力することを、現在海外で大規模な不動産購入を行っている中国企業への警告とすべきだ。
(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)
』
『
レコードチャイナ 配信日時:2014年1月10日 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81461&type=0
かつての日本人より合理的、中国人が米不動産市場第2の海外オーナーに―中国メディア
●6日、2013年下半期、中国の個人資本が海外メディアの注目を集めた。大規模な海外投資を行ったためで、投資のスタイルはさまざまだ。
2014年1月6日、2013年下半期、中国の個人資本が海外メディアの注目を集めた。
大規模な海外投資を行ったためで、投資のスタイルはさまざまだ。
株式、債権、投資信託など金融資産への投資もあれば、各種の実物資産への投資、知的財産権や技術特許などの無形資産への投資もあり、企業の買収、合併、資本参入、増資による株出資比率の上昇といった投資活動も含まれる。
新華網が伝えた。
全米不動産仲介業者協会がまとめた最新の報告書によると、2012年3月から13年3月までの1年間に、
中国人が米国で購入した不動産は総額123億ドル(約1兆3000億円)に上り、同年の外国人による米不動産購入額全体の18%を占め、米国不動産市場で中国はカナダに次ぐ2番目の海外オーナーとなった。
11年3月-12年3月の購入額は74億ドル(約7700億円)だった。
ある米国メディアによると、富裕な海外バイヤーというのはどこの市場でも「賢くはないが金はある」存在とみなされやすいが、中国人投資家の行為には緻密な計算がうかがえる。
中国人投資家は13年、世界で最も重要とされる都市で不動産を次々に購入した。
こうした動きについて、グローバルビジネス・経済情勢の分析を手がけるロジウムグループの研究員ティロ・ヘインマン氏は次のように指摘する。
市場と政策による支援を受けて、中国人投資家の目が一部の海外市場の不動産に向かうようになり、規模が大きく安定している市場、たとえばニューヨークやその他の大都市が注目されるようになった。
米国商業不動産市場の潜在的なリターン率は世界の他の地域よりも高い。
オフィスビルの空室率は低下し、賃料は落ち着いてきており、こうしたところから米国の経済環境の改善がうかがえる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがまとめた統計によると、04年以降、中国の民間企業と非国有上場企業の海外での合併買収(M&A)の件数が緩やかに増加している。
13年までに行われた取引は238件で、金額は243億ドル(約2兆5000億円)に上る。
自国で巨万の富を築いた中国人は、投資のターゲットを海外市場に求め、より安全で確実にリターンが得られる資産を探している。
富豪たちは高騰する中国不動産市場から撤退しつつあり、また進行する人民元高によって富豪たちはニューヨークやサンフランシスコの物件の価格をそれほど高いとは感じなくなっている。
英誌エコノミストは中国人の海外不動産市場への投資と日本の1980年代の米国不動産市場への投資とを比較し、中国の個人資本による海外不動産投資の方が日本のかつての投資より合理的であるとの見方を示した。
1989年、日本の三菱グループが14億ドル(約1500億円)で米国のロックフェラー・センターを購入したことは、米国の衰退および日本の勃興の象徴とみなされた。
だがその後の円高や不動産バブル崩壊で、日本経済は低迷し、米国側は折をみて14億ドル以下の価格で同センターを買い戻した。
結果的に三菱グループは10億ドルを上回る損失を出すことになった。
同誌の指摘によると、中国人投資家は三菱の二の舞にならないよう、細心に慎重に投資先を選択し、取引では公平さを維持するよう努力し、「涙とともに取引が終わるような事態を避けている」という。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)
』
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レコードチャイナ 配信日時:2013年11月22日 8時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79454&type=0
海外不動産投資、日本の前轍を踏むなかれ―中国メディア
●21日、現在海外では中国企業による大規模な不動産購入が行われている。人民財経の概算統計では2012年以降、中国企業による海外不動産市場への累計投資額は100億ドル(約1兆円)を超える。これには統計が困難で数量の多い個人投資家は含まれていない。
2013年11月21日、現在海外では中国企業による大規模な不動産購入が行われている。
人民財経の概算統計では2012年以降、中国企業による海外不動産市場への累計投資額は100億ドル(約1兆円)を超える。
これには統計が困難で数量の多い個人投資家は含まれていない。
中投、万科、緑地、復星、SOHO、茅台に代表される中国企業による海外不動産投資の勢いは、かつての日本企業による米国買いを彷彿とさせる。
どの企業でも大規模な海外不動産投資は慎重な決定と十分なリスク評価の結果であるはずだ。
だが、われわれはその発生のロジックおよび今後考えられる変化についても整理する必要がある。
「米国の不動産市場と米国経済を救ったのは中国の投資家だ」。
ある米国メディアは中国の投資家が米国の不動産購入に殺到した結果をこう表現した。
