●22日、環球時報はオーストラリア在住の研究者、雪珥氏のコラム「日本に対する五輪の拘束力を大きく見積もる必要はない」を掲載した。日中の軍事的衝突のリスクはますます高まると警告している。資料写真
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年9月23日 20時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77084&type=0
五輪があるから日本の対外路線はしばらくは柔軟?
「五輪の拘束力」を大きく見積もるのは誤り―中国紙
2013年9月22日、環球時報はオーストラリア在住の研究者、雪珥(シュエアル)氏のコラム
「日本に対する五輪の拘束力を大きく見積もる必要はない」
を掲載した。
日本の五輪招致成功に一部の中国人は落胆している。
一方で安堵した中国人もいるようだ。
五輪は国際イメージを重視するため、
日本は開催までの数年間、いわば手足を縛られた状態となり、日中対立も自然と緩和する
だろうという見立てだ。
だがこれはあまりにも甘すぎる考えだ。
五輪招致が決まったその日、安倍晋三首相は取材を受けたが、その際に五輪とは無関係の尖閣諸島問題について言及することを忘れなかった。
まさに日本人の攻撃的精神を見せつけるものとなった。
さらにある日本メディアは1964年の東京五輪開催に乗じて中国が初の核実験を敢行したことを忘れるなと警告している。
2020年東京五輪までの7年間は緊張緩和の時期というよりも、
日中競争がラストスパートに突入するまでの最後の段階
とみるべきだろう。
1945年から避けられ続けてきた歴史的怨恨と現実的利益の衝突は2012年から急速に顕在化している。
今の情勢を見るに、より大きな衝突につながることは避けられないだろう。
奇遇にも2020年は中国のすべての発展綱要、中期計画の終着点でもある。
これからの7年間は中国の改革が最も困難な段階を迎える時期である。
そのプレッシャー、リスクはきわめて大きなもので、外敵がしかけてくる可能性が高い時期でもある。
日中の偶発的軍事衝突の可能性はますます高まり続けるだろう。
どこに息をつく余裕があるというのか?
五輪開催で日本がその牙をしまい込むと考えるのは、柳条湖事件の後に国際連盟が日本を制止してくれると信じるのと同じように甘ったれた考えでしかない。
』
昨年の尖閣デモ以来、中国は強硬な主張を繰り返し、日本はそれに引っ張り回されて戦々恐々と過ごしてきた。
次に中国はどう出るだろう、今度は何をしでかすのだろう、どんな要求を突きつけてくるのだろうとビクビクしながらの日々だった。
もし軍事行動を仕掛けてきたらどう対応したらいいのか。
日本は勝てるのか、みすみすやられてしまうのか、と心配もした。
尖閣諸島のみならず、
「沖縄は日本の領土ではない」と人民日報が論説
したときは、中国は沖縄そのものものまで侵略してくるのかと驚愕した。
でもそのあたりが中国のピークのようであった。
というより、打つ手がなくなって、やぶれかぶれになっての重箱の隅を突っついたという感じもありはする。
それは沖縄人を激怒させるに充分な効果はあったが。
最近は中国の方が腰が引け始めているように見える。
日本にどういう形で接すればいいのか、それを探る姿勢が明瞭に現れてきている。
これまでは脅し一本ではただ日本を追い込むだけであった。
しかしそれでは得るものは全くないことが次第にわかりかけてきたようである。
そういう脅し行為は周辺国には有効であるが、日本という国にはほとんど効果がなく、逆にその跳ね返りで中国自体が大きく利を損なうことの方が大きいことを理解しはじめたようである。
この記事も、日本が今後どんな動きをするのか、そのあたりに焦点を合わせてきている。
これまでのようなただただ大声で自国の意見だけを強硬に主張する姿勢は消えている。
中国がキバをむいて日本を威圧する姿勢から、
逆に日本がどんなキバのむき方をするのかそれを心配する姿勢に変わっている。
中国も外交ができるようになったということか、それとも中国国内でこれ以上の強硬はできないような状況が発生してきているのであろうか。
イベントとしては象徴的となるはずの
「魚釣島一周年記念デモ」
をまったく企画できないような状況に追い込まれている
ということから判断すると、おそらく後者であろうとおもわれるが。
これまでの攻撃一本という戦略から、防衛スタンスに大きく舵が切り替わっている。
尖閣問題はもはや中国国力だけでは解決不能とみて「静かな長い戦い」に戦略]変更したものと思われ、その方向に民衆を誘導していこうという当局の世論操作の一端がこの記事にうかがえる。
ただこれまで煽って煽っていただけに、それで民衆が納得できるだろうか。
当初は「いまにも尖閣諸島奪回する」という姿勢を鮮明にしてラッパを吹いていたのが、急激に「静かで長い戦いになる」と言われても、「ハイ、そうですか」とはなかなか納得できるものではない。
その跳ね返りが怖くて一周年記念デモの企画を見送ざるをえなかったということなのであろう。
【トラブルメーカーから友なき怪獣へ】