●日本の対中・ASEAN直接投資の推移(表左)と北京などアジア主要都市の工員の平均月給の推移(JETRO調べ)
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ウォールストリートジャーナル 2013年 9月 13日 12:58 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324255404579072072408593170.html
By YUKA HAYASHI AND MAYUMI NEGISHI
日本企業、中国から東南アジアへ
【東京】
日中間の政治的緊張が続くなかで日本の対中投資は減少しており、
中国が日本企業による新たな海外事業拡大の波に乗れない可能性がある。
日本企業がいま関心を寄せているのは東南アジアで、保険会社や銀行、それに工場を買収するいくつもの契約がここ数カ月の間に調印された。
この中国からのシフトの一因は同国での賃金上昇だが、一部の日本企業は反日的な空気も懸念材料だと語る。
彼らが指摘するのは、1年前に尖閣諸島を巡る緊張が高まるなかで起きた反日暴動だ。
トヨタ自動車と任天堂に部品を納入している日本の精密部品メーカー、正和はこの暴動を受けて、最初の海外工場の場所として中国ではなくタイ・バンコクの郊外を選んだ。
同社の平野正和社長は
「最後の最後まで、中国にしようかと迷った。
市場がずっと大きいし、お客様も工場を沢山持っている」
としながらも、
「どうせ行くなら、嫌われているところよりも好かれているところに行きたい、と思った」
と最終的に決めたと語った。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、今年上半期の日本の対
東南アジア投資は前年同期比55%急増して102億9000万ドル(約1兆3000億円)になった。
一方で対中投資は49億3000万ドルで、「31%急減」した。
この投資減少は、豊富な資金を持ちながらも国内需要の減退に直面する日本企業の海外進出が続くなかで、中国がチャンスを逃しつつあることを意味するのかもしれない。
昨年の日本の直接対外投資は1220億ドルとなり、前年比12%、2007年比では67%、それぞれ伸びた。
国際協力銀行(JBIC)の最近の調査では、回答した企業の84%は今後3年以内に海外事業を強化する計画だとしている。
09年の調査ではこれは65.8%だった。
この傾向は、経済、軍事面での中国の台頭によって引き起こされた地政学的シフトと同時に起きている。
米国は最近、アジア重視の「リバランス」の一環として海兵隊基地をオーストラリアに置いたほか、日本が最近参加したものの中国は参加していない環太平洋連携協定(TPP)交渉を推進している。
ただ中国は参加にいくぶんかの関心を示している。
安倍晋三首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に再び焦点を当てることに熱心だ。
首相は昨年12月の政権発足以来7回にわたって同地域を訪問しているが、7月にシンガポールで行った講演では、ASEANと日本は「ツイン・エンジン」だとした上で、「日本経済にとって、とても大事な役割を果たすのが、ASEANだ」と述べた。
一方で、首相は中国の指導部とは会談していない。
日本の企業は1960年代以来、生産拠点として東南アジアに注目してきた。
90年代になるとその視線は、投資対象としての魅力を見せ始めた中国にも向かった。
しかし、日本の対中投資は昨年、減少を始めた。
他の要因も働いている。
日本のサービス部門は東南アジア地域の「6億の人口と、中間層の拡大」にますます魅力を感じている。
三菱UFJフィナンシャル・グループは7月、タイのアユタヤ銀行の75%の株式を56億ドルで買収すると発表。
5月には三井住友フィナンシャルグループがインドネシアの年金貯蓄銀行(BTPN)の株式40%を15億ドルで取得する契約に調印した。
確かに中国は依然として日本の最大の貿易相手国で、対中直接投資も日本は香港に次いで世界第2位だ。
日本はまた、中国、韓国との間で自由貿易協定(FTA)交渉もしている。
日本の一部の専門家は、
日本企業のシフトは中国から逃げ出しているのではなく、リスク分散
だとみている。
JETROの梶田朗・国際経済研究課長は「多くの企業は既に中国に工場を持っている」とし、
「第2、第3の工場を必要とする企業は、リスク分散のためにベトナムといったところがよいと考えている」
と述べた。
しかし、一部の企業はほとんど全ての生産を中国から移している。