米国の住宅バブル崩壊に端を発した2009年の世界金融危機は世界経済に大きな痛手を負わせ、中国も一人無傷とはいかなかった。
だが危機の収束を待たずして、米国の不動産市場は奇跡的な回復を見せた。
巨大な中国の購買力の功績を無視できないのは確かだ。
これは米国経済の回復と資本市場の記録更新にも直接的につながり、中国A株市場の投資家にとって羨望の的となった。
1970年代末から90年代初めに米国を買い占めんばかりだった、
誰はばかることのない日本の姿を想起せずにはいられない。
1980年代末から90年代初めにかけて、高度成長を続ける日本経済は世界で一人勝ちの状況にあったと言える。
日本は「世界の工場」となり、日本製の工業製品は世界各地で売れ、向かうところ敵なしだった。
1985年、日米英独仏の「プラザ合意」によってドルが下落し始めた。
円の上昇に伴い、日本の輸出は確かに深刻な影響を受けたが、日本人が空前の富を得る結果にもなった。
彼らは手中の円で、もっと多くのドルを得られるようになった。
不動産を含め、以前はとても手の届かなかった米国の物が、たやすく手に入るようになった。
1989年6月、ソニーは米国文化の象徴の1つであるコロンビア映画を34億ドルで買収したことを発表した。
ロックフェラー・センターも三菱が14億ドルで買収した。
ロサンゼルスでは繁華街の不動産のほぼ半分を日本人が購入した。
ハワイでは外国からの投資の96%が日本で、しかもホテルや高級住宅など不動産に集中していた。
80年代末までに、日本人は米国の不動産の10%を購入した。
日本人による大量の資産購入は、米国社会に極めて大きな反響を呼んだ。
米国メディアは、かつて真珠湾を奇襲した日本が、現在では経済で米国全土に侵入していると驚きの声を上げさえした。
米国人は、このまま行けば、日本人に自由の女神を買い取られる日がくるとも予測した。
当時の日本国内に目を向けると、メディアを含め、多くの日本人は自らの世界規模の購入に狂喜していた。
だが、短い喜びの後で、悪夢が始まった。
三菱はロックフェラー・センター購入後間もなく、経営不振で、巨額の赤字に耐えられなくなり、購入時の半額で再び米側に売却せざるを得なかった。
90年代以降、日本は米国の資産を大量に買収する勢いを次第に失った。
かつて買収した少なからぬ資産が経済的負担に変り、収入をもたらさないばかりか、処分する方法を考えなければならなかった。
ITなど新技術の急速な発展によって、日本の買収した従来型産業の収益力はさらに下がった。
最終的に人々は、当時近視眼的だと思われた、不動産、企業など米国資産の売却側が実は正しかったことを認めざるを得なくなった。
彼らは資産売却時、その後可能性のあった利益を全て前倒しで得たうえ、大量の資金を入手したことで米国は新技術革命の基礎を固められたのだ。
常に経済指標のみを考える米国のビジネスマンは経済的利益を得たのみならず、再び将来の発展の機先も制したのだ。
「前車の覆るは後車の戒め」。
これは警戒に値する。
このところ米国メディアは、中国からの巨額の投資がニューヨークなどの不動産市場に流入していることを多く報道しているうえ、これを80年代の日本による米国買いと同列に論じている。
専門家は、経済回復が緩慢ななか、米国は中国資本を歓迎し、警戒してもいると指摘する。
当時日本が対米投資で遭った目を思えば、中国は米国が取り得る各種手段に対して警戒すべきだ。
米国はプラグマティズム至上の国だ。
今日、中国企業が米国に進出して直面している状況は、20年前に日本企業が遭った目と驚くほど似ている。
対米投資における現在の中国叩きは、当時の日本よりもずっとひどくさえある。
中国からの投資を米国のために用いると同時に、米国の脅威にならないようにするのが米国の方針であることは間違いない。
この点から見て、日本と中国の投資に対する米国の姿勢に違いはない。
重要なのは、イデオロギーが異なるために、米国は中国からの投資の政治的意図に対して、より強く警戒しているということだ。
ビルを1棟買うのは簡単だ。
米国のコア・コンピタンスは莫大な規模の不動産にあるのではなく、驚異的な創造力とハイテクにある。
中国企業はこうしたイノベーション能力をいかに獲得するかをもっと考えるべきだ。
あまり目先の成功を急がず、経済法則に従って事を行い、かつての日本企業の前轍を踏まないよう努力することを、現在海外で大規模な不動産購入を行っている中国企業への警告とすべきだ。
(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)
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『
レコードチャイナ 配信日時:2014年1月10日 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81461&type=0
かつての日本人より合理的、中国人が米不動産市場第2の海外オーナーに―中国メディア
●6日、2013年下半期、中国の個人資本が海外メディアの注目を集めた。大規模な海外投資を行ったためで、投資のスタイルはさまざまだ。
2014年1月6日、2013年下半期、中国の個人資本が海外メディアの注目を集めた。
大規模な海外投資を行ったためで、投資のスタイルはさまざまだ。
株式、債権、投資信託など金融資産への投資もあれば、各種の実物資産への投資、知的財産権や技術特許などの無形資産への投資もあり、企業の買収、合併、資本参入、増資による株出資比率の上昇といった投資活動も含まれる。
新華網が伝えた。
