●尖閣諸島沖を航行する中国海警局の船舶〔AFPBB News〕
『
JB Press 2013.09.25(水) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38775
アジアの領有権問題:ダイヤモンドの傷
(英エコノミスト誌 2013年9月21日号)
東シナ海と南シナ海で起きている紛争は別々の話だが、中国の狙いは同じだ。
先日90歳になったシンガポールの長老政治家、リー・クアンユー氏は、東シナ海と南シナ海での領有権問題に対する中国のアプローチについて、彼独特の率直な分析を行っている。
リー氏は新著『One Man’s View of the World(1人の男の世界観)』で次のように書いた。
「中国人は自分たちが近所で一番大きな少年だということを知っており、
をつけるにつれ、近所の連中から自分たちの権利を尊重してもらえるようになることが分かっている」
敬意が足りないと、中国は威嚇的になる。
尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡っては、日本との緊張が再び高まっている。
中国は9月11日、日本政府が尖閣諸島5島のうち3島を民間所有者から買い上げた「国有化」から丸1年となる日を腹立たしい気持ちで迎えた。
同時に、南シナ海に浮かぶ小島を巡るフィリピンとの領有権争いも深刻化している。
■危険な日中対立
ただでさえ危険な日本との対立は、日本政府が尖閣諸島に「公務員」(この分類には自衛隊も含まれる)を常駐させるという漠然とした提案を実行に移せば、ますます危険な展開になるだろう。
9月10日には、中国の巡視船8隻が尖閣諸島の領海内に入った。
過去1年間で200隻以上の船が領海に侵入している。
これは昔ながらの戦術だ。
1978年、中国が、日本がソ連との緊張緩和を模索するのではないかと恐れた時、武装した中国漁船の船隊が尖閣諸島を包囲した。
日本は、尖閣諸島に対する日本の主権を認めるよう中国に迫るのをやめ、中国と友好条約を締結した。
しかし今回、中国は尖閣諸島の支配に対する日本の主張にも異議を唱えている。
また、両国の航空機も時折、にらみ合いを演じている。恐らく最大のリスクは、誤算や認可されていない威力の誇示が引き起こす偶発的な衝突だろう。
利害がいよいよ大きくなっているのは、米国は尖閣諸島の主権に関しては特定の立場を取らないものの、尖閣諸島を日米安全保障条約の適用対象と見なしているからだ。
アナリストの間には、中国の戦略は日本を挑発して日米安保に対する米国のコミットメントを試させることで、日米同盟を損なうことを意図していると見る向きもある。
米国の戦略的なアジアへの「ピボット(旋回)」が中東での出来事の引力に逆らえるのかどうか疑問に思っているのは中国だけではない。
中国は、昨年、同国が黄岩島と呼ぶ島を事実上併合した際に、米国が何も反応しなかったことに勢いづいているのかもしれない。
黄岩島はフィリピンがスカボロー礁として領有権を主張する島で、フィリピン諸島最大のルソン島から220キロしか離れていない。
フィリピン側は、中国が船団を島に常駐させ、漁場を封鎖していると主張。
今では、中国が75個のコンクリートブロックを海に沈め、建設工事に着手していると訴えている。 中国はこれを否定している。
■中国とASEANの関係は「ダイヤモンド・デケイド」入り?
しかし、日本に対する態度とは対照的に、東南アジアでは、中国は少なくとも友好的に思われるよう努めている。
李克強首相は今月、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国との関係が「ダイヤモンド・デケイド」に入ろうとしていると述べた。
また中国は、加盟国4カ国(ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム)が中国と重複して領有権を主張しているASEANと南シナ海について話し合っている。
9月14~15日には中国の蘇州で、中国、ASEAN双方が、2002年に採択された紛争防止のための海洋行動規範の「宣言」を実行に移す取り組みについて協議した。
中国は法的拘束力を持つ最終的な行動規範について「協議」することを約束した。
だが、中国が結論を急ぐ兆しは全く見られない。
確かに、主権に対する中国の立場は和らいでいないし、中国の主張に異議を唱える国に対するトゲトゲしい態度も和らいでいない。
先の李首相の発言は、中国南部の都市、南寧で開かれた「中国・ASEAN博覧会」で行われたものだ。
聴衆の中に姿が見えなかったのは、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領。
アキノ大統領は招待を撤回されたのだという。
アキノ大統領が不興を買っているのは、アキノ政権がスカボロー礁や他の島嶼、砂州、岩礁を巡る中国との紛争に第三者を巻き込もうとしているためだ。
ASEANを分裂させようとする中国の努力――直近では蘇州での会合で試みた――をよそに、フィリピンはASEAN諸国を自陣営につけようとしてきた。
またフィリピンは、日本と同様に安全保障条約を締結している米国の援助も歓迎している。
米国は、国際的に認められているフィリピンの国境を越えた領域は両国の安保条約の適用対象外だと言明した。
しかし、先のルソン島での共同演習を含め、フィリピンとの軍事交流を深めている。
またフィリピンは、国連機関である国際海洋法裁判所(ITLOS)に訴えを起こした。
今年1月、フィリピンはITLOSに対し、南シナ海における中国の領有権の主張、つまり、中国が漠然と「九段線」と呼ぶ、事実上南シナ海全域を取り囲むU字型の線について裁定するよう求めた。
ITLOSは現在、フィリピンに対して、2014年3月末までに詳しい「陳述書」を提出するよう求めている。
中国はただその手続きを無視するだろうが、多少面目を失う恐れがある。