浴衣などのメーカー、東京印は6年前には全ての生産を中国で行っていたが、コスト上昇を受けて、09年にインドネシアに工場をオープン。
昨年はベトナムにも工場を開いた。
現在では全体の10%しか中国で生産されていない。
同社はミャンマーにも投資を計画しており、これが実現すると、その比率はさらに低下することになる。
昨年の暴動で中国での生産が大幅に落ち込んだ日本の自動車メーカーも、東南アジアへの投資を増やしている。
ホンダは8月、タイの新工場(総工費5億5000万ドル)の建設を始めた。
これによって同社の生産能力は50%拡大する。
トヨタは7月、インドネシアに新しいエンジン工場を2億3000万ドルを投じて建設すると発表した。
トヨタの中国での生産は今年上半期に前年同期比10.4%減少し、ホンダも3.7%減った。
中国全土での反日デモという形で一気に高まった外交上の緊張から1年近くたったが、中国の日本車需要の回復はまだ不安定だ。
中国の景気減速も販売の足かせになっている。
需要の減退と優良な労働者の激しい奪い合いを背景に、これ以上同国で生産能力を拡張することにあまり魅力はなくなった。
日本政府も企業の東南アジアへのシフトを働きかけている。
政府は数十億ドルの開発援助を使って、ベトナムやミャンマーの工業団地、カンボジアの鉄道、ラオスの空港など、日本企業が関わるプロジェクトを支援している。
政府はまた、ミャンマー、ベトナム、インドネシアなどの国で日本企業が現地パートナーを探す手助けもしている。
フィリピンでは、日本の投資は最近医療機器やプレハブ住宅などの部門にも広がっている。
同国のドミンゴ貿易産業相は
「日本の投資は電子製品に集中していたが、今ではとても多様化している」
と語った。
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2015年中国バブル崩壊説が有力だとすれば、日本企業は中国からの脱出、あるいはリスク軽減に走らざるをえない。
大企業はリスク分散で済ませられるが、
中企業あるいは小企業ではそうはいかない。
バブル崩壊が始まるまえに動く必要がある。
バブル崩壊の前兆が現れると、おそらく中国政府は
★.資産の凍結、
★.資金の凍結
すなわち資本の凍結を実行するだろう。
バブルが崩壊することは分かっていて足を突っ込んでいるのだから、日本でもあった不動産バブルと同じようにこれまで投下した資産は諦めるしかない。
しかし、資金は少しでも引き上げておきたい。
大企業は何らかの打つ手があるだろうが中企業以下ではそういう余裕はない。
法律が効力をもたない国では、あらゆる国家の無法が許される。
上向きのときは無法は行われないが、一度下り坂に入ったらもはやちっぽけな企業が打つ手はない。
資本のすべては諦めるしかない。
2015年崩壊とみると、2014年すなわち来年いっぱいが限度ということになる。
しかし、規制は来年あたりから徐々に強くなっていくだろうから、もう動いていないといけない。
これからの「中国は賭場だ!」と思ったほうがいい。
中国は今後、バクチ領域へと入っていく。
張り切れるだけの体力がないなら、早々に引き上げたほうが賢明だろう。
残れるのは大企業のみになる。
中国当局も大企業は大事に扱う。
でも小さな企業はローラーで押しつぶすように資本を吸い上げられるだろう。
あとに残るのは、中小企業の骨と皮だけになるかもしれない、そう考えたほうがいい。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年9月14日 19時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76779&type=0
東南アジアが日本の対外投資のもう一つの選択肢に=日中関係悪化で―中国紙
●13日、斉魯晩報は記事「日本企業が進める“チャイナプラスワン”戦略」を掲載した。尖閣問題後の日中関係悪化を受け、日本企業の多くは中国依存を緩和するチャイナプラスワン戦略を推進している。資料写真。
2013年9月13日、斉魯晩報は記事
「日本企業が進める“チャイナプラスワン”戦略」
を掲載した。
昨秋の日本政府による尖閣諸島国有化以来、日中関係は急速に冷却化した。
日本メディアによると、日本企業の多くはこれを期に“チャイナプラスワン”戦略を進めている。
中国への依存を緩和するためもう一つの選択肢を用意するもので、東南アジアがそのターゲットとなっている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の統計によると、日本企業による今年1~7月の対ASEAN投資は113億ドル(約1兆1200億円)と急増。