全米不動産仲介業者協会がまとめた最新の報告書によると、2012年3月から13年3月までの1年間に、
中国人が米国で購入した不動産は総額123億ドル(約1兆3000億円)に上り、同年の外国人による米不動産購入額全体の18%を占め、米国不動産市場で中国はカナダに次ぐ2番目の海外オーナーとなった。
11年3月-12年3月の購入額は74億ドル(約7700億円)だった。
ある米国メディアによると、富裕な海外バイヤーというのはどこの市場でも「賢くはないが金はある」存在とみなされやすいが、中国人投資家の行為には緻密な計算がうかがえる。
中国人投資家は13年、世界で最も重要とされる都市で不動産を次々に購入した。
こうした動きについて、グローバルビジネス・経済情勢の分析を手がけるロジウムグループの研究員ティロ・ヘインマン氏は次のように指摘する。
市場と政策による支援を受けて、中国人投資家の目が一部の海外市場の不動産に向かうようになり、規模が大きく安定している市場、たとえばニューヨークやその他の大都市が注目されるようになった。
米国商業不動産市場の潜在的なリターン率は世界の他の地域よりも高い。
オフィスビルの空室率は低下し、賃料は落ち着いてきており、こうしたところから米国の経済環境の改善がうかがえる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがまとめた統計によると、04年以降、中国の民間企業と非国有上場企業の海外での合併買収(M&A)の件数が緩やかに増加している。
13年までに行われた取引は238件で、金額は243億ドル(約2兆5000億円)に上る。
自国で巨万の富を築いた中国人は、投資のターゲットを海外市場に求め、より安全で確実にリターンが得られる資産を探している。
富豪たちは高騰する中国不動産市場から撤退しつつあり、また進行する人民元高によって富豪たちはニューヨークやサンフランシスコの物件の価格をそれほど高いとは感じなくなっている。
英誌エコノミストは中国人の海外不動産市場への投資と日本の1980年代の米国不動産市場への投資とを比較し、中国の個人資本による海外不動産投資の方が日本のかつての投資より合理的であるとの見方を示した。
1989年、日本の三菱グループが14億ドル(約1500億円)で米国のロックフェラー・センターを購入したことは、米国の衰退および日本の勃興の象徴とみなされた。
だがその後の円高や不動産バブル崩壊で、日本経済は低迷し、米国側は折をみて14億ドル以下の価格で同センターを買い戻した。
結果的に三菱グループは10億ドルを上回る損失を出すことになった。
同誌の指摘によると、中国人投資家は三菱の二の舞にならないよう、細心に慎重に投資先を選択し、取引では公平さを維持するよう努力し、「涙とともに取引が終わるような事態を避けている」という。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)
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極東アジア有事を引起こす中国の海洋進出:日本有事と極東有事は同時に起こる
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『
JB Press 2013.11.22(金)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39185
極東アジアの有事を引き起こす中国の海洋進出
日本は米国の軍事力低下を補わなければならない
中国が海洋進出に当って、主敵と考えるのは米国である。
それは、本年6月に訪米した習近平国家主席が、米中首脳会談で表明した「新しい大国関係」、すなわち2大大国(G2)論や「太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」との発言、そして中国がかつて太平洋を米国と共同で管理しようと提案したことなどに端的に表れている。
■中国の主敵は米国、そして日米同盟
他方、米国は、中国の海洋進出を抑止すべく、ピボット(pivot)あるいはリバランシング(rebalancing)によってアジア太平洋重視の戦略に転換するとともに、日米同盟の下、
日本をアジア太平洋地域における「要石(キー・ストーン)」と位置づけ、
「日本有事」(安保条第5条事態)における共同防衛のみならず、「極東有事」(同第6条事態)における不可欠な作戦・兵站基地としての重要な役割を期待している。
つまり、中国の海洋進出の最大の障害は米国であり、
そのアジア太平洋戦略を中心となって支える日米同盟であることは議論の余地がなかろう。
真の同盟とは、共に相手国の国益と自主性を尊重しつつ、全面的・一方的な依存関係ではなく、必要に応じて相互に援助し協力し合う体制でなければならない。
その点を踏まえ、目下、我が国では、中国や北朝鮮などの脅威の顕在化に実効的に対応するため、集団的自衛権を容認し、同盟を相互協力・相互依存の本来あるべき関係に修正して、その片務性を解消すべきであるとの意見が強まっている。
そして、元防衛大臣の石破茂自民党幹事長は、11月6日の民間放送の番組で、
集団的自衛権の対象国をフィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナムを例示して、
中国の海洋進出を防ごうとしている共通の課題を持った国にも拡大すべきとの考えを示した(この背景には、アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスの低下という問題があろう)。