中国籍のITLOS判事、高之国氏が共同執筆し、今年、国際法の専門誌アメリカン・ジャーナル・オブ・インターナショナル・ローに掲載された論文は、九段線は、その内側に入るすべての島嶼に対する主権の主張および、島嶼と「その近海」に眠るすべての資源を開発する権利と「同義語」になったと述べた。
シンガポールの東南アジア研究所(ISEAS)のイアン・ストーリー氏は、この拡大解釈が次第に中国の公的見解になると考えている。
■領海問題における真実
鄧小平の下では、領有権問題に対する中国の政策は、恐らくは資源開発については相手国と協力し、問題を脇に追いやることだった。
主権の問題は後で対処すればいい、ということだ。
鄧小平は1978年に、釣魚島・尖閣諸島問題は「将来の世代」が解決してくれると述べている。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のテイラー・フラベル氏は、7月末に開催された、海洋強国としての中国に関する政治局研究会の席上、中国の新国家主席、習近平氏が鄧小平路線を再確認したと指摘する。
また、習主席は中国の権利の保護と同じくらい地域の「安定の維持」を強調したという。
これはASEAN諸国に親切にする努力に沿うものだ。
しかし、それ以外の点では、中国が主権と見なす範囲を必死に防御する姿勢が和らぐことを示唆する兆候はほとんど見られない。
中国はむしろ、国の南側でも東側と同様に、地図上のみならず海でも自らが主権と見なすものを行使しているのだ。
© 2013 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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『
サーチナニュース 2013/09/25(水) 15:08
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0925&f=politics_0925_002.shtml
わが国に比べ日米は不誠実
…日米の軍事対応を中国メディアが批判
外務省は24日、フィリピンやベトナムなど13カ国の政府関係者を招いて「新興海洋国能力構築支援セミナー」を開催した。
25日付で環球時報(電子版)が報じた。
日本側はセミナーの狙いについて、
「マラッカ海峡やソマリア海域における海上輸送の安全を確保するため」
としているが、記事は
「日本メディアは、周辺機域における軍事影響力を強める中国をけん制する狙いがあると伝えている」
と報じた。
さらに記事は
「日本政府の狙いは国際的な注目を集めることができなかった」
とし、京都府が米軍早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)の受け入れを表明したことに対して中国が批判した言論のほうが注目を集めたと報じた。
中国外交部の洪磊報道官は、京都府の対応について、
「一部の国や集団は北朝鮮の核ミサイルの脅威を“隠れみの”とし、ミサイル防衛システムを作っているが、こうした動きは地域の平和と安定にマイナスの影響をもたらす」
と批判した。
また、中国が大量破壊兵器の開発に使われる可能性がある物質や技術の北朝鮮への輸出を禁じるリストを公表したことについて、記事は
「わが国の行動に比べ、軍事バランスを崩そうとする日米は不誠実だ」
と論じた。
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「海上カジノとして使用」という名目で買ったものを
空母という武器に造り替えるというのは「不誠実」の極み
のように思うのだが。
考え方の違いなのだろう。
『
朝日新聞デジタル 2013年10月16日0時38分
http://www.asahi.com/international/update/1016/TKY201310150491.html
中越、海洋「共同開発」協議合意 李首相、領有権先送り
中国の李克強(リーコーチアン)首相は15日、就任後初のベトナム公式訪問を終えた。
南シナ海の領有権問題で対立する両国だが、トンキン湾外での「共同開発」に向けた作業チームの立ち上げに合意。
対立が深まるフィリピンを尻目に、実務的な協力関係を広げる姿勢を明確にした。
「この合意は、中越両国に南シナ海の平和を守る力と知恵があることを国際社会に示すものだ」。
李首相は13日、ベトナムのグエン・タン・ズン首相との会談後の記者会見で胸を張った。
李首相によると、両国は年内にトンキン湾外での共同開発について実質的な進展を目指し、さらに広範な海域での共同開発を協議していくことで一致。
実行部隊として作業チームを立ち上げることでも合意した。
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韓国のGDPに中国が占める割合は1/4である。
これを1/3まで引き上げて、中国の成長のおこぼれを頂戴しようというのが韓国の政策である。
それが、中国への擦り寄りとなっている。
ベトナムは十数%。
中国はベトナムにがっちり食い込んでいる。
ベトナムとしても中国を無碍にできない。
とはいえ、けっこう健気に抵抗している。
この二国はGDPへの中國の影響の大きな国である。
フィリッピンになるとこれが数%になる。
だから、中国に非常に強くあたることになる。
フィリッピンは産業がないから出稼ぎである。
海外からの出稼ぎ送金が大きな比重を占めているという変則な経済である。
ここにいかに産業のタネを撒くか、これが少々難しい。
これを1/3まで引き上げて、中国の成長のおこぼれを頂戴しようというのが韓国の政策である。
それが、中国への擦り寄りとなっている。
ベトナムは十数%。
中国はベトナムにがっちり食い込んでいる。
ベトナムとしても中国を無碍にできない。
とはいえ、けっこう健気に抵抗している。
この二国はGDPへの中國の影響の大きな国である。
フィリッピンになるとこれが数%になる。
だから、中国に非常に強くあたることになる。
フィリッピンは産業がないから出稼ぎである。
海外からの出稼ぎ送金が大きな比重を占めているという変則な経済である。
ここにいかに産業のタネを撒くか、これが少々難しい。