同時期の対中投資の2倍という金額となった。
東南アジアにおける日本自動車メーカーの新車販売台数は2012年、273万台を記録。
中国市場とほぼ同数となっている。
中国自動車市場に占める日系のシェアは尖閣問題後20%を割り込むまでに下がっているが、東南アジアでは79%と他国を圧倒している。
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サーチナニュース 2013/09/14(土) 16:33
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0914&f=national_0914_037.shtml
日本が脱中国…東南アジアへのシフトの意味は=中国版ツイッター
ウォール・ストリート・ジャーナル中国版の「華爾街日報」が、中国版ツイッターである微博の公式アカウントで
「日本企業は中国を避けて東南アジアへの投資にシフトしている」
と論じたところ、微博ユーザーからさまざまな感想が寄せられた。
根強い反日感情という中国のカントリーリスクや、高騰する人件費などの問題が改めて注目を集めており、中国からASEAN諸国へ投資をシフトする日本企業が増えている。
中国からの撤退を手伝う「撤退コンサルティング」も活況だという。
華爾街日報は日本の対中投資は減少する一方であり、この趨勢は中国が日本企業による新たな海外拡張に伴う恩恵にあずかれないことを意味するのではないかと危機感を示した。
同記事について、微博ユーザーからは
●.「中国には日本の投資など必要なくなった」、
●.「日本による経済的なコントロールから脱する良い機会ではないか」
など、強気なコメントが多く寄せられたほか、
●.「これは日本が将来的に中国という市場を失うことを意味している」、
●.「日本は“中国という大きなマーケットを失う”と言い換えるべきだ」
など、中国撤退は日本企業にとって不利益になるとの見方も多かった。
しかし、
●.「これは日本企業だけでなく、EUや米国企業も同じだ。
コストを抑え利益を追求するなら必然の結果」
という指摘や、
●.「東南アジアに投資が移っても、最終的にはわが国に輸出される」
というコメントもあった。
日本企業による対中投資が減少傾向なのは事実だが、中国という市場を放棄したわけではない。
中国とASEANは2010年、9割の品目について関税を撤廃する自由貿易協定(FTA)を発効しているため、中国へ無関税で輸出することが可能かつ人件費が安い国へと投資をシフトしているのだ。
中国ではブルーカラーの人件費が高騰する一方で、大学生の就職難が続いている。
これは工場においては人材不足にあえぎつつも、高学歴の人材が就業できる産業が十分に育っていないことを意味する。
中国は現在、投資主導の経済成長から消費主導の経済成長へシフトを図っているが、
外資がASEANへ投資をシフトすることによって
中国国内では雇用の受け皿が減少し、消費にマイナスの影響をおよぼす可能性
がある。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年9月18日 8時33分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76903&type=0
日本企業の「チャイナ・プラス・ワン」顕著だが中国からの撤退はない=ジェトロ報告書―米紙
16日付で環球網が伝えた。
同報告によると2013年上半期における日本の対東南アジア投資は、前年同期比55%増の102億9000万ドルに達した。
一方で、中国への投資は同31%減の49億3000万ドルとなり、その差が明確に現れている。
日本の製造業は、1960年代から東南アジアへ進出して生産拠点を建設してきたが、90年代以降はその投資の中心を中国へと移した。
しかし、人件費の値上がりや尖閣諸島問題による影響など様々なリスクが顕在化し、昨年から中国への投資の減少傾向が現れ始めた。
しかし、中国は依然として日本の最大の貿易相手国であることは間違いなく、また、日中韓自由貿易協定(FTA)締結への交渉も続いており、中国から東南アジアへと完全なシフトを進めているわけではない。
日本の政府関係者は「日本企業のこうしたシフトはリスク分散のためであり、中国からの撤退を意味するものではない」と語っている。
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【トラブルメーカーから友なき怪獣へ】