上記の議論は、日本の安全ならびに極東における国際の平和及び安全を維持する上で、極めて的を射たものであり、その具現化が切に望まれるが、その新たな要求に対して現有の自衛隊の能力・態勢をもって十分に対応できるのか、との疑問が生じてこよう。
なぜなら、米軍の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」と日米共同作戦の無力化を策しつつ発動される中国の軍事作戦は、大きな広がりをもち、「日本有事」と「極東有事」を同時並行的に引き起こす可能性が高いからである。
■中国の国家目標と軍事戦略:
焦点は、日本~台湾~フィリピン~ベトナム
中国の国家目標は、江沢民総書記以降、特に強調して述べられるようになったが、
「中華民族の偉大な復興」
である。
「中華民族の偉大な復興」とは、
①.「漢民族中心の国家建設」ならびに「富強(富民強国)大国の建設」であり、
②.時期的には中国共産党創設100周年に当たる2021年を中間目標とし、
③.最終目標は中華人民共和国創建100周年に当たる2049年
としている。
「中華民族の偉大な復興」の地理的範囲は、明らかではない。
平松茂雄氏は、著書「中国の安全保障戦略」(勁草書房)の中で、
「少なくとも現在の中国を支配している中共指導者には、現在の中国の国境線を自国の主権の及ぶ領域、すなわち領土とは見ておらず、
漢民族が過去において支配した地域は『中国の領土』あるいは『中国の版図』であるという意識が強く存在する」
と述べている。
そして、
「中国が帝国主義列強より奪われたと主張する領土地図」には、
樺太、
ハバロフスク州、
沿海州、
朝鮮、
西北大地(現在のカザフスタン、キルギス、タジキスタンの一部)、
パミール高原、
ネパール、
シッキム、
ブータン、
アッサム、
ビルマ、
タイ、
マラヤ、
ラオス、
ベトナム、
カンボジア、
アンダマン諸島(インド、)
スル諸島(フィリピン)、
台湾、
琉球諸島
の中国周辺一帯にわたる地域が記載されており、中国共産党およびその指導者には
「それらの地域を取り戻すという一種の『失地回復主義』ともいうべき考え方がある」
と指摘している(P73~P77)。
それを実証するかのように、西太平洋への進出を図る中国の軍事戦略は、西日本~沖縄~台湾~フィリピン~ベトナムに連なるいわゆる第1列島線を占領あるいは制圧し、それを作戦基盤として第2列島線まで支配地域(海域)を拡大しようとしていることは、すでに周知のところである。
この際、中国は、主敵の米国の行動を封じるため、
大陸に移動式ICBM(大陸間弾道弾)を配備しつつ、確実な対米核報復力(第2撃力)を確保する必要から、
南シナ海を内海化・聖域化してSSBN(弾道ミサイル原子力潜水艦)を同海域に潜伏させる
ものと見られている。
このため、南沙・西沙群島などの島嶼部の支配に全力を傾け、また、国際法を無視して中国のEEZ(排他的経済水域)内における外国軍艦・軍用機の「航行の自由」を実力で阻止するなど、南シナ海海域から外国の軍事力を完全に排除する作戦に出ることは、火を見るよりも明らかである。
この際、日本が西日本から南西諸島一帯にわたって中国軍の進出を確実に阻止している場合には、
中国は、南シナ海と東シナ海の接合部に位置にする台湾を手に入れない限り、南シナ海の聖域化も、
「不沈空母」としての台湾を足がかりに、
第1列島線を突破して太平洋に進出することも困難である。
中国にとって台湾の統一は、西太平洋まで覇権を拡大して米国と肩を並べる軍事的超大国になるための前提条件の1つであり、台湾を「核心的利益」と主張する理由もそこにある。
台湾の帰趨は、
まさにアジア太平洋地域の戦略構造を左右するとも言うべき極めて重要な問題である。
同時に、フィリピンのルソン島およびその北部の島嶼並びにルソン海峡・バシー海峡にも同様の軍事的関心が向けられるのは間違いなかろう。
他方、朝鮮半島では、「中朝友好協力相互援助条約」(1961年)に基づき、北鮮軍が中国の軍事行動に策動して韓国あるいは日本への軍事作戦を発動し、在韓米軍の牽制抑留やミサイル、特殊部隊、サイバーなどの攻撃によって在日米軍および自衛隊に対する妨害活動を行う可能性は極めて大きいと見なければならない。
朝鮮戦争を一緒に戦った中国と北朝鮮は、両国が「唇歯の関係」あるいは「血の友誼」と公言する通り、切っても切り離せない関係にある。
この条約には、いずれかの締約国が武力攻撃を受けて戦争状態に陥った場合、他方の締約国は直ちに軍事上その他の援助を与えるという「参戦条項」が定められている。
中国が、アジア太平洋地域におい軍事作戦を行う場合には、北朝鮮は必然的に参戦することが条件となっているのである。
■「日本有事」と「極東有事」は同時に起こる
我が国では、中国の軍事行動の対象を尖閣諸島に限った論調や、中国が日本を単独で侵攻するケースに特化した見方が多く見られる(尖閣諸島奪取は、あくまで中国の海洋進出の前哨戦に過ぎない)。
しかし、前述の通り、中国の主敵が米国であり、日米同盟であることを考えれば、その海洋進出を図る軍事作戦は、少なくとも日本、朝鮮半島、台湾、フィリピンやベトナムなどのASEAN(東南アジア諸国連合)を巻き込んだ広範な地域に及ぶことは当然予測しておかなければならない。
つまり、中国の海洋進出を目的とした軍事作戦は、「日本有事」(安保条第5条事態)と「極東有事」(同第6条事態)を同時に引き起こす事態となるのである。
この際、我が国が、集団的自衛権を容認してそれを行使するに際し、対象を「日本有事」における米国との共同防衛に限定せず、同時に生起する可能性の高いASEANなどを巻き込んだ「極東有事」における関係国支援にまで拡大する場合に、果たして現有の自衛隊の戦力・態勢でその任務役割を十分に果し得るのか、との基本的な疑問が生じるのは必定であろう。
重ねて強調するが、現在行われている集団的自衛権に関する論議は、極めて的を射たものであり、その具現化が切に望まれる。
しかるに、集団的自衛権の問題と併せて、自衛隊の戦力や態勢に係わる論議が政治の場でなされているのか、はたまた国民はその論議に関心を持ち合せているのか、大いに懸念されるところである。
■低下する米国の軍事的プレゼンスと「極東有事」における限界
米国国家情報会議編の「GLOBAL TRENDS 2030」は、中国が軍事力を拡大するなかで、太平洋からインド洋を含めた全世界の海路(シーレーン)で米国が握ってきた覇権が揺らぎ始めており、
「2030年までに米国が『世界の警察官』としての役割を果たせなくなる、もしくは放棄すると、世界秩序は否応なく不安定になり」、
「国家間の紛争が勃発する可能性は高まり、・・・『大国』が絡んだ国家間の争いが起こる可能性がある」
と指摘している。
今日、米国は、中国の覇権拡大にともない、ピボットあるいはリバランシングによってアジア太平洋地域を重視した戦略態勢への転換を進めている。
しかし、今年3月から発効した「歳出強制削減」によって、米国防予算は10年間で約5000億ドル(約46兆円)、年換算で我が国の防衛予算の1年分(平成25年度4.68兆円)に相当する額の大幅な削減を求められており、アジア太平洋地域における戦力増強やその運用を縮小せざるを得ない事態に追い込まれている。
チャック・ヘーゲル米国防長官は、7月30日の国防総省における記者会見で、
「『米議会が強制削減の見直しを行わなければ、海軍の空母11隻のうち最大3隻が運用停止になる』と述べて、即応戦力の維持に強い危機感を示した」(8月2日付産経新聞)。
国防総省の強制歳出削減にともなう「戦略的選択・管理の見直し」と題する報告書では、陸軍54万人(2013年2月現在)が現削減目標の49万人よりさらに7万人少ない42万人にまで削減されるなど、大規模な削減の可能性があることを明らかにしている。
その米国は、次図の通り、極東(アジア太平洋地域)だけでも、日本、韓国、台湾、フィリピン、タイ、オーストラリア、ニュージーランドとの間で安保条約や相互防衛条約などを締結している。
北朝鮮の南進に対しては、在韓米軍へのさらなる戦力増強(在日米軍からの増援を含む)が必要になるであろう。
隣接する我が国の防衛に直接重大な影響を及ぼし、第1列島線防衛の「核」となる台湾や、軍事力の弱体なフィリピンへは、強力な軍事支援が必要であろう。
さらに、南シナ海の「航行の自由」を確保し、インド洋に至るシーレーンを防衛するには、相当の軍事力を投入せねばならないだろう。
このように、「極東有事」の際には、これら諸国との同盟上の義務を果たし、地域の安全を確保しなければならないが、この先、米国による圧倒的な軍事力の優位性が崩れるならば、中国や北朝鮮の動きを封じ込めることが困難になるのは明らかである。
しかるに、米国自身が、国家予算の縮小に伴ってアジア太平洋地域におけるプレゼンスや即応態勢の維持に重大な危機感を抱くようになっている。
このため、「極東有事」に際しては、低下しつつある米軍事力を多くの援助対象国に分散運用する必要性から、同盟国へのコミットメントが手薄にならざるを得ない状況も懸念されており、とりわけASEANによる集団的自衛権の問題を含めた日本への役割の期待は、急速に高まりつつあるのである。
■米軍のプレゼンスの低下で、自衛隊の戦力・態勢の強化は不可避
我が国の防衛力は、在日米軍と有事来援する米軍との共同防衛を前提として、日本の防衛に必要最小限の防衛力を目標に整備されてきた。
その防衛力も、過去10年余りにわたる一貫した防衛予算の削減によって、大きな戦力低下を招いている。
そのうえ、在日米軍が、例えば朝鮮半島、台湾あるいはASEANへ転用され、また、有事来援する米軍が縮小されるなど、米軍との共同作戦によって日本を防衛するという前提条件が大きく崩れる可能性を十分に想定しておかなければならない。
つまり、我が国は、中国や北朝鮮による脅威が顕在化するなかで、いよいよ
「自分の国は自分の力で守る」
を基本とした自助自立の国土防衛の体制を強化する必要に迫られており、何よりもその確立が最優先の課題である。
この際、本稿では特に触れなかったが、我が国にとっては歴史的脅威であるロシアによる機会主義的行動の可能性に対して、常に必要な備えを怠ってはならないことを付言しておきたい。
同時に、アジア太平洋地域において低下しつつある米国の軍事的プレゼンスを補うため、日米同盟を基軸としつつ、両国による地域安定化のための共同努力が求められる情勢になっている。
具体的には、特に中国の海洋進出を防ごうとしている共通の課題を持った国々との安保・防衛協力の積極的推進であり、集団的自衛権の拡大的容認であろうが、国土防衛のための必要最小限の防衛力を目標に整備されてきた自衛隊の現有戦力・態勢では、明らかにその任務役割を果たすことはできないとの冷厳な現状認識が必要である。
このため、日米両国は、早急に、日米ガイドラインの見直しを通じて、お互いの戦略の再調整に着手しなければならない。
そして、「日本有事」および「極東有事」が同時併起する場合の共通シナリオを設定し、それを基に共通戦略目標を立て、自衛隊と米軍の役割(Role)・任務(Mission)分担を見直すとともに、我が国は大幅な能力(Capability)増強に踏み出し、また、自衛隊の行動の裏づけとなる関係国との防衛協力協定を締結して、寄港(航)地の確保や兵站支援などの態勢を整備・造成することが必要である。
この際、第1列島線の「核」となる隣接する台湾の防衛は、我が国の防衛に直接重大な影響を及ぼすため、死活的に重要である。
このため、台湾の特殊な地位を考慮して、日本版「台湾関係基本法」(仮称)を制定するなど、政治決断をもって平時から防衛協力を推進できる体制を整備することが必要である。
なお、現在、安倍政権は、年末に向けて「国家安全保障戦略」と、それに基づく「防衛計画の大綱」の策定作業中である。
他方、集団的自衛権の問題解決と日米ガイドラインの見直しは、来年にずれ込むと伝えられている。
しかし、これらの諸計画は、全て関連しており、総合一体化に解決されるべきでものあるので、今後その整合がどのように図られるのか、注目していかなければならない。
樋口 譲次 Johji Higuchi 元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将
昭和22(1947)年1月17日生まれ、長崎県(大村高校)出身。防衛大学校第13期生・機械工学専攻卒業、陸上自衛隊幹部学校・第24期指揮幕僚課程修了。米陸軍指揮幕僚大学留学(1985~1986年)、統合幕僚学校・第9期特別課程修了。
自衛隊における主要職歴:
第2高射特科団長
第7師団副師団長兼東千歳駐屯地司令
第6師団長
陸上自衛隊幹部学校長
現在:郷友総合研究所・上級研究員、日本安全保障戦略研究所・理事、日本戦略フォーラム 政策提言委員などを務める。
』
『
JB Press 2013.11.22(金)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39185
極東アジアの有事を引き起こす中国の海洋進出
日本は米国の軍事力低下を補わなければならない
中国が海洋進出に当って、主敵と考えるのは米国である。
それは、本年6月に訪米した習近平国家主席が、米中首脳会談で表明した「新しい大国関係」、すなわち2大大国(G2)論や「太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」との発言、そして中国がかつて太平洋を米国と共同で管理しようと提案したことなどに端的に表れている。
■中国の主敵は米国、そして日米同盟
他方、米国は、中国の海洋進出を抑止すべく、ピボット(pivot)あるいはリバランシング(rebalancing)によってアジア太平洋重視の戦略に転換するとともに、日米同盟の下、
日本をアジア太平洋地域における「要石(キー・ストーン)」と位置づけ、
「日本有事」(安保条第5条事態)における共同防衛のみならず、「極東有事」(同第6条事態)における不可欠な作戦・兵站基地としての重要な役割を期待している。
つまり、中国の海洋進出の最大の障害は米国であり、
そのアジア太平洋戦略を中心となって支える日米同盟であることは議論の余地がなかろう。
真の同盟とは、共に相手国の国益と自主性を尊重しつつ、全面的・一方的な依存関係ではなく、必要に応じて相互に援助し協力し合う体制でなければならない。
その点を踏まえ、目下、我が国では、中国や北朝鮮などの脅威の顕在化に実効的に対応するため、集団的自衛権を容認し、同盟を相互協力・相互依存の本来あるべき関係に修正して、その片務性を解消すべきであるとの意見が強まっている。
そして、元防衛大臣の石破茂自民党幹事長は、11月6日の民間放送の番組で、
集団的自衛権の対象国をフィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナムを例示して、
中国の海洋進出を防ごうとしている共通の課題を持った国にも拡大すべきとの考えを示した(この背景には、アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスの低下という問題があろう)。
上記の議論は、日本の安全ならびに極東における国際の平和及び安全を維持する上で、極めて的を射たものであり、その具現化が切に望まれるが、その新たな要求に対して現有の自衛隊の能力・態勢をもって十分に対応できるのか、との疑問が生じてこよう。
なぜなら、米軍の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」と日米共同作戦の無力化を策しつつ発動される中国の軍事作戦は、大きな広がりをもち、「日本有事」と「極東有事」を同時並行的に引き起こす可能性が高いからである。
■中国の国家目標と軍事戦略:
焦点は、日本~台湾~フィリピン~ベトナム
中国の国家目標は、江沢民総書記以降、特に強調して述べられるようになったが、
「中華民族の偉大な復興」
である。
「中華民族の偉大な復興」とは、
①.「漢民族中心の国家建設」ならびに「富強(富民強国)大国の建設」であり、
②.時期的には中国共産党創設100周年に当たる2021年を中間目標とし、
③.最終目標は中華人民共和国創建100周年に当たる2049年
としている。
「中華民族の偉大な復興」の地理的範囲は、明らかではない。
平松茂雄氏は、著書「中国の安全保障戦略」(勁草書房)の中で、
「少なくとも現在の中国を支配している中共指導者には、現在の中国の国境線を自国の主権の及ぶ領域、すなわち領土とは見ておらず、
漢民族が過去において支配した地域は『中国の領土』あるいは『中国の版図』であるという意識が強く存在する」
と述べている。
そして、
「中国が帝国主義列強より奪われたと主張する領土地図」には、
樺太、
ハバロフスク州、
沿海州、
朝鮮、
西北大地(現在のカザフスタン、キルギス、タジキスタンの一部)、
パミール高原、
ネパール、
シッキム、
ブータン、
アッサム、
ビルマ、
タイ、
マラヤ、
ラオス、
ベトナム、
カンボジア、
アンダマン諸島(インド、)
スル諸島(フィリピン)、
台湾、
琉球諸島
の中国周辺一帯にわたる地域が記載されており、中国共産党およびその指導者には
「それらの地域を取り戻すという一種の『失地回復主義』ともいうべき考え方がある」
と指摘している(P73~P77)。
それを実証するかのように、西太平洋への進出を図る中国の軍事戦略は、西日本~沖縄~台湾~フィリピン~ベトナムに連なるいわゆる第1列島線を占領あるいは制圧し、それを作戦基盤として第2列島線まで支配地域(海域)を拡大しようとしていることは、すでに周知のところである。
この際、中国は、主敵の米国の行動を封じるため、
大陸に移動式ICBM(大陸間弾道弾)を配備しつつ、確実な対米核報復力(第2撃力)を確保する必要から、
南シナ海を内海化・聖域化してSSBN(弾道ミサイル原子力潜水艦)を同海域に潜伏させる
ものと見られている。
このため、南沙・西沙群島などの島嶼部の支配に全力を傾け、また、国際法を無視して中国のEEZ(排他的経済水域)内における外国軍艦・軍用機の「航行の自由」を実力で阻止するなど、南シナ海海域から外国の軍事力を完全に排除する作戦に出ることは、火を見るよりも明らかである。
この際、日本が西日本から南西諸島一帯にわたって中国軍の進出を確実に阻止している場合には、
中国は、南シナ海と東シナ海の接合部に位置にする台湾を手に入れない限り、南シナ海の聖域化も、
「不沈空母」としての台湾を足がかりに、
第1列島線を突破して太平洋に進出することも困難である。
中国にとって台湾の統一は、西太平洋まで覇権を拡大して米国と肩を並べる軍事的超大国になるための前提条件の1つであり、台湾を「核心的利益」と主張する理由もそこにある。
台湾の帰趨は、
まさにアジア太平洋地域の戦略構造を左右するとも言うべき極めて重要な問題である。
同時に、フィリピンのルソン島およびその北部の島嶼並びにルソン海峡・バシー海峡にも同様の軍事的関心が向けられるのは間違いなかろう。
他方、朝鮮半島では、「中朝友好協力相互援助条約」(1961年)に基づき、北鮮軍が中国の軍事行動に策動して韓国あるいは日本への軍事作戦を発動し、在韓米軍の牽制抑留やミサイル、特殊部隊、サイバーなどの攻撃によって在日米軍および自衛隊に対する妨害活動を行う可能性は極めて大きいと見なければならない。
朝鮮戦争を一緒に戦った中国と北朝鮮は、両国が「唇歯の関係」あるいは「血の友誼」と公言する通り、切っても切り離せない関係にある。
この条約には、いずれかの締約国が武力攻撃を受けて戦争状態に陥った場合、他方の締約国は直ちに軍事上その他の援助を与えるという「参戦条項」が定められている。
中国が、アジア太平洋地域におい軍事作戦を行う場合には、北朝鮮は必然的に参戦することが条件となっているのである。
■「日本有事」と「極東有事」は同時に起こる
我が国では、中国の軍事行動の対象を尖閣諸島に限った論調や、中国が日本を単独で侵攻するケースに特化した見方が多く見られる(尖閣諸島奪取は、あくまで中国の海洋進出の前哨戦に過ぎない)。
しかし、前述の通り、中国の主敵が米国であり、日米同盟であることを考えれば、その海洋進出を図る軍事作戦は、少なくとも日本、朝鮮半島、台湾、フィリピンやベトナムなどのASEAN(東南アジア諸国連合)を巻き込んだ広範な地域に及ぶことは当然予測しておかなければならない。
つまり、中国の海洋進出を目的とした軍事作戦は、「日本有事」(安保条第5条事態)と「極東有事」(同第6条事態)を同時に引き起こす事態となるのである。
この際、我が国が、集団的自衛権を容認してそれを行使するに際し、対象を「日本有事」における米国との共同防衛に限定せず、同時に生起する可能性の高いASEANなどを巻き込んだ「極東有事」における関係国支援にまで拡大する場合に、果たして現有の自衛隊の戦力・態勢でその任務役割を十分に果し得るのか、との基本的な疑問が生じるのは必定であろう。
重ねて強調するが、現在行われている集団的自衛権に関する論議は、極めて的を射たものであり、その具現化が切に望まれる。
しかるに、集団的自衛権の問題と併せて、自衛隊の戦力や態勢に係わる論議が政治の場でなされているのか、はたまた国民はその論議に関心を持ち合せているのか、大いに懸念されるところである。
■低下する米国の軍事的プレゼンスと「極東有事」における限界
米国国家情報会議編の「GLOBAL TRENDS 2030」は、中国が軍事力を拡大するなかで、太平洋からインド洋を含めた全世界の海路(シーレーン)で米国が握ってきた覇権が揺らぎ始めており、
「2030年までに米国が『世界の警察官』としての役割を果たせなくなる、もしくは放棄すると、世界秩序は否応なく不安定になり」、
「国家間の紛争が勃発する可能性は高まり、・・・『大国』が絡んだ国家間の争いが起こる可能性がある」
と指摘している。
今日、米国は、中国の覇権拡大にともない、ピボットあるいはリバランシングによってアジア太平洋地域を重視した戦略態勢への転換を進めている。
しかし、今年3月から発効した「歳出強制削減」によって、米国防予算は10年間で約5000億ドル(約46兆円)、年換算で我が国の防衛予算の1年分(平成25年度4.68兆円)に相当する額の大幅な削減を求められており、アジア太平洋地域における戦力増強やその運用を縮小せざるを得ない事態に追い込まれている。
チャック・ヘーゲル米国防長官は、7月30日の国防総省における記者会見で、
「『米議会が強制削減の見直しを行わなければ、海軍の空母11隻のうち最大3隻が運用停止になる』と述べて、即応戦力の維持に強い危機感を示した」(8月2日付産経新聞)。
国防総省の強制歳出削減にともなう「戦略的選択・管理の見直し」と題する報告書では、陸軍54万人(2013年2月現在)が現削減目標の49万人よりさらに7万人少ない42万人にまで削減されるなど、大規模な削減の可能性があることを明らかにしている。
その米国は、次図の通り、極東(アジア太平洋地域)だけでも、日本、韓国、台湾、フィリピン、タイ、オーストラリア、ニュージーランドとの間で安保条約や相互防衛条約などを締結している。
北朝鮮の南進に対しては、在韓米軍へのさらなる戦力増強(在日米軍からの増援を含む)が必要になるであろう。
隣接する我が国の防衛に直接重大な影響を及ぼし、第1列島線防衛の「核」となる台湾や、軍事力の弱体なフィリピンへは、強力な軍事支援が必要であろう。
さらに、南シナ海の「航行の自由」を確保し、インド洋に至るシーレーンを防衛するには、相当の軍事力を投入せねばならないだろう。
このように、「極東有事」の際には、これら諸国との同盟上の義務を果たし、地域の安全を確保しなければならないが、この先、米国による圧倒的な軍事力の優位性が崩れるならば、中国や北朝鮮の動きを封じ込めることが困難になるのは明らかである。
しかるに、米国自身が、国家予算の縮小に伴ってアジア太平洋地域におけるプレゼンスや即応態勢の維持に重大な危機感を抱くようになっている。
このため、「極東有事」に際しては、低下しつつある米軍事力を多くの援助対象国に分散運用する必要性から、同盟国へのコミットメントが手薄にならざるを得ない状況も懸念されており、とりわけASEANによる集団的自衛権の問題を含めた日本への役割の期待は、急速に高まりつつあるのである。
■米軍のプレゼンスの低下で、自衛隊の戦力・態勢の強化は不可避
我が国の防衛力は、在日米軍と有事来援する米軍との共同防衛を前提として、日本の防衛に必要最小限の防衛力を目標に整備されてきた。
その防衛力も、過去10年余りにわたる一貫した防衛予算の削減によって、大きな戦力低下を招いている。
そのうえ、在日米軍が、例えば朝鮮半島、台湾あるいはASEANへ転用され、また、有事来援する米軍が縮小されるなど、米軍との共同作戦によって日本を防衛するという前提条件が大きく崩れる可能性を十分に想定しておかなければならない。
つまり、我が国は、中国や北朝鮮による脅威が顕在化するなかで、いよいよ
「自分の国は自分の力で守る」
を基本とした自助自立の国土防衛の体制を強化する必要に迫られており、何よりもその確立が最優先の課題である。
この際、本稿では特に触れなかったが、我が国にとっては歴史的脅威であるロシアによる機会主義的行動の可能性に対して、常に必要な備えを怠ってはならないことを付言しておきたい。
同時に、アジア太平洋地域において低下しつつある米国の軍事的プレゼンスを補うため、日米同盟を基軸としつつ、両国による地域安定化のための共同努力が求められる情勢になっている。
具体的には、特に中国の海洋進出を防ごうとしている共通の課題を持った国々との安保・防衛協力の積極的推進であり、集団的自衛権の拡大的容認であろうが、国土防衛のための必要最小限の防衛力を目標に整備されてきた自衛隊の現有戦力・態勢では、明らかにその任務役割を果たすことはできないとの冷厳な現状認識が必要である。
このため、日米両国は、早急に、日米ガイドラインの見直しを通じて、お互いの戦略の再調整に着手しなければならない。
そして、「日本有事」および「極東有事」が同時併起する場合の共通シナリオを設定し、それを基に共通戦略目標を立て、自衛隊と米軍の役割(Role)・任務(Mission)分担を見直すとともに、我が国は大幅な能力(Capability)増強に踏み出し、また、自衛隊の行動の裏づけとなる関係国との防衛協力協定を締結して、寄港(航)地の確保や兵站支援などの態勢を整備・造成することが必要である。
この際、第1列島線の「核」となる隣接する台湾の防衛は、我が国の防衛に直接重大な影響を及ぼすため、死活的に重要である。
このため、台湾の特殊な地位を考慮して、日本版「台湾関係基本法」(仮称)を制定するなど、政治決断をもって平時から防衛協力を推進できる体制を整備することが必要である。
なお、現在、安倍政権は、年末に向けて「国家安全保障戦略」と、それに基づく「防衛計画の大綱」の策定作業中である。
他方、集団的自衛権の問題解決と日米ガイドラインの見直しは、来年にずれ込むと伝えられている。
しかし、これらの諸計画は、全て関連しており、総合一体化に解決されるべきでものあるので、今後その整合がどのように図られるのか、注目していかなければならない。
樋口 譲次 Johji Higuchi 元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将
昭和22(1947)年1月17日生まれ、長崎県(大村高校)出身。防衛大学校第13期生・機械工学専攻卒業、陸上自衛隊幹部学校・第24期指揮幕僚課程修了。米陸軍指揮幕僚大学留学(1985~1986年)、統合幕僚学校・第9期特別課程修了。
自衛隊における主要職歴:
第2高射特科団長
第7師団副師団長兼東千歳駐屯地司令
第6師団長
陸上自衛隊幹部学校長
現在:郷友総合研究所・上級研究員、日本安全保障戦略研究所・理事、日本戦略フォーラム 政策提言委員などを務める。
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